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サツマイモ【紅はるか(初代)】
基本情報
サツマイモの原産地は中央アメリカで、江戸時代に渡来し、青木昆陽によって広く普及され、天明の大飢饉では救荒作物として役に立った。水はけのよい砂地が適地で、海岸近くの「鳴門金時」や「坂出金時」は高品質のサツマイモとして有名。
生育適温は20~30℃の高温を好み、やせた酸性土壌でもよく育つ。しかし、窒素が多いとつるばかり伸びてイモが肥大しない「つるぼけ」になるので、多肥にならない肥培管理にする。
成功のコツ
植えつけは5月下旬から。初霜の前にすべて掘り上げる
高温性で18℃以下では生育が悪くなるため、苗の植えつけは5月下旬から6月いっぱい。種イモを温床などに伏せ込んだなら、育ったつるから順次苗をとって植えつける。自前の苗は切り取った翌日植え、購入苗はできれば発根していないものを選んですぐ植える。3~4節分土に差せば、最初は葉がしおれるが1週間ほどで根付いて、つるが伸びてくる。
つるが繁茂するまでは草に負けないよう、草を刈って草マルチする。つるが畝を覆えば草は抑えられるが、節から出る根が根付かないようにつる返しを。つるの先のやわらかい茎はクウシンサイと同じようにさっとゆがいて炒めるとおいしい。
収穫は適度な大きさに育った時期にするとすじばった食感のないおいしいイモが食べられる。傷つけないように手掘りで。初霜の前にすべてを掘り上げる。甘いイモを食べるには、おき火でじっくり焼くか、30分以上蒸す。糖化酵素が働きデンプンが糖化する。
苗の準備
市販の苗は水切りを
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植えつけは十分に地温が上がってから。関東以南では5月下旬から6月末までならいつでもよい。
「早植えは植え痛みも多くマイナスが大きいです」
苗を自分で育てたなら、植えつけ前日に切り取って一晩新聞紙に包んでおく。こうして発根のスイッチを入れてから翌日に植えつける。
購入する場合は、とれたての苗が手に入るケースはまれだが、入荷日を確認するなどして、できるだけ新しい苗を選ぶ。根が出てしまった苗は、畑への根つきが悪いので避ける。買った苗は水の中で元を数cm切り戻し、切り口を水に浸けて水揚げしてから植えつける。
「植えるまでに数日浸けて根が出た場合は、植えつけ直前にもう一度切り戻してください」
購入苗、自家苗とも、葉が5~6枚ついて根の出ていない元気のいいものを選ぶ。
苗から根が出るのはよくない。くずイモになってしまう。切り落としてその上を植える。
3月初め:伏せ込み温床(2/28~)
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畑の面積が広く、たくさんの苗が必要なら、春先にイモを土に伏せ込んで発芽させ、伸びたつるから苗をとる。育苗用の踏み込み温床(腐葉土と米ぬかを5:1で混ぜ合わせて発砲スチロールに入れる。たっぷりと水をかけて3日ほどビニールハウス内に置いておくと30℃以上になる)があれば、その一角にイモを置き、半分隠れるように土を入れる。
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種イモは47~48℃のお湯にきっちり40分間浸す温湯消毒をしてから伏せ込む。発芽温度は25~30℃以上なので、芽が出るまではしっかり保温を。生育には20~25℃が最適。5℃以下では枯れるので発芽後も暖かい場所に置くが、40℃を超えないよう、ハウスなどは換気が必要。温度にさえ注意すれば5~6月にぐんぐん伸びるつるを3回ほど切り取って植えつけできる。1つのイモから1度に5本くらいずつ、トータル15~20本の苗がとれる。
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①イモを半分土の中に埋め、暖かい場所で苗を育てる。イモ間は10cm。発芽までは水やりはしない。その後は毎日水やりをするが、やりすぎて腐らせないように気をつける。葉の先が萎れてきたら水分が足りないサイン。
②自家苗は5節以上育ってからわき芽を残して数本ずつ切り取る。その後わき芽から新たな苗が伸びてくるので、順次切り取って植えればよい。
③つるから切った苗は、水やりせずそのまま新聞紙に包み、段ボール箱などに入れて一晩置く。
④翌日、少ししなびたものを植えつける。こうすると切りたての苗よりもよく発根し、活着がよい。
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伏せ込み温床が難しくて、3回くらいサツマイモを用意してようやく発芽させることができた。
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植えつけ
45℃に斜め差し
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土に差した苗は節から根を出してイモをつける。
「植え方は舟底のように寝かせる方法と、垂直に差す方法とが知られています。寝かせると多くの節から根が出るため、イモがたくさんつきますが大きさがそろいません。垂直はイモは少ないですが形がそろいます。私は両者のいいところをとれる。斜め45度に差しています」
根は浅いところからしか出ないので、斜め45度では3~4節分を土に埋める。植えつけ後、発根までは葉がしおれるが、1週間ほどで活着してつるが伸びてくる。
①移植ごてを斜め45度に差し込んだのち、垂直に起こして開けた土の中に苗を差し込む。
②3~4節分を埋め込み、葉が3~4枚地上に出るように埋める。手のひらで押して口をふさぐ。
③株元に燻炭をしき、水やりする。この後に乾きすぎないように草マルチで覆っておく。
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草マルチとつる返し
つるが伸びるまでは畝を草マルチで覆う
草が旺盛な時期なので、サツマイモのつるが繁茂するまではしっかりと草を刈り草マルチする。
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つるが伸びて葉が茂れば自らが草マルチになるので手はかからない。ただし節から出る根を根付かせないほうがイモは太るのでつる返しをして、同時に伸びすぎた草も刈って草マルチする。隣の畝に入り込んだつるは、日が当たるように元の畝に戻すか、1m以上の場合、切ってしまってもよい。
「つるの長さは1mあれば十分。その先は食べましょう。サツマイモの葉とつるのやわらかいところはクウシンサイと同じようにサッとゆがいて炒めたり、そのまま天ぷらにするとおいしいです。傷みが早いので家庭菜園ならではの野菜なんですよ」
伸びすぎたつるは草刈りと同時につる返しをして場所を整理する。葉が裏返しになっても翌日には自然に表向きになる。
伸びすぎたつるの先はどんどん切って野菜として食べたい。
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セシウム対策に燻炭
サツマイモは放射性物質のセシウムが土から移行する度合いが比較的高い野菜です。セシウムはカリウムと似ているため、カリウムが十分にあれば移行が少なくなります。セシウムが心配な地域では畝の準備でカリウムが豊富な燻炭を1㎡当たり1~2ℓ入れるとよいでしょう。またセシウムは水に溶けて流れるため、イモは調理する前に皮をよく洗ってください。皮をむいて食べるとさらに安心です。
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収穫
おいしいサイズで手掘り収穫
「サツマイモは大きくても小さくても1つのイモに含まれる繊維の本数は一定。おいしいイモを食べるには、市販のイモくらいのサイズで収穫するのがコツです」
収穫適期は品種により異なるので、試し掘りしてみる。
「大きくなりすぎないように、自家苗を順次植えつけた場合は、植えつけた順番に掘るようにしてください」
初霜の前にはすべてを掘り上げる。霜に当たると痛んで保存もきかない。収穫はイモを傷つかないように手掘りで。保存性を高めるにはイモをバラさないのもコツ。
「晴天が3日続いた日の午前中に掘り、畑で半日日に当ててから運んでください。掘ってすぐカゴに入れると傷がつき、痛みやすくなります」
初霜の前にはすべてを掘り上げる。まずはつるを根元から刈りとる。
掘ったイモはそのまま畑に置き、半日乾かす。穴貯蔵用はつるから外さない。
つるの根元を手で掘ってイモを取り出す。
刈ったつるは畝の上に戻して草マルチにする。
春まで穴貯蔵
サツマイモやショウガは10℃以下(サトイモは7℃以下)で傷む。春まで貯蔵するには、地面より30cm以上潜るよう、穴はサトイモ用より深く。サトイモやダイコンの下に入れてもよい。燻炭はネズミ避け。ミミズを入れておくとカビを食べてイモを長持ちさせる。
下から籾殻、サツマイモ、ショウガを立てて籾殻、サトイモ、土、ダイコン、燻炭、ワラ、土、トタンなど、重石
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