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動物病院のこれからの経営課題トップ5。

こんにちは。GWも最終日ですね。読者の皆さんどのように過ごしましたでしょうか?獣医師の先生は狂犬病集合注射で忙しかった方もいらっしゃるでしょう。フィラリアが終わるまでバタバタですよね。お疲れさまです。

さて今回はコンサルタントとして獣医師や動物看護師と面談したり、市場動向をチェックしていて感じている獣医師市場全体の、これから深刻な影響が出るであろう課題を挙げてみます。

はじめにお伝えすると、ここでは飼育頭数の減少は除きます。あまりに大きな問題で、動物病院個々の対策では太刀打ちできない問題だからです。

コロナ禍で動物を飼い始める人が増えたことで飼育頭数の減少が短期的には解消されたように思います。しかし長期的に見た場合、日本全体の人口が減っていくのですからその伴侶となる犬猫の数も人口の減少に併せて減少すると考えるのが自然です。また景気によっても飼育頭数は左右されます。

わたしが考えるこれからの経営課題は以下の5つです。

  1. 人手不足: 獣医師や動物看護師の不足が深刻化しており、特に地方では獣医師の確保が難しくなっています。これにより、病院の営業時間や診療サービスの提供に制約が生じ、経営に悪影響を与えることがあります。

  2. 設備投資と費用負担: 最新の診療機器や技術の導入には高額な費用がかかります。経営者は設備投資によるコスト負担と収益性のバランスを慎重に検討する必要があります。

  3. 競合他社との競争: 動物病院の数が増加しているため、競合他社との競争が激化しています。独自のサービスや価格競争力を持つことが求められ、経営者は競争力の維持・向上に努めなければなりません。

  4. 顧客のニーズへの対応: ペットオーナーの意識が高まる中、より良い診療やサービスが求められています。カスタマーサービスの向上や、専門的な診療分野への取り組みが経営上の課題となっています。

  5. 法規制や業界の変化への対応: 獣医療業界の法規制の改正など、業界の変化に迅速に対応することが求められています。適切な対応ができない場合、経営に悪影響を及ぼすことがあります。

1については愛玩動物看護師の確保と定着が喫緊の課題だという動物病院が多いです。特に地方では現在雇用しているスタッフに何とか免許を取得させようとしています。しかしもし取得できなかったら引き抜き合戦になります。給与を上げたり福利厚生の充実させるなどすれば人は集まりますが経営を圧迫します。勤務先にロイヤルティを持ってもらうにはどうするか、院長が頭を悩ませるところです。

獣医師の確保も同様です。事業承継の問題とかぶるところがありますが、地方に来てくれる若手を探すことは想像以上に困難です。関東でも少し田舎になると人が集まりにくいと感じます。

2について。動物病院は設備の有無が集患力を左右します。これは残念ながら現実です。(あとはSNSでの宣伝やSEO対策でしょうか。)しかしCTやMRIを導入できる施設は限られますし、ラパロスペイをやりたくても資金面で導入を断念している施設がたくさんあります。また機器は購入さえすればある程度スムーズに臨床で活用できるものと、購入だけでなく技術習得の2つが必要なものがあります。それらをバランスよく組立て、どのように自分の強みにしていくかが各院長に求められます。

3は2と重なる部分もありますが、サービスとは治療だけではありません。ホスピタリティも立派なサービスですし、トリミングサロンやしつけ教室などによる差別化、ペットと入店できるカフェの併設なども有効です。商圏のニーズに合ったサービスを展開していくことが求められます。

4について。ニーズとは飼主さんの「こうしてほしい」という満たされていない欲求です。飼主のニーズを汲み取り、ニーズより具体的な欲求である「ウォンツ」を作り出す力が求められます。ニーズを汲み取る力も大切ですが、個人的にはニーズをウォンツに引っ張り上げる力がより求められる時代になってくると思います。ニーズとウォンツの関係は、有名なのは「喉が渇いた」がニーズ、「コーラが飲みたい」がウォンツとなります。

5について。これは1の愛玩動物看護師が近年最も大きな法的な変化でした。また動物愛護法の改正があるたびに対応が求められます。業界の法規制ではないですが訴訟対策も今後ますます必要になってきます。

企業動物病院やグループによるM&Aが進んでいることも考慮しなくてはいけません。今後ますます動物病院のコンソリデーションが進むことで、地域の独立系動物病院が取れる戦略は変わってきています。

これらの経営課題に対応するには専門的な知識と豊富な現場経験が必要です。ご縁があってお会いできている獣医師の先生には解決策をお伝えしています。これから開業する先生、法人成りしたばかりの先生は初手を間違うと修正が難しい課題もあります。ぜひお早めにご相談ください。

なお1の福利厚生は法人成りしていれば保険を活用することもできます。有名な方法ですのでお付き合いのある保険担当者もご存じだと思います。興味のある先生は相談してみるのもいいのではないでしょうか。


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