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今治で『サッカーをしている』という喜びを実感している#FC今治でプレーする  土肥航大

ボールを前へ、前へと運ぶ推進力があり、左足から鋭いパスを前線に通す――。今治里山スタジアムのデビュー戦となった第20節のテゲバジャーロ宮崎戦で、すばらしいプレーを見せてくれた土肥航大選手。7月、強い決意とともに、FC今治に加入しました。

サンフレッチェ広島ユースからトップ昇格を果たした土肥選手は、昨シーズンはJ2の水戸ホーリーホック、今シーズンは同じくJ2のヴァンフォーレ甲府に期限付き移籍して武者修行の日々を送ったあと、7月、FC今治に期限付き移籍で加入しました。

今治の竹元義幸GMが、ずっと注目してくださっていて、お話をいただきました。それから髙木理己前監督(現長野パルセイロ監督)がガイナーレ鳥取の監督時代に、たびたび広島と練習試合をしていて、そこでの僕のプレーを覚えてくれていたのだと思います。

甲府ではなかなか試合に出られず、今治でチャンスをいただくことになりました。J3は初めてという不安もあったし、難しい決断でもありましたが、一番は僕自身、試合に出たい思いがあって移籍を決めました。

不安というのは、たとえば練習や試合の環境ですか?

そうですね。自分のプレーに関しては、何の不安も持っていませんでした。実際に来てみて、プレー環境の良さに驚きましたね。いいとは聞いていたけれど、ここまで整っているとは、とびっくりしました。

今治里山スタジアムもできたばかりの新しいスタジアムで、ファン、サポーターのみなさんもたくさん応援に来てくださって、とても良い雰囲気でプレーできています。ずっと試合に出たかった自分としては、何よりうれしいですよね。

サッカー専用スタジアムがホームになるのは、僕にとっては初めてのことです。スタンドがとても近いですよね。ベンチもスタンドの中にある、ちょっと特別なもので。思いのほか広くはなくて、選手同士が肩を寄せ合うような状態なんですが、そういうところも含めて里山スタジアムでのプレーを満喫しています。

今シーズン前半の甲府では、どういう難しさがありましたか?

自分の持ち味は攻撃だと思っています。それは守備が課題ということでもあって。甲府ではボランチとして守備の部分や、前線がロングボールを競ったあとのセカンドボールを拾うところを求められ、取り組んでいました。

でも、持ち味であるはずの攻撃のところを、なかなかすり合わせることができなかったんです。中盤の右サイドもやりましたが、思うように自分のプレーを出せないままでした。

今治からは、どういうプレーを求められてのオファーでしたか?

ボランチでゲームをコントロールしてほしい、というところです。ボールにたくさん触ること、動き続けることが僕の特徴です。ボールに絡み続けながら前進していくことが、今治で求められています。最初のホームゲームのテゲバジャーロ宮崎戦(第20節○3-0)で、攻撃につなげる自分のプレーを出せたかなと思います。

宮崎戦は鋭いパスを何本も通し、すばらしいパフォーマンスでした。

ですが、波に乗っているときは、もっとやれます。まだまだです。ここからのプレーに期待してください。

『これが土肥航大選手のプレーなんだ!』というところを宮崎戦ではたくさん見せてくれました。今治のファン、サポーターに、自分のどういういうプレーに注目し続けてほしいですか?

甲府でも取り組んでいたセカンドボールを拾うこと、守備の強度のところは、少しずつ良くなってきていると思います。攻撃に関しては十分、通用すると自信を持っているので、もっとチームメートと互いの特徴を共有し、いいものをどんどん出していきたいですね。

ただ今治は、サイドから運んでクロスを上げて、はね返されてそのままカウンターを受けるシーンがけっこう多くて。攻めて、攻められての繰り返しになると、体力的にかなりきつい。攻撃では僕も高い位置を取りますから、クロスを上げるだけではなく、そこで僕にボールをあずけてもらえれば、また違う展開もつくれるのかな、と思います。そうするためにも、もっとチームメートの特徴を理解しないといけない。僕の特徴も、みんなに理解してもらわないといけないです。

僕、ノールックでパスを出すのが好きなんですよ。宮崎戦でも一度、ミカさん(三門雄大選手)と目が合ってうまくパスを通すことができました。あそこは決めてほしかったですね(笑)。

チームでのコミュニケーションも大切になってきますね。

同じボランチということで、ミカさんとよく話をするのですが、『どんどん周りに要求していいよ』と言われています。スルーパスを出すときも、『そこに走れ!』というメッセージをこめるくらい、思い切っていい、と。

あとは、ボールに触りたくて気がつくとポジションが低すぎることがあるんです。ミカさんには、『パスを出して、前に出て行くことを繰り返してほしい』とも言われています。

選手の入れ替わりや監督交代など、大きな変化がある中で、チームはJ2昇格を目指します。

今シーズン、まだ3連勝していないんですよね? 今年の前半、甲府で3連勝、4連勝したとき、チームが俄然勢いづくのを肌身で感じました。今治も、目の前の試合をしっかり戦って勝利して、それを続けてまずは3連勝したいですね。

僕は、サッカーは楽しんでプレーするものだと思っています。甲府ではなかなかそういう状態をつくれませんでしたが、今治に来て、宮崎戦では久しぶりに『サッカーをしているな』という感覚がありました。それがうれしかったし、まだまだ、もっと良いプレーをしないといけない思いも強いです。今治の勝利、昇格に貢献できるようにがんばります。

取材・構成/大中祐二

以下の動画は、土肥選手がラジオ番組「FC今治のカナイがイカナイト」に出演した際の放送アーカイブです。ぜひご視聴ください。