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韓国台湾に定着した日本語

ご存知の通り、第二次世界大戦中に日本は台湾と韓国を統治していました。
統治という優しい言葉が気に入らない人には植民地としていたという言い方がよいでしょうか。

ここでは別に日本が植民地政策をとっていたことへの賛否云々を話すつもりは毛頭ありません。
ただ、普段の何気ない生活においても植民地化することが与えたんだな、と思えた影響の一部について話したいと思います。

ある地域を統治することに於いてやはり言葉は重要です。
なので、統治する側は自分たちの言葉を統治される側に使うように強要するのが一般的かと思います。

日本が台湾と韓国を統治していた間、御多分に洩れず日本人は台湾人と韓国人に日本語を使うように強要しましたね。

台湾では50年、半世紀に及び、韓国でも35年(韓国では満年齢で数える習慣からか36年などとも言われていますが)に及ぶ植民地支配が台湾韓国の言葉にも影響を与えました。

以下、言語について深く掘り下げているわけではない、普通の生活を送っている私ですらよく耳にする、耳にした、韓国台湾で定着したと思える日本語を羅列します。

●韓国
・노가다/ノガダ: 土の方と書く今はあまり使うことが奨励されていない建設現場で働く人を指す言葉
・핸들/ヘンドゥル: 車のハンドル
・백미러/ベンミロ: 車のバックミラー
バックミラーがなぜベンミロになるのかについては話すと長くなるので割愛します。
・나가리되다/ナガリドゥエダ: ナガリ=流れ、お流れになる、おじゃんになる
・유도리가 없다/ユドリガオプタ: ユドリ=ゆとり、ゆとりがない=融通が効かない
・스끼다시/スキダシ: つきだし、主に刺身コースに出てくるおかず
関東人の私にはつきだしという日本語自体あまり馴染みがありませんでしたが…

●台湾
・運將/ウンジャン: 運ちゃん、タクシーの運転手
・那卡西/ナカシ: 流し
若い人には馴染みがないかも知れませんが、楽器ひとつ手にバーなどでパフォーマンスを披露する歌手のことです。
他にもトマト、リンゴ、ビイル(ビール)、韓国と同じハンドルなどなど中国語ではなく台湾語として定着している言葉もたくさんあります。
ウンジャンやナカシも中国語ではなく台湾語として定着していると思いますが、台湾では中国語に台湾語を混ぜて話す習慣があるので、中国語の中にも出てきたりします。

また、最近になって日本語から新たに定着した台湾で流通している言葉としては以下のような単語があります。

・神隱/シェンイン: ジブリの映画「千と千尋の神隠し」から、忽然といなくなってしまうという意味
ちなみにこの映画の韓国語のタイトルは「센과 치히로의 행방불명(せんとちひろの行方不明)」といいます。
神隠し、確かにいなくなってしまうという意味では行方不明ですが、神隠しという言葉の神秘性がなくなってしまってて残念に思いました。
・壁咚/ビードン: 壁ドン
中国語で壁は「牆壁」または「牆」というのが一般的ですが、壁ドンに関しては「壁」だけが採用されたようです。
・萌/モン: 文字そのまま萌

韓国語、中国語ともに最近はもうそんな言葉使わないよ、というご意見もあるかもしれませんが、韓国語とは四半世紀、中国語ともそろそろ20年近くお付き合いしている私が今までに触れてきて面白いと思えたので、歴史的背景などは深く考えず楽しんでいただけたらと思います。

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