血圧を下げる食物繊維の取り入れ方
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この記事では、血圧が気になる人に食物繊維をおすすめする記事です。
この記事がおすすめの人
血圧が高めでお悩みの方
薬を使わずに血圧を下げたい方
健康的な食事を考えている方
注意してほしいこと
この記事の内容は健康・疾患・医療に関する一般的情報と個人の見解を提供するものであり、実際に診療する医療者が行うアドバイス・治療に代わるものではありません。必ずしも全ての方にあてはまる訳ではないのでご留意ください。
食物繊維とは
食物繊維には主に二つの種類があります。それぞれの特徴と働きを簡単に見てみましょう。
水溶性食物繊維: オーツ麦、フルーツ、豆類などに含まれます。腸内細菌のエサになったり、血糖値やコレステロール値を調整する働きがあります。
不溶性食物繊維: 全粒穀物、野菜、ナッツなどに含まれます。腸の動きを促進し、消化を助けます。
食物繊維の健康効果
食物繊維は多くの面で健康に良いことがわかっています。血圧が高くなくても、普段から意識したい栄養の一つです。
心臓や血管の健康管理:心臓病や脳卒中など命に関わる病気のリスクを低下
生活習慣病の予防:高血圧、2型糖尿病、高脂血症、がんなどの予防
消化器系の健康増進:便秘や痔などの消化器官の問題を改善し、腸内環境を整える
ダイエット効果:満腹感を促し、摂取カロリーの減少につながる
食物繊維と血圧の関係
食物繊維の摂取が血圧を低下させるというエビデンスが多くあります。
平均投与量11.5g /日で収縮期血圧が1.13mmHg、拡張期血圧が1.26mmHg低下する(Streppel et al., 2005)
8週間にわたり食物繊維を豊富に含む食事を摂ることで血圧が低下する(Whelton et al., 2005)
この2つの研究は「メタアナリシス」という質の高い研究による報告なので、信頼できる内容です。
また、血圧を下げるための食事法「DASH食」においても、食物繊維をとても重要視されています。
食物繊維が血圧を下げるメカニズム
食物繊維が血圧を下げるメカニズムとしては、「短鎖脂肪酸」の存在が有力と考えらえています。(Tilves et al., 2022)
私たちが食べた食物繊維は腸内細菌によって分解され、酢酸、プロピオン酸、酪酸など短鎖脂肪酸に変わります。腸内細菌によって作られた短鎖脂肪酸が、血圧を下げてくれるのです。
短鎖脂肪酸と血圧について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
血圧を下げる食物繊維の取り方
食物繊維の摂取目安
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年)」では、1日あたりの食物繊維摂取目標量は男性で21g以上、女性で18g以上となっています。
欧米では1日24g以上で、心筋梗塞、脳卒中、2型糖尿病、乳がん、いがん、大腸がんなどの発症リスクが低下するという研究報告があります。
これらの病気を予防したい場合は1日24g以上が理想的でしょう。
(1日30g必要という説もありますが、たくさん食べることが大切だということには変わりません。)
日本人は食物繊維が不足している
令和元年国民健康・栄養調査報告によると、日本人の1日あたりの食物繊維摂取量は下図のようになっています。
20gにも届いていない年代も多く、1日24gなんて夢のまた夢。これが現代の日本人の食事内容です。厚生労働省はこの現状をふまえて、少なめの目標量を設定しているのでしょう。日本人は特に食物繊維を意識する必要があるようです。
おすすめ食材
では、食物繊維はどのような食材からとれば良いのでしょうか。
いくつかの研究により、食物繊維の種類によって血圧への効果が異なることが示されています。特に水溶性食物繊維が血圧に有効なようです。
水溶性食物繊維:海藻など、特にサイリウム(海藻の一種)に含まれる水溶性繊維によって血圧の低下が確認されている(Khan et al., 2018)
βグルカン:オート麦や大麦に含まれる水溶性食物繊維の一種。血圧が低下する効果が確認されている(Evans et al., 2015)
これらの食材を上手に組み合わせることで、血圧を下げることができるかもしれません。
食物繊維が取れるメニュー
1日3食食べるとして、24gの食物繊維を取れる献立をChatGPT先生に考えてもらいました。
日本では取り入れにくい食材もありますが、一つの参考にしてみてください。
まとめ
食物繊維をたくさん食べることで、血圧を下げられることがわかりました。特に、βグルカンをはじめとする水溶性食物繊維が効果的で、血圧が気になる方にはおすすめです。ほんの少しでも、食事を見直すきっかけになれば幸いです。
参考文献
M. Streppel et al. "Dietary fiber and blood pressure: a meta-analysis of randomized placebo-controlled trials.." Archives of internal medicine, 165 2 (2005): 150-6 .
S. Whelton et al. "Effect of dietary fiber intake on blood pressure: a meta-analysis of randomized, controlled clinical trials." Journal of Hypertension, 23 (2005): 475–481.
Curtis Tilves et al. "Abstract P115: Association Of Circulating And Fecal Butyrate And Other Short Chain Fatty Acids With Blood Pressure And Hypertension: Results From The SPIRIT Trial." Circulation (2022).
K. Khan et al. "The effect of viscous soluble fiber on blood pressure: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.." Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases : NMCD, 28 1 (2018): 3-13 .
C. Evans et al. "Effects of dietary fibre type on blood pressure: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials of healthy individuals." Journal of Hypertension, 33 (2015): 897–911.