見出し画像

時間をひきのばす法則(ごみ拾い日記3)

情報を、発信すればするほど、情報が集まってくるように、時間を使えば使うほど、時間が増えている気がしている。なにかの法則が働いているのかもしれない。

午前中に都内でアポがあるので、ごみ拾いは休みにしようと思った昨日は、でも、あまりにいいお天気で、体が外に行きたがっていて、それなら自転車で行って、早く帰ってこよう、といつものように忍者みたいにトングを背負って、出かけた。

すると、橋の上で、小鷺の朝食風景に出会った。

小鷺は海老を獲り、口にくわえて、一瞬でパクリと呑み込んだ。のどが漫画みたいに動くのが見えた。橋のたもとにしゃがんで、しばらく小鷺に見惚れていた。

夢中になっていたら、おはようございます、と背中で声がして、振り返ると犬だった。もとい、いつも会う、かわいい犬を連れた人だった。夏に愛犬を亡くして以来、犬がますます愛おしくて、こうして毎朝同じ場所を通る人や犬たちと、顔見知りになれることがうれしい。

そのような美しいものや愛おしいものに毎朝出会える場所に、居させてもらう時間とひきかえに、わたしにできることがごみ拾いなのかもしれない。

そのあと見つけたのがガムテープをつけた、得体の知れない汚れのついた大きな箱、ワインボトル、ヘッドフォン、コード、大きなショッピングバッグ、乾電池。どうして、こんなものをこんなところに。小説を書く人ならこれで、ホラーかサスペンスのショートストーリーが書けるかもしれない。運よく清掃の人に会い、預けることができた。帰りは自転車を漕いで、そういう光景は頭のなかから吹き飛ばす。

帰宅しても朝の9時過ぎで、犬の散歩と変わらない。
それなのにごみ袋ひとつ分、風景をきれいにできた。
美しい鳥と、かわいい犬に会った。目をみはるような紅葉を、旅しているみたいに楽しんだ。
たくさんの知らない人と、おはようの挨拶を交わした。そして、自分が勝手にやっているだけのことに、ありがとうを言われた。

長い一日がまた、始まった。






この記事が参加している募集

#朝のルーティーン

15,885件

サポートしていただいたら、noteに書く記事の取材経費にしたいと思います。よろしくお願いいたします。