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【6代目:マスオグループの舵取りとして観る、グループの未来とミッション】

会社情報:マスオグループ
創業1854年奈良県に本社を構え、砂糖・粉卸売事業・菓子小売り並びに卸業、自動車教習所・ドローンスクール運営事業、ガソリン販売/車販売事業、整備鈑金・保険・レンタカー販売事業、事務受託管理事業など、従業員147名を抱えるグループ企業。1事業部において2022年度に、奈良県社員・シャイン職場づくり推進企業において、総合表彰(200社以上の中で1社)の受賞歴を持つ。

設立:安政元年(1854年)
資本金:8,700万円
従業員数:147名

「6代目就任に向けて事業承継を受けるという覚悟を持った経緯」

 創業は、安政元年ペリー来航の翌年という老舗企業の長男として育つ。
初代増尾傅次郎氏は大和茶と炭の販売から事業を始め、6代目となる、増尾朗氏は幼き頃から自宅が商店であったこともあり、毎日商売が見える環境にいた。親子3世代で住んでおり、漠然と家業を継ぐというイメージはあったという。生まれた時から、祖父母から、この商売を継ぐ、ということをシャワーのように言われており、親というものはそういうものだなと思いながら育った。

 商売をすることは嫌いではなかった為、抵抗はなかったが、歴代続いてきた商売人の考えであった為、何か全く違う事をしたいと考えていた。

 アメリカの大学を卒業し、外資系の会社に興味を抱き、外資の会社へ就職。外資の会社へ務めたことをきっかけに、仕事をしている中で、29歳になった増尾朗氏は、やはり家業を継ぐのは自分だと考え、マスオグループへ専務取締役として戻る。
 
 当初から経営者として入社したのではなく、入社してから経営者の立場に立った為、経営の為の資金繰り、収支の見直しに関して、勉強し身に着けていく良い機会にもなった。
 
 百六十年以上続いてきた企業で必死に企業運営の再建に挑む中で、恥ずかしい話、売上が安定していない中で、人に係る費用をコストとして考えることしかできていなかった。

若くして戻った家業「マスオグループ」の実態と苦悩

 安政元年の翌年から続いている老舗家業は、歴史があるからこその課題を抱えている状況でもあり、何から手を付けたらよいのか、一切分からない状況であった。

 老舗企業、大企業であるからこそ、関わっている多くの方々人間の考え方や手法があった。その上で、企業として「変えてはいけないところ」「変えなければならないところ」が多くあったにも関わらず、舵取りのいないマスオグループという船は、今にも沈みそうだったと語る。
 
 入社時は、非常に景気が悪い時期であり、例えば自動車学校は少子化で生徒さんが減っていき、ガソリンスタンドは異常な価格競争でスタンドが潰れていくという環境。また、人口減の影響で食料品原材料の会社も売り上げが減ってきた時期だったため、帰ってきたら地獄だと感じるほど、一番苦労した時期だった。

 舵取りがいない船は、海で漂う船のように、会社としての方向性がない為、毎日同じことの繰り返しであり、正直にほとんどの事業部が赤字を出している状況だった。

 毎日決まっている仕事をきっちりしていただける番頭さんもいて、オーナーが老舗企業の経営を永続していくに向けて一生懸命に、壊すことなく、続けるという事を大切にしていた。ただ、時代の流れに沿って「変えなければならないところ」を、浸透・理解していただく必要があると感じていた。

 老舗企業の経営永続の為に、これまで培ってきたことを否定してガラッと変えることは劇的な変化に見える。但し、求めている結果を導き出すことができない場合もあると考える。

 例えば、ダーウィンが提唱している、「生き残る生き物は変化に対応できる生き物」のように、世の中が変われば、お客様の志向も変わる、自分たちも儲けることができる商売人に代わっていこうというような、働きかけをできるだけ実施した。

 具体的には、経営しているガソリンスタンドにおいて、最大で21店舗あったが、現在9店舗の運営、そのうち社長が経営を受け継ぐとともに、新規開店したのは3店舗。フルスタンドのガソリンスタンドをセルフスタンドに変えていくという新しいやり方で、収益力の高い店舗を新たに創るように取り組んだ。

 その他にも具体的な施策を多く行うなかで、大切にしていたことは、従業員さんに向けて過去を否定せずに、「変わっていこう」と伝えること。

 実際に赤字になっている事業や店舗があるにも関わらず、毎月決まったことを行うだけという状態であり、このままではマスオグループという船が沈没してしまうという事が目に見えており、危機感を感じていた。

 時代の変化に合わせて、残していくところ、新しいものに変えていくところを明確化し、6代目としての革新的な経営改革が始まった。

次世代に引き継いでいく為に、舵取りとして挑戦し続けた新しい時代

 6代目としての信念は、移り変わり行く、経済状況に「グループの舵取り」として挑戦し続けること。老舗だからこそ、「変わる」という事に対して大きな反発があったが、大切なことは「変わる」という事は「過去を否定する」ということではない。

 今まで培ってきた歴史を踏まえて、自分達がやっていきたい事を時代の変化に対応しながら挑戦していく。

 1つの事業だけでなく、様々な事業を会社の柱として、グループ経営を行うことで、変化に対応できる会社になり、その上で事業部長達は自分の本当にやりたい事を仕事として働くことができるのである。

マスオグループ若き6代目経営者として、大切にしていたこと

 会社の経営がうまくいっていない時や、実際に赤字を出してしまっている事業がある時、必ず原因を探して、見つけ出さなければならない。ビジネスモデルが古いのか、会社としての理念がもう時代に合っていないのか、原因は企業によって様々あると考えている。

 29歳という若さで経営に係る立場としてマスオグループへ入社した当時は、とにかく一生懸命に頑張る「背中」を従業員に見せる姿勢を大切にしていた。

 実際に様々な、仕事を担ってくれている人と直接コミュニケーションをとり、とことん話し合う中で、従業員さんが頑張ってくれているから事業を継続できていると感じている。経営が苦しかった数年を乗り越え、懇親会を開催した際、一人一人全員とお酒を飲む機会ができたのは苦労した中で初めてすごく嬉しいなと思った瞬間だった。

 会社の過去の歴史を紡ぎながら、新しい時代に合わせて変わっていくということを同時にこなすのは、想像を絶するほどの苦労だった。新規事業への挑戦も従業員への新しい理念浸透も、波に乗るようになるまでは、少なくとも1~2年は必要である。

 経営者として大切にしていることは、「働きやすいからこそ儲けられる」、「働きやすいからこそ実績が残る」。

 働く社員に理念浸透させることで、全員が稼ぐことができるような組織創りができ、それぞれの事業部長を育て、グループ経営が成立する。グループ経営が成り立てば、経営者がスライドし、勝ちパターンの共有や失敗事例共有、ノウハウの共有を容易にすることができる。

進化する時代において、マスオグループが目指す未来

 現時点で、一つの事業で成り立つ会社であったとしても、時代は変化し続けている。その波に、のまれ転覆しないように、複数の事業の柱を立てておく事が必要。複数の事業があれば、会社は倒産せずに、従業員の生活も守ることができる。経営者は幹部を育て、事業を任せることで、自分は自由にやりたい事に挑戦していくことで、人を守り会社を守ることができる。

 会社経営において、一番の苦難だったことは「アクセル」と「ブレーキ」を同時に踏まなければならなかったこと。店舗のクラッシュ&ビルドをする、店舗の運営スタイルもセルフ化する、そうすることで1店舗あたりの収益化を高めていき、働く従業員の給与も高めていく。このメッセージが、特に既存の従業員さんへ、なかなか伝わらなかった。
 人間だから仕方ないが、18年間の経験値を以て、振り返ると、失敗の一つでもあったのかもしれない。

 我々は、取引先様やお客様あるいは一緒に働いてくれている仲間のおかげで百六十年継続している。お客様あるいは取引先様を大事にすることによって商いが成長してきたという実感もある。

 しかし、そういった「お客様大事ですよ」、あるいは「取引先様大事ですよ」、あるいは「一緒にやってくれている仲間である従業員さんがそれを大事にしている」と私が口に出すのは簡単である。けれどもそれを実際にやれているかどうかということが、本当に会社が成長しているかどうかの証拠になるのかなというように感じている。

安政元年から引き継がれる哲学、思いやりで繋がれた160年からの事業展望

 安政元年に創業した増尾商店はもともと山添村という山の中で、農家の次男であった傳次郎が創った。初代傳次郎は当時特産であった燃料の炭と大和茶を、京都や大阪に船で運んで売りに行くという商売をしていた。
 
 増尾商店へ農家さんが朝早くに山から下りてお茶や炭の商談にくる。商談が終わり、お昼ご飯を召し上がるのだが、初代はその時に大釜でお味噌汁を炊いて提供した。すると、増尾商店に行くと自身で持ってくる握り飯だけでなく温かい汁物も飲めるということが口コミで広がり、非常に質の高い大和茶あるいは炭が集まるようになったと聞いている。
 
 このエピソードにも象徴されるように、我々はお客様、取引先様を非常に大事にするという哲学を持っている。ひるがえってお客様や取引先様を大事にするためには、働いている仲間を大事にしないといけない。なぜなら大事にして貰った経験のない人が他の人のことを大事にできないわけであるから、会社が仲間のことを大事にしていこうというのも我々の哲学の一つ。

イノベーションの土地「奈良」から日本全国への事業展望

 元々奈良は都だった町であり、1300年前に初めて平城京ができた。当時、奈良の平城京へ文化が流れ込んできた。当時の人たちは流れ込んできた技術や文化を活かして、一大イノベーションを起こし、天平文化という日本独自の文化や産業を作っていった。
 
 これが今の日本の礎になった。すなわち、この奈良の地はもともとイノベーションの発祥地である。日本のイノベーションの中心であった場所だということは、現代の我々がイノベーションをこの奈良から起こせないはずがない。
 現在ドローンの資格取得を支援しており、奈良から安全なドローンパイロットをたくさん生み出したいということと同時に、これから多岐に渡って成長していく産業であるためグループ全体でドローンの周辺事業にも取り組んでいく。
 
 ドローンが何の役に立つのか、どのようなことに使われるのかというのは、その中に入る脳みそが重要だと考える。これはITのテクノロジーやいわゆるDX※の技術で成り立つ。今後の展開は構想段階で、別事業として関連のあるスタートアップ企業さんと一緒に仕事をやっていくことや、少額出資をして協業先の企業様の技術を活かしていく取り組みを始めようとしている。

社員と会社の成長を促す、マスオグループの行動評価

 マスオグループの事業内容は多岐に渡る為、思いつく限りの職種というのは我々も持ち合わせている。この仕事が一番輝けるのではないか、我々も一緒に成長できるのではないかという仕事を提案できる自信を強く持っている。
 
【事業内容】(2022年7月時点)
・砂糖/粉卸売業
・オリジナル菓子卸及び小売業
・自動車教習所運営事業
・ガソリン販売業
・車販売・整備鈑金・保険・レンタカー販売事業
・ドローンスクール運営
・事務受託管理事業 等々
 
 私が考えているのは、仕事を決めて人を選ぶのではなく、人を決め、その先に仕事を選ぶという考え方。この考えを大切にしているので、既存事業はもちろん、新規事業もたくさん立ち上げていく中で一緒に新しいことにチャレンジしたい!という方がいれば、是非奈良の暮らしを満喫しながら、我々と仕事の充実感も味わっていただきたいなと思っている。

 今後のマスオグループの永続的な発展に向けて、これからも自分を取り繕わずに、従業員さんのこと、お客様のことを大切にしている、という思いで、とにかく一生懸命に頑張る背中を見せていきたい。

 加えて、マスオグループに二人三脚で会社経営をしていくことができる幹部を一人でも多く育てていくことが、今後のミッションである。

※DX(デジタルトランスフォーメーション)は、「進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革する」というもの。

【御紹介企業様】
会社名:マスオグループ
代表者名:増尾 朗
本社所在地:〒630-8013 奈良市三条大路1丁目1番93号
資本金:8,700万円
従業員数:147名
ホームページはこちら(https://masuogroup.co.jp/recruit/index.html)

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