「ありがとう」を唱え続けることによる健康効果などの事例報告と、管理された環境下での再現実験の必要性
序論
自己啓発系の本の中には、「ありがとう」を唱え続けて健康になったり病気が治ったという事例を報告しているものがある。例えば以下の本である。
『ありがとうの神様』(小林正観)
『自分の名前に「ありがとう」を唱えるとどんどん幸運になる!』(愛場千晶)
ここでは「ありがとう」を唱え続けて病気を治した事例や、その他の、「ありがとう」を唱え続けることで得られる効果の報告を紹介し、それらを確かめるための実験、ランダム化比較試験などをする必要性、意義などについて論じる。
本による報告の内容
まずは、「ありがとう」を唱え続けて病気を治した具体的な事例が書かれている本を引用し、紹介する。
以下、『ありがとうの神様』(小林正観)5ページ3行目~8ページ2行目を引用させていただく。
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あるとき、60代の女性と30代の女性が、講演会場の受付で、私(筆者注・小林正観氏)を待ち受けていたことがあります。若い女性は娘さんで、私を見つけるなり、「この人が小林正観さんよ」と母親に紹介しました。すると母親は、私に頭を下げ、こう言ったのです。
「お初にお目にかかります。命を助けていただいて、ありがとうございました」
初対面の方から、「命を助けていただいて・・・」と言われ、私は一瞬、戸惑いました。詳しくお話をうかがってみると、「『ありがとう』を言い続けたところ、末期ガンが治った」というのです。
ある時期、立ち上がれないほど体が弱ってしまったことがあったそうです。診察を受けるとガンが見つかりました。すでに末期の状態で、医師から「余命宣告」を受けます。
暗澹たる気持ちを抱えながらも、ひとつだけ光明がありました。余命宣告を受ける1週間ほど前に、娘さんから「ありがとうの不思議」について話を聞いていたのです。
「小林正観さんという人から『ありがとうの不思議』について聞いたことがあった。心を込めなくてもいいから、『ありがとう』を2万5000回言うと、なぜか涙が出てくる。涙が出たあとで、再び『ありがとう』を言おうとすると、今度は、心のこもった『ありがとう』の言葉が出てくる。そして、心のこもった『ありがとう』をあと2万5000回言うと、嬉しく、楽しく、幸せな奇跡が起きはじめるらしい」
この話を思い出した母親は、「手の打ちようがないなら、奇跡に頼ってみよう」と思い、「1日1000回、100日間、『ありがとう』を言う」ことを決意したのです。
1ヵ月ほどたって、「ありがとう」を約3万回言ったところで、「自分の足で立ち、歩ける」ようになり、2ヵ月ほどたって、「ありがとう」を約6万回言ったところで、近所の方から「顔色がよくなりましたね」と言われるようになり、3ヵ月ほどたって、「ありがとう」が9万回を超えたあたりから、「体重が増えて、顔つきもふっくら」してきた。
さらに10日間、合計10万回の「ありがとう」を言ったあとに病院で検査を受けると、奇跡が起きます。「ガン細胞が、全身からすべて消えていた」というのです。
ある講演会では、こんなことがありました。末期ガンと診断された方が会場の前に出て、「私に、ありがとうの声をかけてほしい」と全員に呼びかけました。
会場に集まった200人が、1分間100回、合計「2万回」の「ありがとう」を浴びせたのです。会場は、なんともいえない温かい空気に包まれました。そして3日後の精密検査で、「ガン細胞が消えた」という結果がもたらされたそうです。
すべての人にこの方程式が当てはまるのかはわかりませんが、「ありがとう」という言葉の不思議を証明する、とてもおもしろいエピソードです。
------------(引用終わり)
もしかしたら読者の中には、「『ありがとう』でなくても、同じ言葉を繰り返し言ったり聞いたりすることで健康になれるのではないか」と考える者
もいるかもしれない。しかし、こういった説は以下の報告で否定されると私は考える。
以下、『自分の名前に「ありがとう」を唱えるとどんどん幸運になる!』(愛場千晶)の78ページ3(4)行目~79ページ5行目より引用させていただく。
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私(筆者注・愛場千晶氏)の本(『自分の名前に「ありがとう」を唱えると奇跡が起こる!』)を読んで、「ありがとう」を言ったくらいで病気が治るはずがないと思い、徹底して自分にバカヤロウと言い続けたという人がいました。
本で伝えていることと反対のことをやったのです。自分にバカヤロウを言っているとますますムカムカしてきたそうですが、それでも続けました。すると、体が突然動かなくなり、体調がひどくなって入院することになりました。
それで、ものすごい剣幕で「あなたの本のせいで体を壊した」と連絡してきたのです。「私は、ありがとうと言いましょうとは本に書きましたが、決してバカヤロウを言いましょうとは書いていないし、推奨もしていません。あなたが真逆のことをやって体を壊したと言われても困ります」と伝えました。
そのあと、恐る恐る「『ありがとう』を言ってみませんか。バカヤロウの3倍言い続けてみてください。入院して時間があるなら、やってみてください。心の中で言ってもいいですが、できたら声に出して『ありがとう』を言ってみてください」と提案してみました。
数ヵ月後、その方から手紙が届きました。そこには、体が回復して退院できたこと、そして「ありがとうは凄い」とつづられていました。
------------(引用終わり)
インターネット上の報告の内容
インターネット上には、ブログなどで、「ありがとう」を多く唱え続けることで健康になったり、人間関係が良好になったなどという報告が多くある。ここではそれらの一部を要約し、箇条書きで紹介する。ただ、これらは私と同じような一般の方の報告で、エビデンスレベルは高くはないことに注意されたい。
「ありがとう」を多く唱え続けることによって得られた効果の事例
・風邪をひいたが、「ありがとう」を多く唱えていたら、風邪がいつもより早く治った。
・体の痛みがある部位に「ありがとう」を言ったら治った。
・職場の同僚たちは事故にあったが、自分だけ事故にあわなかった。
・ラジオ番組に送ったメールが採用されやすくなった。
・金銭面が改善され、お金を多く得られるようになった。
・「ありがとう」を多く唱えながらパチンコをやると、勝ち続けることができた。
・恋人ができて、不思議なくらい大切にされている。
・「ありがとう」を多く唱え続けていると、母は唱えていないのにもかかわらず、母の病気が治った。
・異性や同性からとてもモテるようになった。
ランダム化比較試験(RCT)の必要性と、研究の意義
ランダム化比較試験とは、簡単に言えば、対象の集団を無作為に複数の群、介入群と対照群に分けるなどして、試験的操作を行い、その影響・効果を測定し、明らかにするための比較研究である。
前に記述した、「ありがとう」を唱えることで健康になった事例は報告であり、管理された環境で厳密に確かめられたものではない。「ありがとう」を何回唱えれば病気が治るのか、個人差や男女差はあるのか、「ありがとう」を多く唱えればどんな病気も治るのか、「ありがとう」を多く唱えても病気が治らない場合はあるのか、など、明らかにすべき点は多くある。それ故、ランダム化比較試験などのエビデンスレベルが高い手法で確かめることが必要だろう。
この研究の意義としては、ガン患者が「手術療法」「薬物療法」「放射線療法」の3種類のガン治療の選択肢に、「『ありがとう』を多く唱え続ける」という安全で苦痛がほぼない選択肢が加わる可能性があることがあげられる。
また、現在世界中で流行している、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の治療・予防方法として「『ありがとう』を多く唱え続ける」ことが有効であると判明すれば、それを実践することで多くの人命が救われ、医療崩壊を防ぎ、健全な経済活動が行える可能性も上がるかもしれない。
謝辞
「ありがとう」を多く唱え続けることで健康になれるなどの多くの報告をしていただいた、故・小林正観氏と、愛場千晶氏、そしてインターネット上の多くの人々、本文を最後まで読んでいただいた方々に感謝申し上げる。
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