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建築設備とは?建築基準法第2条第一項第三号

建築基準法で定める「建築設備」について、完璧に理解していますか?

はじめに

fcamです。
この記事を読んでくださり、ありがとうございます。

まだこの記事を読まれていない方は、先にこちらを読んでいただけると幸いです。

さて、今回は「建築設備」についてです。

法文短い、関連法文もないことからあまり重要視されていません。

では質問します。

「建築設備」と「建築設備等」の違いを説明できますか?

答えられた読者は素晴らしい。

このページは読まなくても良いかもしれません。

・そもそも建築設備とは?
・何が建築設備に該当するんだっけ?
・建築設備と建築設備等は何が違うの?

この疑問を解消していきます。

今回は主に、建築基準法第2条(用語の定義)の「建築設備」について解説していきます。

「4.関係法文」で建築設備等についても触れていきますので、建築設備についておさらいしつつ併せて理解してください。

順序立てて説明していきますので、順を追って読み進めてください。

・建築設備の定義について知識が曖昧。
・該当する建築設備の種類がわからない。
・法令集で「建築設備等」が引けない。

こんな状態から

・建築設備の定義を理解する。
・建築設備に該当するものは何かを理解する。
・建築設備等を引けるようにする。

ここまでできるように、この記事で勉強しきってください。

※補足
一級建築士学科試験の話をします。
試験では、過去に「建築設備であるか?ではないか?」程度の問われ方しかされたことがありません。
試験対策としてはそこまで深掘りする必要はありませんので、建築設備の定義だけ読み終えたら他の記事に移行してください。
それでは本題へどうぞ。

※この記事は「建築法規学習者」向けの記事です。
※7分程度を目安に時間を頂戴します。

4.章跨ぎ

1.法文と要約

建築基準法第2条第一項第三号より

建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

1.電気設備
2.ガス設備
3.給排水設備
4.換気設備
5.冷暖房設備
6.消化設備
7.排煙設備
8.汚物処理設備
9.煙突
10.昇降機
11.避雷針

これらを「建築物と一体的に設ける」場合は建築設備に該当します。

条文は「〇〇等」で構成されていないため、条文内にあるこの11種類に限定して「建築設備」と定義づけています。

ここで言う「建築物と一体」とは、建築物の中に収まるという意味ではありません。

建築物の内外、敷地の内外にかかわらず、建築物と一体的に設けているものは建築設備と定義づけられます。

・屋上に設けられる受水槽や避雷針
・外部に設けられる浄化槽や汚物処理設備

これらも建築設備として扱われることから、人がより快適に建築物を利用するための機械・配線配管・設備機器等を総称して建築設備と定義づけています。

つまり建築基準法では、建築物と一体的に設ける11種類を総称して「建築設備」と称しています。

4.章跨ぎ

2.ポイント

建築設備に該当した場合、「建築物」に該当し、建築基準法の適用を受けることとなる。

建築基準法第2条第一項第一号より

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

法文の最後に「建築設備を含むものとする。」と記載を確認できますね。

建築設備が「建築基準法上の建築物」に該当すると、さまざまざ基準が適応されます。

建築物も規模や用途によって確認申請が必要になると同様、建築設備にも確認申請が必要になるものも存在します。

建築基準法第87条の4(建築設備への準用)より

政令で指定する昇降機その他の建築設備を第六条第一項第一号から第三号までに掲げる建築物に設ける場合においては、同項(第八十七条第一項において準用する場合を含む。)の規定による確認又は第十八条第二項(第八十七条第一項において準用する場合を含む。)の規定による通知を要する場合を除き、第六条(第三項、第五項及び第六項を除く。)、第六条の二(第三項を除く。)、第六条の四(第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第七条から第七条の四まで、第七条の五(第六条の四第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第七条の六、第十八条(第四項から第十三項まで及び第二十五項を除く。)及び第八十九条から第九十条の三までの規定を準用する。この場合において、第六条第四項中「同項第一号から第三号までに係るものにあつてはその受理した日から三十五日以内に、同項第四号に係るものにあつてはその受理した日から七日以内に」とあるのは、「その受理した日から七日以内に」と読み替えるものとする。

建築基準法施工令第146条より

法第八十七条の四(法第八十八条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定により政令で指定する建築設備は、次に掲げるものとする。
一 エレベーター及びエスカレーター
二 小荷物専用昇降機(昇降路の出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高いことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
三 法第十二条第三項の規定により特定行政庁が指定する建築設備(屎し尿浄化槽及び合併処理浄化槽を除く。)
2 第七章の八の規定は、前項各号に掲げる建築設備について準用する。

つまり、

①建築基準法第6条第一号〜第三号の建築物の昇降機
②建築基準法第6条第一号〜第三号の建築物の小荷物専用昇降機(告示に定めるものを除く)
③特定行政庁が指定する建築設備

上記により定められるエレベーターその他一部の建築設備は確認申請が必要ということがわかります。

4.章跨ぎ

3.具体例

頭の体操程度に建築設備かどうかを判断していきましょう。

・消化器
・防火シャッター、防火扉
・排煙窓
・避難はしご
・空調ダクト
・側溝
・電話ケーブル

この中で建築設備に該当するものはどれでしょう。




〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜

正解は

・消火器(消火)
・排煙窓(排煙設備)
・空調ダクト(換気設備)
・側溝(給排水設備)
・電話ケーブル(電気設備)

でした。

ちなみに避難設備は建築設備に該当しません。

よく一級建築士のひっかけ問題として登場するため、受験生は特に注意してください。

これで建築設備の見分け方がわかりましたね。

4.章跨ぎ

4.関係法文

建築基準法第12条第一項(一部抜粋)より

これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

つまり、建築設備等とは「建築設備+防火戸その他の政令で定める防火設備」のことです。

ここで生まれる疑問としては「防火戸その他の政令で定める防火設備」とは何かです。

建築基準法施工令第109条第1項で定義されています。

法第二条第九号の二ロ、法第十二条第一項、法第二十一条第二項第二号、法第二十七条第一項(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。第百十条から第百十条の五までにおいて同じ。)、法第五十三条第三項第一号イ及び法第六十一条の政令で定める防火設備は、防火戸、ドレンチャーその他火炎を遮る設備とする。

そもそも建築基準法の12条点検とは、建築物の安全性を確保することを目的とした点検に関する法規です。

点検が必要となる建築設備その他類するものを「建築設備等」と称していることがわかります。

「3.具体例」で紹介した

・消火器(消火)
・排煙窓(排煙設備)
・空調ダクト(換気設備)
・側溝(給排水設備)
・電話ケーブル(電気設備)

これら建築設備は「建築設備等」とも言えますが

・防火戸
・ドレンチャー
・その他火炎を遮る設備
これらは建築設備等に含まれますが「建築設備」ではありません。

つまり、

・建築設備とは「建築物と一体的に設ける11種類の設備」
・建築設備等とは「建築設備と防火戸その他12上点検が必要となる設備」

違いがわかりましたか?

4.章跨ぎ

おわりに

お疲れ様でした。

・建築設備の定義について知識が曖昧。
・該当する建築設備の種類がわからない。
・法令集で「建築設備等」が引けない。

こんな状態から

「1.法文と要約」
建築基準法では、建築物と一体的に設ける11種類を総称して「建築設備」と称することを理解する。

「2.ポイント」
建築設備に該当した場合、「建築物」に該当し、建築基準法の適用を受けることを理解する。
また、エレベーターその他一部の建築設備は確認申請が必要ということを理解する。

「3.具体例」
建築設備の見分け方について、実例を用いて確認する。

「4.関係法令」
「建築設備」と「建築設備等」の違いを知る。

この工程を踏み目的である

・建築設備の定義を理解する。
・建築設備に該当するものは何かを理解する。
・建築設備等を引けるようにする。

ここまでできるようにまとめさせていただきました。
全て理解できましたでしょうか。

読者の皆様が、この記事を役立てていただけると嬉しく思います。

人間の記憶は曖昧なものです。

どんなに初歩的なことでも、時間が経てば忘れてしまいます。

もし忘れてしまった場合、再度確認しにこの記事を役立ててください。

忘れてしまったことを開き直り、不足した知識を補っていきましょう。

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