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ライトノベルの話


スレイヤーズの時代

ースレイヤーズは、1989年に創設された「ファンタジア長編小説大賞」の第1回準入選作品です(第1回は大賞は出ていません)。ライトノベル界の御三家といっていい「角川スニーカー」「電撃」「富士見ファンタジア」ですが、その中でも最古の小説賞の最初の受賞作品なわけです。その最初のアニメ化は、1995年のことでした~中略~あのヒットが無ければ、ハルヒもわっちもふもっふもかのこんもバッカーノも図書館先頭もなーんにもなかったかもしれない…そう思うと、ちょっと特別な作品に思えてきますー  参照サイト


ライトノベルの金字塔、と揶揄される「スレイヤーズ」はメディアミックス化の成功譚で、ラジオ、コミック、アニメ、ゲーム、音楽、映画と、当時メディア化できるもんは全部ぶっこんでいた。90年代当時、人気絶頂だった林原めぐみの貢献を差し引いても、こんなにとんとん拍子に進んだ作品は他に類を見ない。

挿絵がはいっているのがこのジャンルの功罪で、私は世界観と文章と絵柄がガチっとはまらないと読めないため、年に百冊近く乱立する作品の中から数冊しか手にしていない。(もったいない…)


当時の愛読書 

■電撃文庫
「爆れつハンター」あかほりさとる
変態度高め、ページが半分白い

■角川スニーカー文庫
「フォーチュン・クエスト」深沢美潮
図書館推進、冒険に出たくなる 

「ロードス島戦記」水野良
正統派ファンタジー

■富士見ファンタジア文庫
「スレイヤーズ」神坂一
呪文詠唱、キャラ萌え

「ロスト・ユニバース」神坂一
なんちゃってスター・トレック&なんちゃってソノラマ文庫

「魔術士オーフェンはぐれ旅」秋田禎信
躁鬱、北欧神話、シスコン

「機械仕掛けの神々」「<骨牌使い>の鏡」五代ゆう
正統派ファンタジー、世界構築やばい

「卵王子 カイルロッドの苦難」冴木忍 
人間ドラマ、キャラクター名かっこよすぎ問題、泣ける

「Black Blood Brothers」 あざの耕平
吸血鬼、社畜、九龍兄弟萌え


ライトノベルのざっくりとした定義

『ファンタジーまたは現実世界をモデルとしたフィクションでコミックに近しい挿絵が多い中高生向け』作品かな?と勝手に思っている。90年代は本編、外伝とふたつのシリーズを同時刊行して読者をふやす、というやり口が斬新で、人気のある作品はその傾向が強かった。

「魔術師オーフェン」は本来シリアス作品なだけに、無謀編シリーズのコミカル需要があったし、「スレイヤーズ」は外伝でサブキャラや魔族側の裏事情、後日談が描かれていて世界観の補完に役立つという仕掛けになって一粒で二度おいしい、を実践していた。


私と五代ゆう

五代ゆうに出会ったのは小学生の頃。塾帰りの本屋でみつけた「機械仕掛けの神々」にはまり、彼女の作品をお小遣いで買い漁っていた。挿絵はゆうくりっど。「ビーストマスター」というケモナーの走りの漫画を描いていた。

オタクまっしぐらな絵柄

彼女の作品集に「ゴールドベルク変奏曲」というタイトルがあったので、以来バッハとは運命めいたものを感じている。五代ゆうは故栗本薫の「グイン・サーガ」続編プロジェクトにも参加している実力派で、骨太なファンタジーを得意とする小説家だ。私は「骨牌使いの鏡」「はじまりの骨の物語」「遥かなる波濤の呼び声」など初期作品が好きだった。彼女が構築する世界観は引用するのもはばかれるので割愛するが、一時は「五代ゆう&榊一郎の小説指南」というムック本まで読み込んでいた為、自分が書くフィクションには(ファンタジーのドラゴンや魔法は出てこなくとも)大分彼女の影響が濃く出ていると思う。


骨牌使い~は占いも物語の軸になっており、タロットカード好きな私としては1ページ目からワクワクがとまらなかった。読み終えて主人公カップルの愛に満ちた生き方に悶え嘆き、盛大にへこんだ。たまにピュアな心を取り戻したくなったとき、読み直すことにしている。

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