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【ドイツ事情】 大麻合法化で逆に闇市場が強化する懸念 #465

※ 音声はコチラ↓ 

Hallo zusammen!
Mein Name ist Hiromi Shirai.
『白井博士のドイツ語講座』へようこそ。
白井宏美です。


毎週水曜日はドイツ事情について、私の体験も踏まえてお話しています。


先週の第461回では「一度は行きたい街 ゴスラー(Goslar)」というテーマでお話しました。


今日は「大麻合法化で逆に闇市場が強化する懸念」というテーマでお話します。


ドイツにいると Haschisch という言葉をよく耳にします。話題になることが多いのです。

Haschisch とはインド大麻の樹脂から作る麻薬、マリファナのことです。
この Haschisch は会話で使われる口語表現で、記事など書き言葉では Cannabis とよく表されます。 


数年前にフランクフルトに行った時、駅や道端で大麻を吸っている人がたくさんいることに驚きました。


ドイツ国内で特に若者の大麻使用者が増え、闇市場では粗悪品の取引が横行しているため、ドイツ政府は流通を管理することで、これらの状況を改善しようという狙いから大麻合法化に関する法律案を採決しました。


2024年4月1日からドイツ国内での大麻の使用を一部合法化します。


ドイツは娯楽目的の大麻使用を合法化する9番目の国となります。
鎮痛剤としての医療目的の使用はさらに多くの国が認めています。


このこともあって、最近あちこちで大麻合法化の話が持ち上がっています。


日本でも先日、渋谷駅のハチ公前で「日本も大麻を合法化せよ」というデモをしている団体を見かけました。


しかしドイツでは大麻の所持と栽培の両方が制限されますので、これは本質的に部分的な合法化に過ぎないという点が重要です。

また、未成年者の大麻所持は依然として禁止されており、大麻の流通は認可された非営利グループの「大麻クラブ」によって規制・管理されます。

ドイツ国内の居住者はこの「大麻クラブ」の会員になれば1日に25グラム入手でき、1回あたり25グラムまで公共の場で携帯して使用できるようになるようです。

自宅での使用について、日本のニュースでは「18歳以上の成人は自宅で一か月間50グラム使用できる」という報道が多いのですが、ドイツのニュースを見ると、18歳から21歳の場合は月間の上限は30グラムとのことです。


このように、あくまで部分的な合法化で厳しい規制が含まれるとはいえ、野党などは強く反対し、医師会は成人でも脳への悪影響や依存の恐れがあるなどと警告しています。


さらに大麻合法化に関する法律は、警察や司法の間でも大きな議論を呼んでいます。

特にフランクフルトのようにすでに多くの麻薬が流通している都市では、認可された大麻の量を管理しなければならなくなり、手に負えなくなるからです。

大麻が合法的に生産されたものなのか、違法に生産されたものなのかの区別がつかなくなることもあり、闇市場が抑制されるどころか、逆に強化してしまう懸念もあるとのことです。


結局、合法化してもしなくても大麻使用者は増加するということでしょうか。
どうしてこのような社会になってしまったのか、もっと根本的な問題を解決する必要があると思いますが、簡単に解決などできない状況にまで陥ってしまったということでしょうね。。。


皆さんはどう思われますか?


それでは、また明日。
Bis morgen.
Tschüs!


【参考HP】





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