幼稚園から大学までキリスト教育を受けてきた結果

私は幼稚園から大学まで、ずーっとキリスト教の学校に通っていました。とはいっても一貫して同じ学校だったわけではなく、幼稚園、小学校、中学高校、大学、とそれぞれ別の学校ですが。

なぜキリスト教の学校だったのか。

中学高校までは親の意向でした。とはいえ、親も熱心な信者というワケではありません。一応カトリックの洗礼名はあるようですが、教会に数回通ってそれ以降はパッタリ。マイブームのような感覚だったんだと思います。家でお祈りしている姿とか、見たことないです。学校の教育方針に賛同したのか、「ミッション系ってなんかカッコイイ」という感じだったのか…そこら辺は定かではありません。

大学は自分の意志で進学しましたが、これもキリスト教だから…というよりは、受かった大学がたまたまキリスト教だったからです。

そんな感じで立派でも何でもない理由だったワケですが、結果として計18年間、キリスト教漬けの毎日を送っていました。高校までは毎朝の朝礼で、神様やマリア様に祈りを捧げる日々。賛美歌もしくは聖歌も何十曲も歌いました。卒業して何年も経った今でも何曲か歌えます。もちろん普段は歌う機会はありません。歌うとすれば最近ではもっぱら、結婚式のド定番「いつくしみ深き」くらいです。

ただ、同じキリスト教でありながら、宗派はちょっとずつ違ってました。幼稚園は聖公会。小学校はプロテスタント。中学高校と大学はカトリック。それぞれ共通点もあれば相違点もあり、色々比較してみるのも面白かったです。

例えば、お祈りの時にカトリックでは十字を切る(たまに海外のスポーツ選手が得点した時にやるやつ)けど、プロテスタントでは切らない。それから「主の祈り」。これも、プロテスタントとカトリックではちょっとずつ文言が違います。あとは、プロテスタントでは「賛美歌」だけどカトリックでは「聖歌」と言ったり。カトリックの学校には必ずあるマリア像が、プロテスタントの学校にはなかったり。色々あります。

あ、ちなみにキリスト教の学校には「宗教」という授業科目があります。聖書の言葉を学んだり聖人の伝記を読んだり、などなどやってました。時にはさだまさしの『償い』という歌を聴かされたり、「これ本当に宗教関係あるのか?」というような、ここで書くのはちょっとためらわれるような内容のビデオも観せられたりもしましたが…

という具合に日々当たり前のようにキリスト教の教えに接してきて、周りには信者の友人もいたけれど、私は信仰するまでは至りませんでした。むしろお盆にはお寺にお墓参りもするし、クリスマスにはケーキを食べるし、年が明けたら神社に行っておみくじを引くような、どこにでもいるフツーの日本人です。もちろん私だけでなく、生徒の9割方が同じような感じだと思いますが。アニメの『マリア様がみてる』みたいな世界とは程遠い環境でした。

ただ、今にして思えば貴重な経験だったことは確かです。キリスト教の基礎知識が何とな〜く一般教養として身に付くので、思わぬところで役に立ったりします。『エヴァ』にもちょいちょい、キリスト教の用語だとかそれっぽい概念が出てきますよね。

あと、キリスト教な日々から離れてからは「宗教っておもしろいな」と感じています。日本以外の多くの国では、みんな当たり前に宗教を信仰している。特定の宗教が国教として定められている国もある。じゃあ、なぜ日本では宗教は浸透しないのか?でもお葬式は大体の人が仏教式でやってるし、浸透していないわけではないのでは?みんな、どんなスタンスで宗教と関わっているの?現代の日本における宗教の役割って何?…などと、考えては調べたり、本を読んだり。

キリスト教以外の宗教も、最近興味深いです。仏教、神道。お寺などが建てられた時代背景も探ってみたりして、当時はこんなだったのかな…と想像します。他にもイスラム教にヒンドゥー教、新興宗教まで。実生活ですぐに役立つわけではないですが、異文化を学び理解することはきっとグローバル化社会の中でいつか役に立つはず…という崇高な目的は特にありません。単なる好奇心です。

宗教とは、生活であり、コミュニティであり、文化であり、また戦争の歴史でもあり。信仰がいいのか悪いのかというのは、一概に言える話ではないと思います。多くの人が宗教のために死んでいることは事実ですが、一方でまた多くの人の救いとなり、心の拠り所となっていることも確かなのですよね。

繰り返しになりますが、私自身には特定の信仰はありません。しかし、「神様はいると思うか?」と聞かれたら、いるような気がします。とは言っても、心から本気で祈るのはお腹が痛くなった時だけです。ただ、何となくお守りを捨てられなかったり、子供の頃「枕を足で踏むと頭を大怪我する」と言われていたのを今でも律儀に守っていたりはします。うん。やっぱり私は典型的な、THE・日本人のようです。