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特殊建築物とは?建築基準法第2条第一項第二号

建築基準法で定める「特殊建築物」について、完璧に理解していますか?

はじめに

fcamです。
この記事を読んでくださり、ありがとうございます。

まだこの記事を読まれていない方は、先にこちらを読んでいただけると幸いです。

さて、今回は「特殊建築物」についてです。

特殊建築物に該当すると、耐火や内装、構造等でさまざまな規則に該当することとなります。

・そもそも特殊建築物ってなんだっけ?
・何が特殊建築物に該当するんだっけ?
・法令集でどうやって特殊建築物かどうか調べるんだっけ?

そもそもの特殊建築物の定義を失念することもあるでしょう。

そこで今回は、建築基準法第2条(用語の定義)の「特殊建築物」について解説していきます。

基礎知識として、特殊建築物の基礎知識を補填していきましょう。

なるべく分かりやすく表現していきますので、最後までお付き合いください。

・特殊建築物の定義について知識が曖昧。
・該当する特殊建築物の条件がわからない。
・法令集で「特殊建築物に該当する建築物」が引けない。

こんな状態から

・特殊建築物の定義を理解する。
・特殊建築物に該当する建築物を理解する。
・特殊建築物に付与される法文を引けるようにする。

ここまでできるように、この記事で勉強しきってください。

それでは本題へどうぞ。

※この記事は「建築法規学習者」向けの記事です。
※5分程度を目安に時間を頂戴します。

4.章跨ぎ

1.法文と要約

〜建築基準法第2条第一項第二号より〜
学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

特殊建築物かどうかの判断に必要な事項は、「面積」ではなく「用途」です。

「法別表第1(い)蘭」を見て、隣の(ろ)〜(に)蘭の階数・面積が書いている部分が目に入り、規模が関係するのではないかと誤解する人もいそうではいますが・・・

それは耐火建築物等とするべきかどうかについての規模が記載されているだけです。

なぜなら特殊建築物かどうかに関する法文には「規模」の定義が存在しないからです。

ここは誤解のないようにしていただきたいです。

例えば、同じ「公衆浴場」でも規模2,000㎡を超えるスーパー銭湯も、50㎡程度の小さな銭湯も、「公衆浴場」であれば特殊建築物に該当します。

つまり・・・

「特殊建築物」とは、建物の「用途」的に防災上特別な措置が必要とされる建築物のこと。

詳しく見ていきましょう。

4.章跨ぎ

2.ポイント

実際に法令集を引くと、次のように分類できます。

「法別表第1(い)蘭」その他関係法令をまとめると、特殊建築物が6種類に分類されています。

①不特定多数の人が集まる建築物
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場

②就寝、宿泊を伴う建築物
病院、診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設(保育所含む)など

③教育、文化、スポーツに関する建築物
学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボウリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場

④商業、サービスに関する建築物
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、床面積が10㎡を超える物品販売業を営む店舗

⑤大火となりやすい建築物
倉庫

⑥出火の危険度が大きい建築物
自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ

「法別表第1(い)蘭」に記載のない特殊建築物も建築基準法第2条第一項第二号に記載されています。

工場、と畜場、火葬場、汚物処理場

読み落としのないよう気をつけてください。

特殊建築物の分類を大きく二つに分けると

・人が集まりやすい用途の建築物。
・火が発生する又は発生した場合に被害拡大の可能性が高い用途の建築物。

ここでもう一度要約を確認します。

建物の「用途」的に、防災上特別な措置が必要とされる建築物のこと。

火災が発生した場合、建築物も特別な措置を講じていなければ人命に関わることが見て取れるでしょう。

分類することで、特殊建築物を定めるべきであることがわかりますね。

4.章跨ぎ

3.具体例

頭の体操程度に特殊建築物かどうかを判断していきましょう。

・演芸場
・下宿
・銀行
・バー
・事務所
・保育所
・寺院

この中で特殊建築物に該当する建築物はどれでしょう。



〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜

正解は
・演芸場
・下宿
・バー
・保育所

でした。

特殊建築物と間違われやすい建築物もここで確認しておきましょう。

・銀行
・市役所
・神社、寺院
・事務所
・長屋・専用住宅

これらは特殊建築物に該当しません。

よく一級建築士のひっかけ問題として登場するため、受験生は特に注意してください。

これで特殊建築物の見分け方がわかりましたね。

4.章跨ぎ

4.関係法文

「特殊建築物かどうか」について法令集で調べる場合の手順について紹介します。

①まず建築基準法第2条第一項第二号を引きます。

②その後、「法別表第1(い)蘭」を確認します。

③それでも見つからない場合は「建築基準法施工令第115条の3」を確認します。

この流れで「特殊建築物に該当するかどうか」の問題が解けます。

一級建築士学科試験の受験生がこの記事の読者なら、「法別表第1(い)蘭」は法規の問題を得上でかなり重要な部分であることが理解できるでしょう。

お手持ちに法令集がある方は、一度「具体例」の施設が特殊建築物かどうか、パッと調べられるよう学習を進めてください。

これで特殊建築物の見分け方・法令集で調べる場合の手順について完璧に理解できたと思います。

4.章跨ぎ

おわりに

お疲れ様でした。

・特殊建築物の定義について知識が曖昧。
・該当する特殊建築物の条件がわからない。
・法令集で「特殊建築物に該当する建築物」が引けない。

こんな状態から

「1.法文と要約」
特殊建築物とは、建物の「用途」的に防災上特別な措置が必要とされる建築物のことと理解する。

「2.ポイント」
特殊建築物は大きく2つに分類できる。
・人が集まりやすい用途の建築物。
・火が発生する又は発生した場合に被害拡大の可能性が高い用途の建築物。
防災上特別な措置が必要な建築物を定める理由を理解する。

「3.具体例」
特殊建築物かどうかの確認を実例を用いて確認する。

「4.関係法令」
実際に法令集を使い、特殊建築物を手順通り引く。

この工程を踏み目的である

・特殊建築物の定義を理解する。
・特殊建築物に該当する建築物を理解する。
・特殊建築物に付与される法文を引けるようにする。

ここまでできるようにまとめさせていただきました。

全て理解できましたでしょうか。

読者の皆様が、この記事を役立てていただけると嬉しく思います。

人間の記憶は曖昧なものです。

どんなに初歩的なことでも、時間が経てば忘れてしまいます。

もし忘れてしまった場合、再度確認しにこの記事を役立ててください。

忘れてしまったことを開き直り、不足した知識を補っていきましょう。

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