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腸内環境を良くしたいなら運動しよう

※この記事は約8分で読めます

「腸活には〇〇を食べよう!」という話はよく聞きますが、より良い腸内環境のためにはそれだけでは足りません。実は、運動をすることで腸内環境をさらに良くすることができるんです。今日は運動と腸内環境の関係性について解説していきます。

この記事がおすすめの人

  • 運動が健康に与える影響を知りたい方

  • 腸内環境を改善したい方

  • 運動の科学的な裏付けを知りたい方

注意してほしいこと
この記事の内容は健康・疾患・医療に関する一般的情報と個人の見解を提供するものであり、実際に診療する医療者が行うアドバイス・治療に代わるものではありません。必ずしも全ての方にあてはまる訳ではないのでご留意ください。


運動すると腸内環境が良くなる

運動は健康にいい。これは疑う余地のないことですが、最近の研究では運動が腸内環境にも良い働きを持つことがわかってきました。

腸内環境が良くなると、便秘や下痢の悩みがなくなり、免疫力が高まり、生活習慣病や精神疾患の予防にもつながります。運動と腸内環境の関係性について解説していきます。

運動が腸内環境を良くする理由

腸内細菌と運動は互いに関連していることが示されています。

運動によって腸管透過性が低下し、細菌や毒素が全身にあふれ出すのを防ぐと考えられています。(Cook et al., 2013)
運動によっていわゆるリーキーガット(腸もれ)症候群を防ぐことができるようです。

リーキーガット症候群とは
腸管を作る細胞同士の結合が弱くなり、腸の中のものが腸から漏れ出す状態。全身で炎症を起こし自己免疫性疾患や肥満、慢性疲労などの原因になると考えられている。

さらに運動は腸内細菌を増やすことが確認されています。

運動することによって短鎖脂肪酸を生み出す善玉菌の増加が確認されています。反対に病気の原因となる病原性細菌は減少します。

(Aya et al., 2021)より

これらの運動による腸内細菌への影響は年齢、体重、体脂肪率、食事の内容とは関係がないことも確認されています。(Munkka et al., 2018)

つまり、運動を継続し習慣化することができれば、どんな人でも腸内環境を良くすることができるということです。

腸内環境改善におすすめの運動

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では、どんな運動をすると腸内環境が良くなるのでしょうか。

健康な高齢女性を、体幹筋トレーニングと有酸素運動の2種類の運動をするグループに分けたところ、ウォーキングやジョギングなど有酸素運動をしたグループのみで「やせ菌」と呼ばれるバクテロイデス菌の増加が確認されました。(Morita et al., 2019)

バクテロイデス菌とは
腸内フローラを整える善玉菌の一種短鎖脂肪酸を生成し、腸の動きを活発にする。全身の脂肪細胞に働きかけ、脂肪の取り込みを止めて肥満を防ぐ効果が期待されている。また、免疫力の向上やメタボリックシンドロームのリスクを低減する効果も期待されている。

さらに別の研究では、女性がWHO(世界保健機構)が推奨する運動を行ったところ、健康に良い影響を持つ腸内細菌が増えることが確認されています。(Bressa er al., 2017)

WHOが推奨する運動
1週間を通じて中程度の強度の有酸素運動を少なくとも150分、または1週間を通じて高強度の有酸素運動を少なくとも75分

また、ラットの研究では筋力トレーニングなどレジスタンス運動を12週間行うことで腸内細菌の多様性を高めることも確認されています。(Alinne et al., 2021)

腸内環境を良くするためには、ウォーキングやジョギングなど有酸素運動がおすすめです。普段運動する習慣のない人は、まずは週1回だけでも散歩に行く習慣を身につけてみてはいかがでしょう。さらに筋トレも組み合わせるとより効果的かもしれませんね。

まとめ

運動は食事や体質に関係なく腸内環境を改善し、私たちの健康を守ってくれることがわかりました。腸内環境が気になるけど食事を変えたくないという人は、まず運動を習慣化することから始めても良いかもしれませんね。一緒に良い習慣を身につけて、健康的な体を手に入れましょう。

参考文献

  • Cook, Marc D et al. “Forced treadmill exercise training exacerbates inflammation and causes mortality while voluntary wheel training is protective in a mouse model of colitis.” Brain, behavior, and immunity vol. 33 (2013): 46-56. doi:10.1016/j.bbi.2013.05.005

  • Aya, Viviana et al. “Association between physical activity and changes in intestinal microbiota composition: A systematic review.” PloS one vol. 16,2 e0247039. 25 Feb. 2021, doi:10.1371/journal.pone.0247039

  • Munukka, Eveliina et al. “Six-Week Endurance Exercise Alters Gut Metagenome That Is not Reflected in Systemic Metabolism in Over-weight Women.” Frontiers in microbiology vol. 9 2323. 3 Oct. 2018, doi:10.3389/fmicb.2018.02323

  • Morita, Emiko et al. “Aerobic Exercise Training with Brisk Walking Increases Intestinal Bacteroides in Healthy Elderly Women.” Nutrients vol. 11,4 868. 17 Apr. 2019, doi:10.3390/nu11040868

  • Bressa, Carlo et al. “Differences in gut microbiota profile between women with active lifestyle and sedentary women.” PloS one vol. 12,2 e0171352. 10 Feb. 2017, doi:10.1371/journal.pone.0171352

  • Alinne P Castro et al. "Effects of 12 weeks of resistance training on gut microbiota composition of rats.." The Journal of experimental biology (2021). https://doi.org/10.1242/jeb.242543.

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