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30-Day Film Challenge - Day 5 大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院


twitterで回ってきた映画チャレンジ、noteで書いてみよう!

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Day 5 - a film where a character has a job you want

「大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院」2005年製作

監督フィリップ・グレーニング
原題:Die grosse Stille
あらすじ:カトリック教会の中でも特に戒律が厳しいカルトジオ会に属するフランスの男子修道院、グランド・シャルトルーズの内部を、初めて詳細にとらえたドキュメンタリー。ドイツ人監督フィリップ・グレーニングが1984年に撮影を申請、それから16年の歳月を経て許可がおり、音楽・ナレーション・照明なしという条件のもと、監督ひとりだけ中に入ることを許された。監督はカメラを手に6カ月間を修道院で過ごし、俗世間から隔絶された孤独な世界で決められた生活を送りつづける修道士たちの姿を、四季の移ろいとともに映しだしていく。

2006年サンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞した作品。ドキュメンタリーにちかい映画です。900年前に建てられた修道院でカルトジオ会の総本山でもあるグランド・シャルトルーズ。日本でいえば高野山(真言宗)みたいなもんですかね。

冒頭は聖書の一節と白い服に身を包んで祈る男性の横顔。「クビクルム」と呼ばれる個室はベッドと机、祈祷用の木のデスクが与えられている。朝の鐘がなり雪に覆われた山間が映しだされる。白いフードの人影が石畳の通路をわらわらと歩き出す光景は神秘的で、どこかスターウォーズっぽさもあり。

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30人ほどの修道士たちは各自のスキルをいかして炊事洗濯、土木作業など課せられたタスクを日々こなしていく。一様に独身で私有財産を持たず、許可なしに修道院から出ることもない。院内の墓地に葬られて一生を終える。タスクはあれど個々の裁量で瞑想や読書、書き物などが許されているので「集団としての規律と目的を共有しながら、プライバシーと個性も絶妙なバランスで尊重されている」のが特徴だ。私が本来目指している憧れの職業(生き方)はこれかもしれない、とふと思った。

合間合間に挟まれる修道士の顔はどこかみな茫洋としていて、わるくいえば個がない。人種も年齢もバラバラなはずなのに「グランド・シャルトルーズ」の顔がにじみ出ている。ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」にある修道院ベネディクト会の厳しい戒律「笑っていけない」に通じるものがあり、ここでも修練のひとつとして取り組まれている。修道士同士が会話できるのは日曜の昼食会などに限られているため、ほとんどの時間を沈黙に費やすことになる。

…といいながら、ネコちゃんと戯れる修道士もいる。倉庫に集まる野良猫たちにミルクあげながらめっちゃしゃべってる。冬のアルプス山脈でどうやって生きてるのか謎。修道院に寝泊まりしてるのか?にーにーいいながらネコちゃんに呼びかける姿、かわいいの極み。

ある日、エチエンヌとバンジャバンという名前の若者が修道院へ志願にやってくる。まだ20代半ばのようで、ふたりは黒い布に身を包み教会で跪き入会の意思を伝える。相対的に真っ白な先輩修道士たちに承認を得る場面は、なんとも不思議(入会即バリカン→坊主の容赦ない流れに笑った)

藁のベッド、薪ストーブ、睡眠、礼拝、食事、ネコ。静謐に過ぎていく時間。神に近づく儀式は個人をゆるく自然に溶け込ませていくことなのかも。

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厨房で支度をする修道士。フェルメールのような場面

ちなみに青い胴衣のおじいちゃんはヨロヨロしながら早朝雪かき、そのまま食糧庫いって食事つくったり、森の中で水汲みしてたり働きすぎだよと思いました。心配。


「神は過去をお与えにならない。お与えになるのは現在のみである。神はわれわれの幸福のみを願われるので、身に起こる災いを憂慮する必要などない」

今の状況で見直すと心をなだめてくれる、優しい映画でした。




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