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ボールがつなぐ、地域の絆

私たちには、地域の子どもたちにサッカー教室やクリニックを通じたコミュニティの形成、健やかでサッカーに親しむ機会を作るホームグロウングループがあり活動をしています。

2020年はコロナ禍によりホームグロウン活動を縮小していましたが、第一波が収束した5月より今治市内の小学校、幼稚園などでの巡回指導を再開しました。

障がい者サッカー教室の開催

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8月には知的障がいや発達障がいの児童を対象とした『FC今治 みんなで楽しむサッカー教室』をサン・アビリティーズ今治で開催しました。

今回のサッカー教室では参加者12名の児童と保護者、FC今治ホームグロウンスタッフの他にも、FC今治レディースのTOP選手、スポーツリズムトレーニングなどを行う地域の特別支援学校の先生方などもスタッフとして参加いただきました。

サッカー教室では、リズムトレーニングからスタートし、ボールを蹴る、シュートを打つ、そして試合をする。という流れでサッカー経験の有無は関係なく、いちから始めて参加者が体を動かす喜びを感じられるメニューとなっていました。

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参加者した小学5年生の男子児童は、教室の終了後「とても楽しかった、特にゴールを決めたことが一番印象に残っています。サッカーは好きなので、またこのような教室があれば参加したいです」と笑顔で語ってくれました。

参加児童の保護者からは、「今回のサッカー教室は、放課後デイサービスで知り参加しました。このようなサッカー教室は健常者と一緒に行うと、子どもはちょっとついていけなくてしんどそうにすることがありましたが、今回の教室は子どもに合ったかたちのプログラムで良かったです。子どもも朝から今日の教室を楽しみにしていて、うれしかったです」と感想をいただきました。

参加者に寄り添ったプログラム

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発達障がいの児童に対し事前に今日の教室で行うメニューを掲示し、その日に行う行動を先に示し児童に余計な不安を与えない支援や、ゴールをすると星マークのシールを貼って達成感を味わってもらえる達成シールの仕組みなど、障がい者の児童が理解を深め、飽きない仕組みで教室を運営しました。

これらの支援は、今回参加してくださった特別支援学校などで普段から障がいを持つ児童と接する先生からのアドバイスによるもので、ホームグロウンスタッフと地域の先生方との連携もこのイベントを通して行え、地域における協働のひとつにもなりました。

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今回スタッフとして参加した、今治特別支援学校に勤務し、スポーツリズムトレーニング認定インストラクターでもある森本康太さんは、FC今治との連携について次のように語ってくれました。

森本:以前からFC今治のスタッフさんとは私の受け持っている部活のフットベースボールの対戦相手を務めていただくなど、交流がありました。そのご縁から今回障がい者メインのイベントを企画いただき、私の行っているスポーツリズムトレーニングも取り入れたプログラムということで参加しました。

今回のサッカー教室では、元来の目的であった子どもたちが楽しく体を動かして生き生きとしていたことはもちろん、FC今治スタッフの方々もとても楽しそうに活動していたのが印象的でした。

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私自身もスポーツリズムトレーニングの普及をめざしており、FC今治と共働を行うことにより普及がより広がると思っています。今後FC今治のトップチームが活躍することにより認知度や普及度に関しても無限の可能性を秘めているとも思っています。

地域における、子どもから大人、障がいのあるなしに関わらず楽しく参加できるイベントを企画されているFC今治ホームグロウンの活動は、私自身もとても刺激を受ける存在です。

生涯スポーツとしてのサッカー

今回のサッカー教室を担当した、ホームグロウングループの安倍亮太さんは今回の活動を通して「改めてサッカーは誰でも楽しめるスポーツだと思った」と語ってくれました。

障がい者の子どもたちを対象にサッカー教室を開催したのは、以前から障がいのある子どもたちにサッカーの楽しさを伝えることはできないのか? 安倍さんがそう考えていたことがきっかけでした。今回のサッカー教室について安倍さんはこう振り返ってくれました。

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安倍:障がい者の子どもたちを対象にするのは初めての試みで不安もあったのですが、何としても「楽しかった!」「またサッカーしたい!」と思って帰ってもらえるように準備をしてきました。準備をする中で、私たちスタッフだけでは分からないこと、経験していないことがあるのではないかということで、普段からお世話になっている、障がい者サッカーチーム『えひめ i select』の指導者、スポーツリズムトレーニングの森本先生らは特別支援学校で勤めておられますので、専門的な知識や経験が豊富な方々にもご協力を頂けないかと思いお願いをしました。

その結果、子どもたちの笑顔があふれ一生懸命にプレーする場を作ることが出来ました。これも地域の先生方のアドバイス、お力添えがあったからこそだと思います。今回参加してくれた子どもたちがずっとサッカーが好きでいてくれたらいいなと思います。

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運営面では、地域の指導者の方と一緒にイベントを運営することはお互いにとってメリットのあることだと思いました。例えば、今回のサッカー教室がきっかけで「またサッカーがしたい! でも少年団やクラブに行くのは不安」という子がいたとします。今回ご協力頂いたえひめ i selectは障がいのある子どもを対象にしたサッカーチーム(知的障がいサッカー)です。えひめ i selectの存在や活動を知ってもらうことで「ここならサッカーを楽しめるかも!」と思い、練習会などに足を運んでいただければ、定期的にサッカーをプレーする場所ができるのではないかと思います。

私たちが知らないことに関しては外部有識者の方と接点をつくり、お手伝いをいただくことが多いです。今度はブラインドサッカーの体験会を予定しています。こちらについても我々スタッフは未経験なので分からないことだらけです。今度は愛媛県障がい者スポーツ協会の障がい者スポーツ地域コーディネーターの方にお世話になり、体験会に向けて現在準備をしているところです。

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今後も私たちホームグロウングループでは、サッカーやスポーツを通して笑顔をお届けできる活動ができればと思います。ホームグロウングループの活動を通して、競技スポーツとしてのサッカーだけではなく、生涯スポーツとしてそれぞれの楽しみ方でサッカーと関わる人が増えて欲しいです。関わり方を決めるのは、他の誰でもなく自分です。

今治の地域で『サッカーの普及』という言葉がなくなるくらい、サッカーが浸透している地域になれば、その結果としてFC今治の試合では常に満員御礼のスタジアムができるのではないかと思います。

ホームグロウン活動はサッカーと地域を繋ぐ存在

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FC今治のホームグロウン活動は、地域の子どもたちにボールと触れ合う楽しさはもちろん、健やかな成長を手助けする大人同士を繋ぐ役割も担っています。FC今治というサッカークラブが存在することでできる地域への還元は、健康増進や地域コミュニティの活性化という形で地域の豊かな暮らしを支えています。