推しの人生に「私」が存在したら幸せだったか。

「もしも~だったら」の定番、推しと自分の距離がもっと近かったら幸せだったかを大人になった今でもよく考える。
1人遊びで繰り広げてきた妄想心は大人になった今も廃れることなく、現役である。


子供の頃は夢の中に住民票を持っている夢見る夢子ちゃんだったので、本当に推しと1つ屋根の下で暮らしていたらどれほど良いだろうかと思った。
私が好きになる芸能人は大体が男性だったので、兄として存在してくれてたらいいのになぁと何度も何度も思った。

だけど、よく考えたらいくら仲が良くても自分の兄を推しにする人はまずいないだろう。
芸能界デビューしたとしても、芸能人である前に兄は兄。
赤の他人だから今こうして『推す』という概念が生まれているわけで、子供の頃から一緒に住む自分と血を分けた人間だったなら、そんな考えすら生まれないものだと思う。



じゃあ、恋愛関係だったらどうか?
これは私は昔からそういうのがあまり良い感じに想像できないので、そもそも無い。
恋愛関係は白黒つきすぎて辛いので、そうなりたいとは思えないのだ。

例外の人もいるとは思うが、恋愛というものは大体の場合「くっつく(結婚)」か「離れる(破局)」のどちらかの結末を迎える。
推しと破局なんてあまりにも辛すぎるではないか。
好きだった人を嫌いになって破局するくらいなら、恋愛関係になんてなることにメリットは無い。


もちろん結婚する可能性もあるわけだが、私は推しと結婚は絶対にしたくない。
そもそも『結婚』というライフイベント自体に私は抵抗がある。
すごく簡単に言ってしまえば荷が重い。
本当はそんなに重く考える必要は無いかもしれないが、私は『結婚とは、全てでは無いもののお互いの人生を背負うこと』だと思っている。
もうこの時点で責任が重い。

大切な推しのプライベートを私が背負うって…
無理だ、私に推しと共に生きていくという覚悟は到底できない。
自分が1人の成人女性としてしっかりしている自覚が全くないので、推しは生活力のある良い人と結婚してより良い遺伝子を残した方が絶対に良いと思う。
(個人の自由なので別に残さなくても良いけど)



そうなってくると、推しの人生に自分がいたとした時にちょうど良い距離感でいられそうなのは友人関係しかない。
大人になってからは、「この人と友達だったらなぁ…」と思うことが増えたので私としても1番望んでいる関係ではある。
ただ、友達と言っても幅は広い。
2人きりで会って遊んだりプライベートな悩みを相談したり出来るような密接な間柄から、たまにご飯に行くくらいの間柄まである。
この振れ幅のどこが良いのだろう。
というか、たまにご飯ってそれ友達か?

個人的な落とし所は「連絡を取ろうと思えば取れる、子供の頃に地元でよく遊んでもらった年上の兄のような友人」辺りだろうか。
小学校時代が被っている程度の年齢差が良い。
推しが小3、私が小1くらいで。



そもそも、私は推しの人生にいてどうしたいんだろうか。
何をしてあげたいのだろうか。
考えてみて「辛いことがあった時に包んであげたい」と思っていることに気がついた。
無いだろ、こんな関係性でいられる立場。
特に異性間の友人ならまず有り得ない。
恋人以上ならそういうのも有り得るかもしれないが、先程「恋愛関係は嫌だ」と言ったので詰んでいる。


人間である以上、推しと私が望むような関係になれることは無いようだ。
じゃあ何ならいいのか。

実は前から2つほど理想がある。
1つはベイマックスである。
私はベイマックスになりたい。
『ベイマックス』とは、ディズニー・ピクサーの映画のキャラクターで心と体を癒すためのケア・ロボットである。
私もこのロボットのように、推しが辛い時には抱きしめて包みこみたい。
全力で甘々に優しくしたい。
人間関係の煩わしさや恋とか面倒な感情も全て抜きにして、ただ推しを癒すためだけに存在したい。


もう1つはムサ(ミューズ)である。
ムサというのはギリシャ神話に出てくる、芸術系のことを請け負う女神たちである。
文芸・学術・音楽・舞踏などを司っている。
そんな神に私はなりたい。
そういう見えない存在になって、私が好きな才能に溢れた推しの傍でただひたすらにウロウロしていたい。
「キャー!私の推しの才能ヤバすぎるんですけどー!!」など言いながら超至近距離で褒め讃えていたい。
案が出ず苦しんでそうな時には「こんなのどう?」みたいなテンションで何か閃きを与えたい。
ニュートンに万有引力を気づかせたりんごの木のように。
ついでに、誹謗中傷した奴や転売ヤーなどの不届き者を呪いで木っ端微塵にする能力まで持っていたら完璧である。


理想はあまりにも現実離れしている、ファンタジー過ぎる。
なんかちょっと前は、推しの内臓になりたいとかも言ってた気がする。
さすがにキショいからあまり話を広げないけど、なれるとしたら心臓の細胞が良い。
リアルに推しを生かす存在、推しの中で働く細胞になりたい。

結局、人間でいる間はお金を払うだけで貢献出来る今の「ただのファン」という現状の立場が向上心の無い私にはちょうどいいと思う。
鞍替えもしやすいし。
万が一、早めに人間を辞めることになった暁には最も理想的な距離感と立場で推しの人生に現れたい。(了)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?