セクハラは嫌なのにエロファンアートはOKなVtuberって道理が通ってなくない?
道理が通ってます。
おわり。
で、済ませられたら世界は平和なんですが、どうもそうは問屋が卸しません。
この話のきっかけはこのツイート。
「セクハラは嫌だけどR18のファンアートはいいよ!ってVtuber、道理が通ってなくない?」って疑問に思ったみたいです。色々思うところはありますが、ご本人が「フラットな状態での疑問」「単純な知的好奇心」とおっしゃっているのでそういう前提で話を進めていきます。
セクハラとはなんなのか
法務省の「セクシャルハラスメント」の頁を読めば定義は分かると思うので省きます。そのくらい自分で読め。問題は、「対Vtuber相手のセクハラ」です。
「対Vtuber相手のセクハラ」は大きく分けて二つあると思います。一つは「Vtuberそのもの」に対するセクハラ。
”FAQちゃん”というVtuberがいたとしましょう。FAQちゃんに
「おはよう!昨日のFAQちゃんの配信でジャンプしたとき、チラッとおパンツが見えたでしょ?
おじさん、あの白パンツで3回も致しちゃったから今朝は寝不足だよ~。
パンツのモデルはやっぱり毎日変えてるのかな!??」
と言ったらこれは「Vtuberそのものに対するセクハラ」です。我ながらキモイ。
さて、もう一つは「Vtuberの演者に対するセクハラ」です。
「おはよう!昨日のFAQちゃんの配信でジャンプしたとき、素の声で『キャッ』って言ったでしょ。
おじさん、あの声で3回も致しちゃったから今朝は寝不足だよ~。
配信の後彼氏とニャンニャンするときはあんな声を出すのかな!??」
これはVtuberの中の人に対するセクハラですね。ここまで分かりやすいのはあまりいないか。
あとこれは性別関係ないですからね。男Vtuberに向かって「彼女いるの?」もセクハラにあたるかもしれないというのをよく覚えておいてください。
セクハラOKなVtuberなら自由なのでは?
VtuberによってどこまでがAUTO、じゃなかった、OUTなのかは異なると思いますが、ハタから見ている一個人の意見を言わせてもらえば公の場所でやりとりする場合どちらもアウトだと思います。
そもそもOKなセクハラってなんだよって感じ。
というのもですね。今回はTwitter上でのセクハラの問題なのでTwitterに限定しますが、ポリシーの頁を確認すると以下のように記載があります。
Twitterは、一部の合意の上での裸体や成年向け内容は許可していますが、求められていない性的な誘いかけや、合意なく個人を性的な対象として見る内容は禁止しています。これには以下の内容が該当しますが、限定されません。
・画像、動画、GIFを含む、一方的な望まれていない成人向け内容を誰かに送る
・誰かの体に関する、望まれていない性的な話し合い、
・性的な行為の要求、
・合意なく個人を性的な対象とみなすその他の内容
ルールとポリシー
明確に”本人の望まない性的搾取”を禁止しているんですね。禁止されている以上、そのサービスを利用するなら守れよ、というのが私の意見です。
が、まあ本人が合意をしている性的搾取もあるでしょう。その場合でもゾーニングするのがマナーだと思っています。コミケでさえサークルポスターの乳首はシールで隠すんだぞ。基本的に合意している人しかいないのに。なんでTwitterは許されると思ったんだよ。
ただTwitterは未成年も見る場所ですし、基本的には世界中どこからでもアクセスできますからね。そういうある種の公とも呼べる場所で当人同士がOKしているから自由にセクハラしてもいい、とは思えないですけどね。マナーとか倫理とか社会規範とか公序良俗とかのお話です。
セクハラ×、R-18ファンアート〇の謎
ではセクハラされるのは嫌だけどエロいファンアートは描いていいよ!というVtuberは筋が通っていないのでしょうか。答えはNOです。
この「セクハラダメ、エロファンアートはオーケー」という基準を設けているVtuberさんの大半はタグでファンアートを分けている傾向にあります。(例 ファンアート→#FAQちゃんの絵、R18→#FAQちゃんのFUCK絵 等)
これも一種のゾーニングですが、この場合「18歳未満から」のゾーニングと「自分から」のゾーニング両方の意味があります。「#FAQちゃんのFUCK絵」をミュートワードに設定しておけば自分は自分のエロい絵を見なくて済みますし、誰も傷つきません。この「誰も傷つかない」というのが非常に重要になってきます。
ではセクハラ発言はどうでしょう?前述の「おはよう!昨日のFAQちゃんの配信でジャンプしたとき、チラッとおパンツが見えたでしょ?おじさん、あの白パンツで3回も致しちゃったから今朝は寝不足だよ~。パンツのモデルはやっぱり毎日変えてるのかな!??」はまごうことなきセクハラです。
気にしない人もいるのでしょうが、傷つく人は傷つきます。この例はあからさまですが、例えば「髪切ったの?失恋?」なんてのもセクハラです。Vtuberやってるときにこんなくだらないセクハラされたくないという心理は正常だと思います。
ファンアートはハッシュタグを徹底させることでゾーニングできますが、セクハラ発言はゾーニングが難しいのです。さらに言うと、同じ言葉でも言った相手によってセクハラになったりそうじゃなかったりもします。そうしたらもう「セクハラは嫌だ」と明言する、されたらブロックorミュートするという手段しか取れなくなるんです。セクハラを全面禁止すると面白がってワザとセクハラする手合いが出てくる可能性もあるので、ゾーニングしてガス抜きをしているとも考えられます。はい、「セクハラ×、エロファンアート〇」が成立しました。
終わりに
実はこの記事、今年の3月下旬に公開する準備をしていたのですが色々あって(主にコロナ禍)存在をすっかり忘れていました。noteの下書きの整理をしている際に掘り起こし、今こうやってまとめを書いています。時期を問わない内容なので許してください。
セクハラの問題は難しい、とよく聞きます。しかしこの”難しい”も人によって違っており、「髪切ったんだ」「少し痩せた?」がセクハラになるのは厳しい、という意味で”難しい”と言う人もいれば、配信で下ネタ言っているのにエロいこと言ったらセクハラ扱いされるなんて”難しい”と言う人もいますよね。
例)
「裸婦像を自ら公開しているように見えたらエロい話題振ってもいいんだなって勘違いする人」は恐怖そのものです。そんなド勘違いする奴はそいつが100%悪い。
写真家の篠山紀信先生は数多くのヘアヌード写真を撮っていますが、その被写体となったモデルはエロいからヌードになったわけではありません。写真家・篠山紀信の手によって切り取られた裸体が美であり芸術であるからヌードになったのです。そうやって生まれた写真はまごうことなき芸術作品であり、エロ本に載っている”欲情させるための写真”とは根本から違うものなのです。(一応書きますが、どちらが上とかそういう話ではありません)
自身も(ヌード)モデルであり、また(ヌード)写真家でもある七菜乃氏は「裸は衣装の一つ」と解釈しています。
裸を一様にエロいものだとしか捉えられないのは肉体美を至上とした古代芸術を否定し暗黒時代を生み、ルネサンスまで人類の芸術を冒とくし続けた過去の過ちから何も学んでいないのと同義です。(ここは日本だ、と声高におっしゃるならなおさらおかしいですよね)
「エロいファンアートを描くのは自由だけど私に対するセクハラはやめてね」と言っているVtuberがいたら順守ましょう。何がセクハラで何がセクハラじゃないのか分からないそこのあなた、何も言わず何も書かず黙ってRTして金を落しゃいいんですよ。
と、いうわけで今回はこの辺で。今度は映画の話します。たぶん。
書いた人:FAQちゃん
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