![あまなつジャム4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/10524227/rectangle_large_type_2_a4c8e1e8e6a89ee566250d32e0aa4d0b.jpeg?width=1200)
夜中のことことしごと。
ジャムを煮るのが好き。
ベリー類のようにさっと洗って分量の砂糖を合わせて20分程度の作業時間ですぐに作れるものも好きだし、
柑橘系のように、あれこれ下処理を重ねて丁寧に丁寧に、夜中にことこと火にかけているのも、もっと好き。
しん、と静まった気配の中、ときどきヨッパライの大声が聞こえる。
居酒屋から出てきてなんとなく足を止めてしまった若者たちの大声なんかも聞こえる。
あぁそうか、卒業シーズンだし、ね。なんて思いながらの、夜中のジャム作り。
鍋をかき回しながら、煮詰まってきた中身を眺めながら、
考え事をしたりしなかったり。頭を空っぽにしたり、ふっと昔のことを思い出したり。
そういえば、中学卒業を前にした「人生設計アンケート(のようなもの)」に、70代だか80代だかで、「魔法使いのおばあちゃんになる(魔法使いを彷彿とさせる老女になる)」と書いて、( )の部分に、担任からの○がついていたっけ。
「魔法使いのおばあちゃん」には、○をつけられないんだ、わたしだったらこっちに○つけるのにな。解説しないとおとなはわからないんだな、つまらんものだ、と思ったことを鮮やかに覚えている。
このままいけば、なんとか80代には魔法使いになれるだろうか。
いや、まだまだ修行がたりないなぁ、
なんて夜中に思う。
今夜はこの甘夏の残り香のなかで眠れると思えば、もうそれで、充分。
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