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深謀遠慮~遠い先のことまで見通した周到綿密な計画を立てる~

Footballista 2018年4月号に「Foot PASS」についてのコラムが掲載されていた(川端暁彦さん著)。

「Foot PASS」とは、外部の第三者機関が各クラブから提出された資料の検証と訪問してのヒアリング、そして練習や試合の分析を通じてクラブの育成組織を評価するシステム。ベルギーのダブルパス社が独自に開発し、ドイツ・ブンデスリーガなどで広く採用された仕組みで、クラブの「フィロソフィー」や「カリキュラム」、「メソッド」、「ミーティング」、「選手評価」、「情報共有」などのシステムを上から下まで幅広く評価する。(以下のURLより引用)

https://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20160519/444493.html

Foot PASSがJリーグの下部組織に導入されたのが2015年。上記に記載した項目などが調査された結果、ある項目の点数が総じて低かった。それが「個の育成」だ。

今回は「個人の育成」について考えたいと思う。

①Individual Development Plan (IDP)

IDPとは個人の育成計画の事。このコラムを書いた川端暁彦さんがFootballistaに掲載した記事の中で日本の指導者は頭の中やパソコンの中にはそうしたプランが保存されているが、きちんと言語化されチーム内で共有した形に落とし込めていないと指摘している。

この状態がまずいのは、結果に対しての検証が難しい事だ。後にA代表になった選手でも過去の評価はそんなに高くなかった場合、どのタイミングでどの様な練習、アドバイスなどがあって成長していったのかを遡って検証したくてもキチンと情報が整理されていなければ難しい。継続的に代表選手を輩出していくのは至難の技だ。

②日本社会とIDP

この記事を読んで日本(一括りにするのはナンセンスですが)では、個々人がこの「自分の育成計画」を自分で考え・策定・調整していく機会が少ないのではと感じた。その結果、指導する立場の人間も描けないのでは無いか。

日本のコミュニケーションスタイルの中で「言わなくても伝わる」暗黙知は少なく無い割合を占めている。これが良い悪いという話では無く、そのスタイルは自分の意思・伝えたい事を言語化する必要性が無い。結果として、物事を白黒つけたがる民族と比べて自分の内面を言語化する部分が弱くなり、今回のような結果に繋がったのでは無いか。

③三つの◯をうまく使う

サイボウズ株式会社代表取締役社長 青野 慶久さんの新著「会社というモンスターが僕たちを不幸にしているのかもしれない。」内で書かれていた【三つの◯】がこのIDPを考える上で活用出来るのでは無いかと考えた。

【三つの◯】とは「モチベーション創造メソッド」の事だと仰っています。

(1)やりたい(2)やれる(3)やるべき、それぞれの要素を◯に例え、それらが重なる部分(上記写真の赤い部分)が一番モチベーションが高く取り組める。

この【三つの◯】がIDPを考える上で活用出来ると考えたのは【三つの◯】が動くからです。

(1)やりたいは「変化」します。色々な経験をする中で今までと違う内容に興味を持って「やりたい」対象がシフトしていく可能性があります。ですから自問自答を繰り返し、自分の「やりたい」を把握する事が重要だと筆者は仰っています。

IDPを自分で策定、他者のIDPをチェックする上でここの部分は肝になると思います。自問自答を繰り返す事で自分の内面と向き合い・他者の気持ちに寄り添う事が出来るようになるのでは無いでしょうか。

(2)やれるは「拡大可能」だという事です。スキルが無いうちはやれる事が限られていて誰かの真似をする事が精一杯かもしれません。しかし何度も繰り返しやる事でコツを掴み、上達していく事は可能です。

昔はFWで点を取る事が生きがいだった選手が、ある才能を買われサイドバックに転向。初めのうちはDF未経験の為、相手を止める事が出来なかったがトレーニングをしていく中でコツを掴み、そのポジションで第一人者になる。何て事もあるかもしれません。

(3)やるべきに関しては次回の投稿に書こうと思います。

④Life shift 100年時代の人生戦略

これから100歳まで生きる世の中が到来すると上記のリンダ・グラッドンさんは仰っています。今までは、そんなに多くの人が長生きする事は無い前提で社会は動いていましたが前提が変わろうとしています。

長く楽しく人生を楽しむのにはIDPの策定及び、他者のIDPをチェック出来る事が重要だと考えます。

ただ出来ない人が全員、楽しく生きる資格は無いと切り捨てる人が出てくる事も十分考えられます。切り捨てるのは簡単ですがそれで本当に良いのでしょうか。これについては前回の投稿にて触れています。

次回の投稿ではIDPを策定する力をどうしたら伸ばせるのか?について投稿したいと思います。

今日の四字熟語

深謀遠慮⇨深く考えを巡らし、のちのちの遠い先のことまで見通した周到綿密な計画を立てること。また、その計画。

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