【ドイツ事情】 なぜ労働時間が短いのに生産性は高いのか #123
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※ stand.fm で平日の毎朝7時に配信しています.
Hallo zusammen!
Mein Name ist Hiromi Shirai.
『白井博士のドイツ語講座』へようこそ.
白井宏美です.
毎週水曜日はドイツ事情について私の体験も踏まえてお話しています.
第118回では『仕事より大事な Urlaub(バカンス)』についてお話しました.
年に24日~30日間の有給休暇をきっちり使い切るドイツですが,日本より労働時間は短いのに生産性は高いのです.
公益財団法人日本生産性本部によりますと、2020年の日本の時間当たり労働生産性は49.5ドルでOECD加盟38カ国中23位です.これに対してドイツは76ドルで12位になっています.ドイツが日本の約1.5倍なんです.
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/international_trend_summary2021.pdf
どうして労働時間が短いのに生産性は高いのでしょうか.
様々な要因があるでしょうが,ドイツでは短い時間に集中して効率的に仕事をしています.
日本のように会議が長かったり,無駄な会議が多かったりしませんし,仕事が終わってからの余計な付き合いもありません.
私がドイツにいた時,日本の大学病院からドイツの大学病院へ一時的に勤務されているお医者さん3~4人とお話したことがあるのですが,「ドイツでは無駄な会議もないし,役割分担がはっきりしていて,手術など自分の仕事に集中できる」とおっしゃっていました.
「日本では毎日帰宅が夜中になり子供と遊ぶこともできなかったけど,ドイツに来て初めて家族と一緒に夕食をとれるようになった」と嬉しそうでした.
大学のエピソードとして有名なのが,日本から来た研究者が用もないのに,ちょくちょく研究室へやってきてドイツ人研究者が困惑してしまうというものです.
日本人としては用がなくても時々,研究室へおじゃまして雑談することが関係構築につながると考えるのですが,ドイツ人にはなかなか理解されないようです.
会社でも日本では自分の仕事が終わっても,上司やまわりの人が仕事をしていると気をつかって残ったり,手伝ったりするのが普通になっていますが,ドイツでは家族と過ごす時間やプライベートを充実させる時間を大事に考えます.
ただ,他方で生産性が高ければいいのかという問題もあります.
日本の中にいると気づきませんが,外国で暮らすと日本のサービスや製品の品質がどれほど素晴らしいかということがわかります.
ヨーロッパの中でも日本と国民性が似ていてまじめで勤勉で,同じ技術大国であるドイツでさえ,暮らしてみると電車は遅れるし,急な運行変更があっても謝罪や案内もないのは当たり前.
宅配便の時間指定などありませんし,飲食店は注文間違いも結構あって料理が出てくるのも遅いんですよね..
家電取り付けなどの工事も約束の時間どおりには来ないですし,全般的に仕事が雑なんですよね.
お医者さんや歯医者さんに行った時は,日本の看護師さんや歯科衛生士さんの仕事の丁寧さが特別だということを思い知らされました.
また以前,ドイツ人の知り合いが日本に来て案内することがよくあったのですが,電車が時刻表どおりに運行していることや,ホームに並ぶ位置がしるされていて,そこにピタッと電車のドアが来るように停車することにとても驚くとともに感動していました.
無駄を省き仕事の効率を上げることと,日本の良さである,きめ細やかなサービスや丁寧な仕事,高い品質を保つことの両立は難しいのでしょうか.
うまくバランスがとれればいいのですが・・・
みなさんは,どのように思われますか?
私も3週間ほど Urlaub が欲しいところですが,そういうわけにもいかず明日から1週間お盆休みをいただきます.
次回のドイツ語講座は8月18日(木)にお届けします.
それでは,また.
Bis dann.
Tschüs!
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