ただ交わればいいわけじゃない
一緒にいる日々に違和感はなくても
まだまだお客さん感が消えない気がする件と
私を嘘みたいに愛でてくれるタミオ君の優しさが一体いつまで続くんだろうという、よからぬ妄想をしてみたり
なんだか自分がとても頑張ってる気がしちゃうっていうような、昨日書いたばかりのお話。
昨日はタミオ君が休みだったので
私の仕事終わりに会社まで迎えに来てもらって
いつもは帰りにどこかでご飯を食べるんだけど、昨日はタミオ君の出張土産で先月持ってきてくれた黒ラーメンなるものと、一緒に食べようと思って買っておいた冷凍のギョーザを作って家でご飯を食べた。
昼間私が仕事をしている間、タミオ君は一人で買い物に出かけていたようで、可愛いティッシュカバーと陶器のケースを大小2つ突然プレゼントしてくれた。
明日の朝一緒に食べようとパンも買ってきてくれていて、最近家でずっと作ったご飯を食べてたから、もしかすると気を使ってくれたのかもしれない。
ラーメン餃子の神コンビを食べ終わった後、先日要求して届いていた新築マンションの資料を一緒に見たんだけれど
先日発見してしまった良くない口コミが頭に残っているのか、テンションが上がらない様子がひしひしと伝わってきていた。
思いの外高額な初期費用に呆然とし
『振り出しに戻っちゃった感じだね』と笑うタミオ君に
そうかやっぱり振り出しに戻ったんだな、と思った。
現実的に、今の二人にとって新築マンションを購入するという野望は 夢が大きすぎることをお互いに実感している。
今のマンションに通ってもらうことでも同棲結婚シミュレーションはできてしまうし、部屋を借りることを考えれば 有料駐車場に毎回停めるほうがお金もかからないということは共通認識のようだった。
選択肢が一つ削られただけなのに、一緒に暮らす可能性が激減したような気持ちになってしまったのも正直なところ。
そうじゃないって今はわかるけど。
夜って、ヨクナイネ。
心のどこかで私は、今の自分の立ち位置が【いいとこ取り】な気がしていて
汚れた作業着を洗わない
きれいになったタミオ君しか帰ってこない
私がごはんを作れない時は家で食べてきてくれる
という状況に
タミオ君の実家や親御さんに甘えているなと感じていた。
タミオ君自身も、最寄りの有料駐車場代と 時折かかる外食費用を負担するだけで済んでいるのは 実家暮らしのおかげだと思うんだけど
そういう点において、私が勝手に気にしているよりもずっと、家族やご両親から「それは甘えだぞ」という指摘を受けているわけではないようだ。
タミオハウスでは、「家を出るなら、今実家に納金している生活費はなくしてもいい」という話を、どうもされているらしい。
我が家には少ない年金に少ない給料を足しても生きていけない母親しかいないので、私が自分の生活費より高額な金額を毎月振り込んでいる。
今でこそ、日々の生活に必要だった費用を極限に抑える努力を行い、納入金額を減らしてくれてもいいと了承を得ているが、私自身もいつまで働けるかわからないし、今の家を出るまでは続けるから無駄遣いはしないでくれたらいい と約束して 実家暮らしの時と変わらない金額を捧げ続けている。
魂削って稼いだお金を半分以上納金しても足りないと言われ続けてきた日々が長年繰り返されてきた故に
一般的に長らく職に就いてきたお父様の退職金や年金がいくらあるのか見当もつかないし、そんなお父様が労働者を卒業した今 タミオ君からの入金が止まって残りの家族が生活できるほどの収入や貯蓄があるのか心配になってしまう。
あるんだろうな、一般的なお家には。
私の想像がヘボすぎてわからないけど。
その辺りはタミオ君も詳しくは知らないらしく、現状家に残っているので適正な金額を家にいれている状況であるため 特にそれ以上の話にはなっていないそうだ。
一緒に暮らしたいという気持ちがタミオ君にもあることは、ここ最近私もちゃんと感じられていたので それ自体を不安に思うことはなくなったけど
金銭的な問題や、まだご家族にお会いできていない現状や、お互いの仕事の都合上すぐに休みを合わせられない日々にもどかしさを感じている次第。
一度は夢が膨らんだ新築マンションの資料も、話が出た当初と比べるとそのモチベーションは雲泥の差であった。
今の生活を変えなくても、新築にこだわらなくても、なんなら古くても狭くてもいいから 二人で協力して生活できるような環境を整えたいな と私は思っている。
ちょっとだけその点においては、私とタミオ君のテンションに差があるようだ。
だからこそ、新築マンション購入へのモチベーションが下がった=選択肢がひとつ減った という事実が、意外とショックだったのかもしれない。私が。
*****
話を戻すの巻。
どうも買い物で歩き疲れたようで「足が痛い」と連呼していたタミオ君に マッサージを施しながら、その日妹から送られてきた 精密性格診断テストなるものをお互いに受けてみた。私はシカ。タミオ君はキリン。
二人の相性はなんだかあまりよくなかったけど、個人別の性格診断は結構気持ち悪いぐらい当たってた。
およそ5分で完了するはずのアンケートを10分以上かけて解いていたタミオ君は、マッサージを受けながらとは言え、長い長い終わらないと 少々珍しく面倒くさがっている様子が伺えた。マッサージと並行してなかったら途中放棄していたかもしれない。
その時は相性診断が目的だったので、個別の診断結果は見なかったけど、相性診断の結果が一部不穏だったために お互いの特性上不穏な部分だけが脳裏に残ってしまうという最悪のパティーンに陥った。
豆腐メンタルな私たちにはダメージがでかかった。
その日、一緒に入ったお風呂で散々白熱して中断して出てきたものの、まともに布団に入ってしまうと疲労蓄積が勝利したのか 弄ばれながら何度となくタミオ君は寝かかっていて
寝ていいよ、と何度伝えても「寝ない」と言いながら続きを頑張るという なんだかわけのわからない状況になっておった。
結局最後まで致したものの
なんというか私が、かつて味わった 別の殿方との【自分本位なセクロス】を思い出してしまい 少々戸惑った。
言葉ではうまく表現できない。
私に触れる手や表情はいつも通り優しいんだけど、早く終わってほしいと感じてしまうような、相手の満足に重きを置いていないような。
初めて、タミオ君との交わりに、寂しさを感じてしまった。
初めて聞いた時に私がとても幸せな気分になって「嬉しかった」と伝えたきり、多分意図的に続けてくれていたであろう【名前を呼んでからのフィニッシュ宣言】もなく、心が満足していない自分としばらく向き合った。
相手が満足してくれているのであればそれはそれで嬉しいし、ここで「満足できない」という言い方は、相手を傷つけることにもなるだろうと思って どう私のこの寂しさを消化したらいいのか考えた。
迷って悩んで考えた挙句に
と、とても勇気を振り絞って伝えてみた。
考えるだけで恥ずかしい。恥じらいという部分は割と残っている。
恥ずかしいけど、寂しいセクロスはもう嫌だった。
タミオ君から返ってきた言葉は
あぁん?
結構な勇気を振り絞ったつもりだったけど
なんだか寂しさが増しただけだった。
実際言われたところで、途中で止められないぐらい直前だし、宣告されようがされまいが 私の身体的満足には何ら変わりはない。
私が今求めているのは、精神的満足である。
行き場のない悲しみを堪えながら
って、説明した。
何度となく、そのまま布団の中で名前を呼んでくれたけど
私の気持ちはなんだか晴れないままで
私を性欲の捌け口としか見ていなかった昔の男が頭から離れなくなって
返事もできずに頷くのが精いっぱいだった。
胸が苦しくなって
布団の中で繋いでいた手を離してタミオ君の胸の上に返したけど、その時にはもうタミオ君は寝息を立てていて、私が意図的に手を離したことにも気付かないようだった。
何度も嫌な夢を見ては起きて
その度に一瞬忘れてタミオ君の手を握ったけど
一度だけその手をはねのけられてしまい
初めて背を向けて寝た。
朝方聞いたら、どうも覚えていないようだったけど
とても悲しかったという私を、いつもの優しいタミオ君が抱きしめて頭を撫でた。
昨日のタミオは別人か。
お前は誰だ。
ここ数日の思考回路や、相性診断結果でトドメを刺された挙句、疲れたタミオ君の【頑張るセクロス】に寂しさを感じた夜更け。
身体を重ねることだけが愛情表現ではないと思うけど、その行為が二人の大事なコミュニケーションであることには変わりなくて
でも、ただ交わればいいわけじゃない。
そこに思いやりがあって、ゆとりがあって、心が満足して、初めて身体も満足するということを改めて実感した。
まるで挽回するかのように
愛してると連呼して、私に縋りつくような言葉を残して、タミオ君は仕事に行った。
いつも通り出ていく、いつも通りのタミオ君を見送って、私もいつも通り仕事に行く準備をした。
タミオ君を見送るために早起きしたおかげで、朝から回した洗濯物を干しながら。柔軟剤のいい香りが部屋中に広がると 心が落ち着く。
抱きしめられたタミオ君からは
まだ別の柔軟剤の香りがする。
タミオ君の匂い を感じられることも、別々に暮らしてる醍醐味かもな。
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