大都市の交通事情
東京、ソウル、台北
大都市には公共交通機関が充実しているので、バイクや車の運転ができなくても生活に不便することはほぼありません。
東京は地下鉄、私鉄、JR(子供の頃は国鉄でした)が縦横無尽に張り巡らされている他にもバス路線も充実していて、私が育った東京郊外でも家から徒歩で駅に行き、そこから私鉄に乗りちょっと街中に行く、もしくはバスに乗り、同じような郊外の街へと好き勝手に行っていました。
でも、やはり東京の交通のメインは電車で、地上地下を問わず、外出の8割方はバスではなく電車に乗ることが圧倒的に多い環境でした。
一方ソウルにも私が初めて行った2000年頃でも地下鉄が8号線まで走っておりどこに行くにも便利に利用していました。
バスもあることは知っていましたが、その当時には外国のバスは難しいと思いこんでおり、地下鉄だけでも充分便利だったのでバスの存在に気づいてはいても私とは関係ない乗り物と思い、実際には乗ったことはありませんでした。
でも、住み始めてからバスが思っていた以上にたくさん走っていることに気づき、バス停で定点観測をしてみたところ意外と乗るのは難しくなさそうに思えてきました。
そこで、勇気を出してソウルのバスに乗ってみることにしました。
一度乗ってみたら、バス停は地下鉄の駅よりも細かい間隔で設置されているし、地下鉄だとちょっと面倒な所にも路線があったりすることに気づき、これは使えると使えないじゃ生活の利便性に大きな差が出るなと思い積極的にバスを利用するようになりました。
日本のバスは1つのバス停に5〜6路線くれば多い方かと思いますが、ソウルの中心は10路線くらい来ることも稀ではなく、しかも日本のバス停のように大きく前と次のバス停の名前が書いてあるわけではありません。
では、ソウル市民はどうやってバスに乗っているのでしょうか。
多くのバス停はブースのような感じで囲われており、その壁面にそのバス停に停まるバス路線図が所狭しと貼られているのです。
その路線図を見て、自分が行きたい場所に行けるバスがあるのか、それはどのバスなのか、見つけて乗っているのです。
もちろん、すべてのソウル市民がすべてのバス路線を把握しているわけはないので、バス停に停まったバスの運転手に「どこどこ行きますか?」と確認する光景をよく見かけました。
私もソウル市民のフリをしてバスに乗る生活にも慣れ、バスの便利さを享受していましたが、残念ながらソウルとお別れする日が来てしまいました。
日本に戻ってから台湾にも興味を持ち、年に1回程度ではありますが台湾に来る機会を得るようになりました。
台北も地下鉄路線がそれなりに充実しているので、最初の1、2回は地下鉄のみを利用していました。
でも、街中を歩いているうちに、台北にもかなり多くのバスが走っていることに気づきました。そこで、バス停に行ってみたところ、ソウルのようにバス停の壁面に所狭しとバス路線図が貼られており、それを確認しながら台北市民は次々に来るバスに乗り込んでいっていました。
あれ?これってソウルのバスにかなり似てる?と思い、思い切ってバスを利用してみることにしました。
そうしたら、今まで地下に潜って移動していたから見ることができなかった台北の景色をたくさん見ることができました。
それからしばらくして台北に住むことになりましたが、今では急ぐ時を除いて私の移動のメインは地下鉄ではなくバスです。
そして、ソウルや台北でバスを乗りこなす経験はその他のアジア地域に行った時にもとても役立ちました。
シンガポールやバンコク、ホーチミンと行ったアジアの大都市に遊びに行った時にも大いにバスを活用しました。
東京だけに住んでいたら多分できなかったと思うので、自分の故郷以外の場所に住むことは経験値を高めることになるのだな、と実感しました。
そして今では台湾人の同僚に呆れられるほど台北のバスに詳しくなりました。
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