ドライブマイカー
夜勤が終わり帰路に着く。
普段なら疲労困憊で覚束ない足取りもなんだか今日は軽い。
そう、今日は片想いの彼との映画デートの日なのだ。
中旬は忙しいと言っていたから期待はせず、彼からの誘いを密かに待っていた。
そんなある日「ドライブマイカー観よう」との誘い。
なんの変哲もないただの活字がキラキラして見える。
彼とのデートは私にとって日々の活力となっていたのだ。
そう3月迄の期限付きだから余計にね。
彼の車でシアターへ向かう。
他愛の無い会話を重ね、笑い上戸の私はその会話で永遠と笑う。
嗚呼、この時間が永遠と続けばいいのに。
終わりの見える恋だから一瞬一瞬が大切なのだ。
これまで数多くのラブストーリーを観てきた。恋について悩んだ時はいつも本を読み、映画を観る。
その度に愛することや愛されることとは、、と
深く考えた。
今回のドライブマイカーでも考えさせられた。
彼と一緒だからということもあった。
10月から片想いを続けていたが想いは実らず。
所謂期間限定の都合のいい女なのだ。
自分で書いてて嫌気がさすが、所詮実らない恋。
彼の隣にいられるだけで幸せであり、彼の姿を見るだけで幸せなのだ。苦しく切ない気持ちが無いといえば嘘となるが。
約3時間。前夜仕事で一睡も出来なかった私は寝てしまわないか心配だったが、冒頭のシーンから引き込まれあっという間に時間は過ぎ去っていった。
観終わってこうして綴っている最中も余韻に浸り続け、暫くはなんとも表現し難い感情の渦巻く中で生活を送るだろう。
この映画が与えてくれた
愛について、信じることについて、生きることについて
ふとした瞬間思い出すのだろう。
切なく淡い思ひ出とともに。
映画の中で「男女が親友になるには、最初は友達から始まり、愛人を経て、ようやく到達する」みたいな話がさりげなく出て来る。
果たして今の私たちの関係は何処に位置するのだろうか。
そんな事を考えながら映画を観ていた。
当たり前だけれども
どんなに近しい関係の人であっても、
その人の本心は窺い知れない。
隣に座っている彼にも色々な想いがあるだろうし誰しもが抱えている深い闇があるのだろうかと想像する。
いつか親友になれる日が来るのだろうか。
それには時間が足りないかな。
また切なさが増す。
帰路に着く車の中で作品への思いをお互いに語る。
沈黙もなんだか心地よい。
帰り道のこの車の中でさえ映画のワンシーンとなっている様なそんな感覚。
愛について語りたかったが色んな気持ちが溢れてしまいそうで
気持ちの整理が出来たらまた話そうと考えた。
雨が降り出す。心模様を写しているようだ。
そんなことを思いながら楽しい時間は過ぎた。
今日は映画のみでお別れ。
サヨナラまであと34日
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