香川県さぬき市でのキュウリづくり
栽培する品種
【しろうま胡瓜、長野県白馬村の在来種】(2024年に種購入)
【詳しい品種は不明】(2023年、香川県三木町の齋藤さんが自家採種)
基本情報
キュウリの原産地はインド北西部のヒマラヤ山麓。栽培の歴史は古く3000年以上前から栽培されていた記録がある。日本では『本草和名』(918年)に「胡瓜」が見られ、シルクロードから伝播したことがうかがえる。
23~28℃の比較的冷涼な気候を好むが、霜には弱く、12℃以下では生育しない。開花から1週間程度が収穫適期であるため、株を老化させないためにも、適期にどんどん収穫する。
成功のコツ
草マルチを重ねて乾燥を防ぎ真夏に収穫を休ませて秋に備える
キュウリをはじめウリ科の果菜類は霜に弱く、遅霜の季節が過ぎるフジの満開を待って苗を植えつける。植えつけ1か月前までにクラツキをして土中の微生物を活性化させる。
根が浅く乾燥や暑さに弱いキュウリは、早くから実をつけ、根が育つ時間も少ない。株の寿命が短くなりがち。長くとるには根張りをよくするのがコツで、根に勢いのある若苗を植える。苗を買うならナスと同様、回転のよい店で5月の入荷時期を聞き、若苗を求めて植える。
地上部と土中の根は同時に育つので、開花まではわき芽を摘まずに伸ばして根の生育を促す。
開花後は5節目までわき芽と花を摘んで管理、根の生育に専念させる。その後実を成らせたら小さめで毎日こまめに収穫。週一通い菜園では、実と雌花をすべて取って帰るようにする。
株元に草マルチを重ね、7~9月は1週間に一度、草マルチの上から米ぬかなどを一握りまいて補う。乾燥が続くようなら、夕方、葉にストチュウ水をかけるのも樹勢の回復に効果がある。
8月の暑さのピークには株が弱って収量も落ちる。この期間、実と花をすべて摘みとり、弱った葉は葉柄を残して切りとると、秋に樹勢が回復する。
自然菜園に向くキュウリのタイプ
キュウリには実のつき方でいくつかタイプがある。自然菜園では「側枝型」がおすすめ。側枝がよく出て子づると孫づるに実がつき、根張りもよく株が長持ちするため。側枝が少なく主枝に実がつく「主枝型」は肥料分をこまめに補う必要があり一般の農家向き。週1回しか菜園に通えないのなら、実の数は少ないが風土に合った在来種を選んでもよい。
栽培のポイント
・ウリ科キュウリ属
・支柱を立てて育てる方法が一般的だが、栽培面積を確保できるなら、地這い向きの品種も育てやすい。
・春から夏まで種まきできるので、何回かまくと、長期間収穫できる。
・水が好きなので、乾燥しすぎるときは、適宜、水やりするとよい。
肥料について
肥料はなくてよいが、元肥と追肥を行うと収量アップ。
クラツキ(4月上旬頃)
植えつけ1か月前に、場所を決めてクラツキをしておく。
植えつけと同時に根鉢に沿わせてネギを混植し、病気を防ぐ。植えつけまでに畝の中央にハツカダイコンを育てておくとウリバエ避けになる。ネコブセンチュウの被害がなければつるありインゲンを直まきして同じ支柱に絡ませてもよい。収穫後の後作にエンドウをまくと連作障害もなく、毎年同じ支柱で育つ。
一度支柱を立てれば毎年利用できる。キュウリの株間を1mと広くとるのがコツ。10月にはエンドウの種をまき、翌年5~6月に収穫。
支柱の準備
植えつけ前に準備
植えつけ前に支柱を立てておく。伸びたつるはすぐに誘引しないと痛むし、移植後の作業ではひもが当たって苗を痛める心配もある。
つるが伸びたら麻ひもなどを使って誘引する。風に揺すられると収量が落ちてしまう。
種まき(4月中旬~8月中旬頃に)
128穴のプラグトレイに育苗土を入れて、1穴に2粒ずつ種まき。種の向きをそろえると双葉が重ならない。2粒ずつまくのは、固定種のため。種によって生育にばらつきがあるので、発芽して双葉が開いたら、生育のよさそうな方を残して1本に間引く。
本葉0.2枚になったら10.5cmポットに寝かせ鉢上げする。2日、温室内の黒寒冷紗の中に置く。
育苗は高温と徒長に注意
キュウリの徒長適温は12~25℃と低め。ナスやピーマンのように高温での管理をしたり、水をやりすぎたりすると徒長を促し、モヤシ化して軟弱に育ってしまう。水分は少なめにし、生長に応じて鉢ずらしをしっかりして、がっちりとした若苗に育てるのが大切。
葉が重ならないよう、生育に応じてポットの間隔を広げていく鉢ずらしはよい苗を育てるために大事なしごと。
植えつけ(本葉3~4枚の頃)
霜の心配がなくなってから
定植の7~10日前から温室の外に出して順化させる。朝、温室から出したらストチュウ水をたっぷり上からかける。
植えつけは遅霜の心配がなくなる、フジの花の満開やコムギの出穂を目安に。苗は本葉3~4枚が理想だが、手に入らなければ、蕾や花をつけていない、若い新鮮なものを選ぶ。苗には植える前日の夜から底面吸水でたっぷり水を吸わせる。
定植したら株元にたっぷり草マルチをして根の発達を促す。適度な湿り気を好むキュウリやカボチャはクラツキと根鉢の上面を同じ高さに。植えつけ後、1週間は水やりしない。
本葉3~4枚で双葉が残り、節間が詰まった苗がよい。根鉢の中で根が巻きすぎないうちに植えつける。タライに浅く水を張り、植えつけ前日の夜からポットごと苗を入れて底面吸水させる。水でなくストチュウ水ならなおよい。土と根鉢を密着させたら、乾燥しないよう、株元まで草マルチで覆う。根鉢にはネギを沿わせて植えつける。
ウリ科の株間は必ず50cm以上とる。支柱を立てて誘引するキュウリやゴーヤーは畝の両側に植えつける。
2024年
2022年
ウリ科は直まきもできる
キュウリやカボチャは植えつけ適期の少し前、オオムギの開花やコムギの出穂時期には直まきもできる。初期の除草に気を遣うが、直根が発達して乾燥に強い株が育つ。クラツキの上に1か所4~5粒まいて、種の2~3倍の深さの土をかけたらしっかり鎮圧を。双葉に種の皮がついてくるなら鎮圧不足で株が弱くなる。
2~3cm間隔で種の向きをそろえてまくと、双葉が重ならず均一に育つ。
本葉が顔を出したら2~3本に間引き、本葉2~3枚で1本に。根を痛めないようにハサミを使う。
病害虫対策
アブラムシやウリハムシが出やすいので、見つけたら手でとる。ウリハムシは早朝は動きが鈍いので捕まえやすい。
管理作業(つるが伸びて生育が盛んな頃)
摘芯せずに育てる放任栽培でOK
つるが伸びてきたら、ネットや支柱に誘引する。クリップやヒモを使うとよい。
摘芯は必要?
自然栽培では、摘芯すると株の勢いが弱くなるので放任栽培が基本。有機栽培でも、混んだ下葉をとり除く程度でよい。つるや葉が混み合う場合は、下段の子づるを摘芯してもよいが、常に元気に生育しているつるが1株につき5本はあるように管理する。
追肥する場合
苗が活着し、生育が旺盛になってきた頃、追肥してもよい。以降、2週間に1度ほど追肥すると、たくさん収穫できる。
2024年
2023年
収穫(6月以降、実が約20cmの頃)
どんどん大きくなるので早め早めに収穫する
収穫は早めに。80g以内でとると株への負担が減って根が伸び、株の寿命が長くなる。ピクルスやもろきゅうにもぴったりの大きさ。以降も遅れずに、1本100g以内で収穫を心がける。できれば朝夕畑に出て大きくなる前に収穫する。曲がり果など変形したものは回復しない。ごく小さいうちに落とす。
サラダで食べるなら実に水分の多い朝どり。漬け物やピクルスには水分が少なく甘味が強い夕方にとったものがおいしい。
種とり(畑で黄色くなるまで完熟させる)
葉がすべて枯れて、実が黄色く完熟して柔らかくなってきたら収穫。包丁で切れ込みを入れて半分に割る。種とゼリー状の部分をプラスチック容器などに入れる。スプーンでかき出してもOK。洗わず、そのままフタをして2~3日、常温において発酵させる。ガスが出るのでときどきフタを開ける。3日後、よく水洗いをしてゼリー質をとり除き、しっかり乾燥させて保存する。
過去に栽培した品種
【白黄ウリ】(2023年8月23日自家採種1回目)
→固定種だと思い込んでいた。実は交配種。なので、種は廃棄して別の固定種を育てることにする。
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