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読書感想日記🌿「滅びの前のシャングリラ」

休学中の女子大生です。
小中学生の頃好きだった読書をまた楽しみたいと思って本の内容や感想を形に残していこうかなと思っています。
なんかひとりごとって感じですが、少しでもみなさんの心を動かせるような時間にできたら、うれしいです。

※本の内容が分かってしまう記述を含みます。

本の内容

"シャングリラ"理想郷 という意味らしい。

いちご、そのまわりを飛んでいる蜂、それらに目を覆われている赤ちゃんが描かれた表紙。

なにか掴めないけれど、お洒落でどこか穏やかで、"理想郷"という言葉からは淡く儚げな雰囲気を感じて読み始めた。

しかし実際に本を開くと、
1ヶ月後、小惑星が衝突して地球は滅亡する。
そんな唐突で残酷な未来が待ち受けた世界のお話だった。
ある日突然、テレビに映る首相や専門家によって小惑星の衝突により1ヶ月後には全人類の死が待っている。そう告げられる。

最初は皆疑心暗鬼で、心のどこかで国の偉い人が、誰かがどうにかしてくれる。

そんな期待を捨てきれずに、待ち受ける唐突すぎて信じられない現実を受け止めきれずに、次の日もとりあえず毎日過ごしてきた学校、会社に理解の追いつかないまま日常を求めて通う。

でも、だんだん皆んな変えることのできない現実に焦って、明日を、残り1ヶ月を自分自身が生きる為の行動に走る。食料を集める、避難先を求める。その為に人はもう手段を選ばない。

街にはもう秩序なんてない。
食料の為に、情報を得るために、強盗も殺人も当たり前の世の中になり、当然それを取り締まる人もいなければその後の現場を処理する人もいない。死体があちこちに転がって腐敗している。

地球が滅亡するとしたら何したい?何食べたい?そんな最期の理想の話なんて鼻で嗤ってしまうほどその理想からは遠い遠い、酷い現実が描かれていた。

この話を読んで思ったこと「人は自分を保つために生きている」

だけど、そんな世界でも人は生きようとする。
そんな世界になって初めて見えてくる希望もある。


最期まで人は希望を捨てきれないのかなと思った。
絶望の世界でも人々は何かに縋りながらも生きていた。

どうせあと1ヶ月で皆んな死んでいくのにそんな時でも働いている人がいて、信仰している宗教の教えに従って薬や放火で他人を殺していく人がいる。

たとえあと少しの人生だとしてもきっと何か信念をもっていないと人は自分を保つことができないんだろうなと感じた。

けどそれって特別なことじゃなくて、今の日常を生きている私にも言えることだと思った。
自分が生きている理由、深く考えるとどこまでもどこまでも続く渦に引き込まれるような感覚になる。
それは途方もなくて、そんなことを考えていたら私は自分自身を保っていられない。

だから、近くにあった小さな理由を、でも簡単には崩れないような強い理由をもってその渦から逃げるようにして、自分自身でいられるように、その為の行動を優先する。

それはもしかしたら、自分にとって本当の意味で良いことではないかもしれないし、自分を滅ぼしてしまうようなことかもしれない。

だけど、人は自分自身を客観視するのはどうしてか下手くそで不器用で、自分を保つために、自分を傷つけないように、守ろうと行動してしまうものなんだろうなと感じた。

このお話の中にもそんな一面が伺える人物がいた。
主人公、江那友樹の父親、目力信士。

父親からも母親からも誰からも愛情を注いでもらえず生きてきた。
そんな中でどんな状況でも見捨てずに側に居てくれる存在ができた。

でも実際にそれは信士を都合よく利用する為でしかなかった。

信士も心の底ではそのことはわかっていたはずなのに、ずっとその愛情が本物だと信じて、本当の事実には気付かないふりをして慕っていた。

それを認めてしまったら自分を傷つけてしまうから、自分を保てなくなってしまうから。
信じていたい、というより信じるしかなかった、のかものかもしれない。

最後にひとりごと

私自身、自分が傷つかないために鎧を纏って生きているんだろうなと思いました。
自分が傷つかないために自分が壊れないように、都合の良い部分だけ信じて自分を守っていること、たくさんあるなと。

きっと生きてたら皆んな、気づいてないだけで、気づきたくないだけかもだけどたくさんあるのかもしれないですね。

なんか手元に置いておきたくなったお話でした。
またじっくりとひとつひとつ感じながら読みたいそんなお話でした。

最後までこんな私のまとまっていない拙い文章読んでくれた人。
とってもうれしいです。
ありがとうございます。
またゆっくりゆっくり考えて書いていこうと思うのでまた読んでくださったら嬉しいです。

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