痛みの治療に役立つ71ナゲット+追加ナゲットの計77ナゲット!

前回のブログでは痛みの科学の最前線をいくDavid Butlerのyoutubeで公開されていたレクチャーの説明とそのDavid ButlerとLorimer Mosereyの共著「Explain pain supercharged」から痛みの治療に役立つ71ナゲットの一部をシェアしました。その71ナゲットとは痛みの科学上で証明された痛みの治療に役立つ色々な情報を71個の例を使って患者さんに理解してもらおうということで紹介されています。

画像74

今回、本の出版元のNoigroup側に紹介するにあたって著作権について訪ねた所、「著者達はその71ナゲットをもとに各自が解釈して痛みの治療に役立ててほしいと願っている」とのことで、今回は各ナゲットに私なりの”解釈”と後からいつでも簡単に”復習”できるようにフリー画像にコメント的な説明をつけました。痛みと戦う人達はその画像をスマホなどに保存してもらい、いつでも確認できるようにするといいかと思います(何度も説明文を読むのは難しいかもしれないので。)

それでは71ナゲットを読み進めていく前にもう一度「DIMs/ SIMs」だけは確認しておいてください(前回のブログ参照)。またコメント欄に他の痛みと戦う人達と共有できるように、”どのナゲットが自分には参考になった”とか”○○ナゲットが自分には〜だった”などを書き込んでもらうのもいいかもしれません。もし意味のわかりにくいところがあれば早急に対処しますので、メールもしくはコメントをください。

もしもっと本格的に痛みについて勉強されたい方々がいらっしゃったら、2020年2月に「Explain pain」というコースが東京で開催されます。このコースは治療家だけでなく患者さん側の人達向けでもあります。詳しくはリンクを参照してください。https://www.sass-sd.com/seminar/noi/

(注意!)このブログは痛みと戦う人向け(患者さん側の方々向け)です。プロの治療家がこのブログの内容だけで痛みを語るのにはあまりにも情報不足です。また多くの方々に読んでもらいたいので値段設定を安くしていますので、プロの方々の購入はご遠慮ください。

(2020年1月30日追記)「Explain pain supercharged」には71ナゲットの他に15 Novellas(小物語)というのも紹介されていて、私の独断で勝手に71ナゲットに付け加えます。とはいえ71ナゲットで繰り返し紹介されている事柄は省略して、71ナゲットであまり詳しく紹介されていないこと、もしくは紹介されていなかったことを追加ナゲットとして紹介していきます。ですので番号は72からで、なんか縁起のよさげな全77ナゲットとして紹介します。

1,”私は痛みに強いんです!”(I've got a high pain threshold.)

患者さんに「なぜ痛くなったか原因は思い当たりますか?」と聞くと、よく「私は比較的痛みには強いんですが・・・」のようなことを言う人がいる。その意味は「痛みの閾値(pain threshold)が高い」ことを意味していることが多いが、痛みの閾値とは人が痛いと意識した時のことをいう。この痛みの閾値は、外部からの”刺激”(強く叩かれる、針で刺されるなど)の度合いだけではなく、その人のおかれているいろいろな状況によっても変わるという事が重要。一方、疼痛耐性、耐痛限界(pain tolerance)とは「もうだめだ!耐えられない!」という瞬間のこと。これは刺激の強さとどれだけその刺激が続いているかの兼ね合いでおこる。(たとえばヤカンを触ってもそれほど熱くないのに、ずっと指を置き続けたら熱っ!ってなる瞬間)。よく人はこの痛みの閾値(Pain threshold)と疼痛耐性(pain tolerance)をごっちゃにしているが、これらを区別することで、DIMsとSIMsを見つけ区別することに役立つ。つまり痛みは外部からの刺激だけでなく、その時の状況、環境、そしてどれだけ続いているかも関わるので、それら状況、環境、継続時間をDIMsとして捉え、考え直していくことで痛みに対処できるかもしれないということ。例えばDIMsとSIMsを探す時に、奥さん(旦那さん)がそばに居るのはSIMだけど、ずっと一緒にいるとDIMになるとか(笑。

ナゲット1.2

2,痛みは防御であり、攻撃ではない!(Pain is a defender not an offender)

痛みはあなたを守ってくれるもの。もちろん痛みは不快で嫌なものだけど、例えば無痛症(←知らない人はググってみて下さい)の人が長く生きられないのは何故かを考えるといい。そう、痛みとは生きていく上で必要なものなのだ。このことを知れば、患者さんは痛みを単に毛嫌いするのではなく、ちゃんと向き合えるようになるはず!

ナゲット2

3,脳がボス!(The brain is boss)

体は脳に「痛みがある時」ではなく、「危険が差し迫った時」に何かを伝える。脳が危険かそうでないのかのすべてを決める(脳がボス!)。これを理解することができれば、組織の損傷=痛みということではない、ということをわかるはず!

ナゲット3

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