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【お仕事図鑑 vol.13】 経理職について解説〜企業のお金の流れを最前線で知る人〜

お仕事図鑑の管理部門編、初回は企業の「カネ」を扱う【経理】のお仕事です。
これからご紹介していく管理部門の仕事は、食品業界に限らずどのような企業にもあり、その基本的な職務は変わりません。
食品業界に関わらず、職種に興味のある方はぜひご一読ください。


会計・財務業務との違い

経理は「経営管理」の略で、経理の仕事を一言で言えば、企業の取引や収支の記録・管理をすることです。
この記録・管理は簿記に則って行われます。

会計業務との違い

会計と経理は異なる領域ですが、会計業務は経理部で一貫して行なわれることが多いため、混ぜて使われることが多くあります。
経理が日々の収支やお金の流れを記録・管理するのに対し、会計は、会社全体の資産状況を整理し、社内外の利害関係者に報告します。
企業で行なう会計には大きく3つあります。

  •  管理会計:経営者や管理職など社内の関係者に向けた報告

  •  財務会計:投資家や債権者など社外の関係者に向けた報告。

  •  税務会計:税金を計算するための業務

財務会計の内容は、上場企業の場合、法律で開示内容が定められており、企業HPのIR情報などで見ることができます。
また損益計算書などの財務諸表は、会計基準という書類作成のルールに則って作成されます。

会計業務は経理が記録したお金の流れをもとに作られているため、企業では同じ部署・人が担当することが多くあります。

会計基準について
日本企業では、以下の4つの会計基準のいずれかを使っています。
・日本会計基準
・国際会計基準(IFRS:イフアス)
・米国会計基準
・J -IFRS(IFRSと日本会計基準の折衷版)

かつては日本会計基準がメジャーでしたが、ここ10年ぐらいは、海外進出に伴いIFRSや米国会計基準が積極的に導入されています。

財務業務との違い

経理と財務は時間軸で対比されやすく、「経理は過去のお金、財務は未来のお金を扱う」と言われます。

経理は日々のお金の流れを記録しており、既に使った/入ったお金(=過去に起きた事象)を扱っています。
一方財務は、これから使うお金(=未来のお金)を作るため、融資などの資金調達や余剰資金の運用などを行います。

経理の仕事とは?

時間単位で異なる業務

経理の仕事では日々の記録と、一定期間での締め業務が行われます。
日ごとの業務を日次業務、1ヶ月ごとに行う業務を月次業務、1年ごとに行う業務を年次業務といいます。
各単位での業務は以下の通りです。

経理の主な業務一覧(オリジナルに作成)

上記に加え、上場企業や一定以上の規模の企業では四半期(3ヶ月)も1つの区切りとなり、決算業務が入ってきます。

また一定の基準を満たす企業には、会計監査が実施されます。
会計監査とは、決算時の財務諸表が適法に作られているかをチェックすることです。
実施自体は、社内の内部監査室や社外の監査法人が行ないますが、経理部でその対応や監査担当者への説明等を行ないます。

経理業務の分業

中小企業であれば、経理担当者が1人〜複数人で日々伝票を起票し、精算して締め、決算書類を作ります。
しかし大企業になると社員数や取引先数が多くなる分お金の動きが増え、経理業務の量は膨大なものとなります。
また海外に子会社がある場合は、時差や送金コスト、円相場などの影響を受けることもあり、さらに複雑なものになります。

その結果、大企業では縦割り業務が進み、事業部や営業所、勘定科目(お金の動き方の種類)ごとにチームが組まれます。
例えば、事業部内に経理部門を配置し、そこで日次業務や月次締めを行ない情報をまとめたら、全社の経理部で月次決算を行う、といった階層ごとの対応が発生することがあります。

また、最近はホールディングスに属する全事業会社の経理業務を一手に引き受けるシェアード会社を設立するケースも増え、効率化を行っています。
シェアード会社で経理業務を行う方は、担当のグループ会社や勘定科目をもち、経理処理を行ないます。
そのデータが親会社に集約され、親会社の経理部で会計処理を進めていきます。

経理のやりがいと大変さ

経理は企業活動のお金の流れを記録・管理するため、経理の仕事を元に経営判断が行われる場面が多々あります。
経理が杜撰な企業は経営が危ないと言われることも多く、どのような立場であっても責任の重い仕事です。

<やりがい>
・会社の経営状況がダイレクトにわかる
・経営の意思決定に間接的に関われる
・簿記や会計知識と実務が直結しやすく、学んだ分の成長を感じやすい

<大変さ>
・正確性が求められ、間違えられない
・締めから開示まで短期間で正確な業務を行わないといけない
・半期、年度締めの翌月初が忙しすぎる
・IPO(上場)前の経理対応が絶望的に忙しい

経理に必要なスキル・キャリアパス

経理で必要とされる(身につけられる)スキル

経理業務においては、スピードと正確性の両方を求められます。
さらに数字がズレた際の原因究明や、簿記の仕組みの理解においては、論理的な思考が重要になります。

また、経理は専門職ですので、専門知識が求められます。
経理の基本的な理屈を理解するために、簿記の知識が必要となります。
転職市場では、20代〜30代前半で簿記2級を持っていると未経験からチャレンジできる可能性があります。
逆に経理経験が長いのに簿記を持っていないと、転職の際、採用担当者に「勉強していないのかな?」といった疑念を持たれることがあります。

経理と会計は繋がっているため、専門性を磨く中で会計知識を身につけると幅が広がります。
上述の通り、IFRSや米国会計基準など海外でも使われている会計基準も知っているとより転職もしやすくなります。

経理に関する資格一覧

経理業務に関わる資格(特に転職でアピール材料になり得る資格)は以下のとおりです。
他にも経理に関連する資格は多数ありますが、下記資格をもっている場合は必ず履歴書に書いておきましょう。

■基礎知識
日商簿記
 →2級が必須要件に入ることも。1級を持っているとすごい!
FASS:経理財務両方の基礎知識を問い、A〜Eの5段階でレベルを判定
 →B判定以上は、プラスアルファのアピールになることがあります。
■国家資格 ※勉強経験、一部科目の合格でも好印象になることも
税理士
公認会計士
■国際会計基準に関する資格
US CPA.(米国公認会計士)
US CMA.(米国公認管理会計士)
・BATIC(国際会計検定) ※2023年2月をもって試験終了

経理職のキャリアパス

国内で未経験からキャリアを積む場合は、日次業務から月次、年次と次第に経営資料や会計業務に近づき、幅を広げていきます。
また企業の種別としては、未上場企業よりも上場企業、サービス業よりも在庫管理や原価計算のある製造業の方が難易度が高いと言われています。

そのため、転職を通じたキャリアアップとしては、未上場→上場子会社→上場企業とステップアップをしたり、メーカー経理にチャレンジする場合があります。
経理としてある程度の熟達者になってくると、スタートアップやベンチャー企業の経理責任者として、IPO(上場)にチャレンジしたり、監査業務や士業を目指す方もいらっしゃいます。

また、大手企業においては、シェアード会社でマネージャーとして管理・指導を行なったり、親会社の経理部で経営に近い立場で会計業務に携わる方、海外現地法人の経営管理に携わる方など様々なキャリアがあります。

まとめ

今回は、会社の「カネ」を管理・記録する経理について解説しました。
経営状況の一次情報になり、生々しい自社のお金の動きがわかることから、ビジネスの面白さと難しさを感じられる一方、間違いが許されない仕事でもあります。

特に日次業務は事務職として低く見られたり、ドラマなどでも経理職は堅物な社員として描かれがちです。
しかしどのような経理業務も、間違えると会計処理が変わり、「不正会計問題」に発展しかねません。

専門職として知識を身につけながら、正確性とスピード感をもって企業の経営を支える重要な仕事なのです。

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