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他人の痛みを「共感」することと、「理解」することは、全く別の能力であることがわかる話


こんにちは。スピリチュアルネイティヴのタケルです。

最近、家の近くで工事をしていて、耳慣れないいろんな音がしてくる。
土日は静かだったけど、そんなわけで俺の月曜は工事音と共に幕を開いた。

さて、つい先日、俺のスピリチュアルネイティブ仲間(そんなんあるんかい)のルイさんにされた、こんな話をしたいと思う。

ルイさんは、沖縄のノロの家系に生まれた、ゴリゴリのスピリチュアルネイティブだ。20代くらいの頃にカミダーリを迎えて、今はあらゆることが視え、主に沖縄の精霊たちや祖先たちと、クライアントを橋渡しするお勤めをしている。

ルイさんも、俺のスタンスに近くて、「昨今のスピリチュアルカルチャーにはついていけないさあ〜大事なのはまずご先祖様と向き合うことさあ〜」という、琉球の祖先崇拝を地でいくタイプだ。

しかしそんなルイさんにはちょっとした悩みがある。彼女にはパートナーがいて、彼もまた霊感の強い人なんだが、そういうカップルならではとでも言おうか、ちょっと唸らされる悩みだったので書いて整理してみたいと思う。

月のものが辛いルイさんを、理解してくれない彼?

曰く、ルイさんは月のものがひどく辛いタイプらしく、その苦労を彼に理解されないのだという。俺はそもそも彼とも仲がいいので、およそそんなに冷たい人だという印象はなく、なんだか意外な話だなと思った。

ちなみにうちの場合、モモは月のものが軽いタイプで(昔は重かったそうだが、砂糖と肉食をやめたらすっかり軽くなったらしい)、だからこれといって気遣いを求められることは少ない。それでも、生理中は家事負担を俺の方で引き受けるようにしている。(そのために、生理周期は俺の方でエクセル管理している)

俺には、女性の月のものがどれほど大変なものか、肉体で理解することができない。だからこそ、なるべく「自分の具合が悪いときなら、どう振舞ってくれたら助かるだろう」と考え、また過去の彼女のケースを思い出しながら、大体こんな感じかな?という接し方を心がけている。

それをルイさんに話すと、こう返ってきた。

「えらいよタケル君は。そっか、元カノとかモモちゃんとか、ちゃんとタケルくんに仕込んできたんだねえ。うちの人はいまだに昭和なところがあるからさあ、私が、彼の話とか頼まれごとを引き受けてあげられないと、ほら、すぐそうやって生理のせいにする、とかいうのよお」

俺は流石に、酷い話だなと思ってこれを聞いていた。ルイさんから直接同じ話を聞いたモモも顔を顰め、「うわ、彼のこと一気に嫌いになりそう」とうめいた。

「いやいや、他のことはすごく優しいのよ〜。気遣いもできる人だし、何より色んなものに共感しやすい人じゃない? なのに、なんでかねえ」

ルイさんは最後に、そう付け加えた。

共感性の高い彼が、なぜ他人の痛みを「理解」できないのか

ルイさんが困惑するように、俺は、どうしても、彼と会ったときのソフトで優しく、思慮深い印象と、ルイさんのいう"月のものを理解しない彼"の像を結ぶことができなかった。加えて、霊感体質の人によくあるように、彼は、他人の痛みや感情を、自分のことのように理解できる、深い共感性を兼ね備えた人に見えた。

たとえば彼と砂浜で話したときのこと。俺は、自身もまた男ながらにスピリチュアルな体質に生まれ、それなりに孤独な人生を送ってきた彼に、自分の弱音や苦しさを打ち明けたんだ。その時の彼はただ黙って頷き、ただ一言「わかるよ」と言ってくれた。

あの「わかるよ」は、本当に痛みがわかる、という切実で、穏やかな相槌だった。

だからどうして、彼にはルイさんの月のものの痛みを理解してあげられないのか? ますますわからなかった。彼がそうなるのは、何か他に理由があるからじゃないか? そういうと、ルイさんは思いついたようにこういった。

「もしかしたら、彼のお母さんが原因なのかな。すぐに仮病を使う人だったみたいで、彼が何か指摘すると、いつもお腹が痛いと騒ぐ、子供みたいな人でさあ」

「ああ、だからルイさんにとっては本当に辛いことでも、彼にはお母さんによる"女の人は仮病を使って何かを避けたがる"というフィルターがかかってしまって、ついルイさんのことを疑ってしまうのかもしれないですね」

ルイさんはこの仮説に納得したようだった。しばらくしてまたルイさんから連絡があり、彼としっかり向き合って、彼の心を刺激しないよう慎重に検証を試みたところ、彼の方で、ルイさんと母親を同一視していたことに気づく瞬間があったそうだ。

俺は一件落着かな、と思ったが、ルイさんからは、その後も似たケースの愚痴を何度も聞かされることになった。俺はますます、あれほど共感性の強い人が、どうして身近な人の痛みを理解できないんだ?と訝った。そして、ここからは俺の仮説だが、こんな考えに至ったのだった。

そもそも、

他者の心情、痛み、苦しみに「共感」することと、
他者の心情、痛み、苦しみを「理解」することは、全く別物なんじゃないか?

特に霊感が強い人は、よくエンパスと混同されやすい。実際、要素が被る部分はかなり広範囲なのだが、他人の痛みに同調してしまう人ような人が、イコール"他人の痛みを理解できる人"であるかというと、かなり疑問が残る。

たとえば彼の場合がそうだ。彼は、他人の苦しみに対して、おそらく誰より深く同情し、共感することができる。むしろ、したくなくても、わかってしまうタイプだと思う。

これは霊能者によくあるパターンなんだが、数多くのクライアントと接している霊能者たちは、クライアントの痛みに同調しないために、あえて距離をとって自分を守る人が多い(それは霊能者として最低限必要な素質でもある。むしろいちいちクライアントに同情して一緒に泣くような人は、霊能者にはなれない)。

なので、中にはサイコパスかっていくらい、冷たい印象を与える霊能者もいる。これは、決して本当にサイコパスなのではなく、同情して相手に引き摺り込まれないように自分を律し続けた人の、あるべき姿、とも言えるかもしれない。

ただ、彼は霊能者ではない。となると、考えられる原因は、

・彼は他人の痛みに「共感」はできても、「理解」はできない部分がある

である場合だ。

他人の痛みを理解する、とはどういうことか?

これは先述したように(手前味噌ではあるが)、男である俺が、女性であるルイさんやモモの月のものの苦しみを、身体で理解してあげられないからこそ、彼女らのしんどさや苦労、望みを聞いて、それを理解してできる限りのサポートをすることなのかな、と俺は考えている。

極端な話、こういったサポートをするのに、「共感」は必要ない。というか、女性の肉体の痛みや苦しみに共感することは、男の俺には不可能だ。だからこそ、

俺にはわからない、という前提のもと、だからこそ理解したい、という立場に立ち、彼女を観察し、インタビューをし、して欲しいことを聞き、その中から、俺にできるサポートを行い、さらに観察と対話を繰り返す。

俺にこういった対応ができるのは、実は母親の教育が大きい。というのも、母親には再三、男と女の体の違いや、だからこそ理解しようと努めなさいと、言って聞かせて躾けられてきたから。

だからおそらく、ルイさんの彼は、そういった「未知なる女性への対応」を母親に躾けてもらう機会が、なかったのかもしれないな、と思い至った。

そのことを仮説としてルイさんに話すと、ルイさんはなるほど〜とうなり、自分が母親になったつもりで、今からでも彼を教育してみるさあ〜と明るく笑っていた。

俺は、たまたま女性の月のものへの対応を理解したり、対応する機会に恵まれてきたが、これってきっと、小さなお子さんとか、老人とか、自分とは大きく違う性質や立場を持って、かつサポートが必要な人たちに対しても同じだと思うんだよな。

だから俺は、ルイさんの件があって以来、「共感」と「理解」と、「適切なサポート」は全て分けて考えるようになった。いくら自分の「共感」性が強いからといって、きっと俺も、他人のことはさっぱり「理解」できていないに違いないからだ。

俺は、他人を容易に「感じる」ことはできても「理解する」ことは、努力しなければできない。その前提を大事にしたいと思った、一件だった。

読んでくれてありがとう。

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