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中を読む前から、本が好き。

6/24。中村俊輔、メッシ、リケルメ......ファンタジスタたちよ、誕生日おめでとう。夢をありがとう。


今日は会社のDTP(Desktop Publishing)同好会に参加。今月のテーマは「装丁」。好きな装丁の本をみんなで持ち寄って(といってもオンラインだけど)、どこが好きなのかを語り合う。

これがとてもとても楽しかった。自分がなんとなく好きだった装丁の「好きポイント」が言語化されていったし、他の人の感性を動かした装丁を知るのも面白い。オンライン開催だったので、実際に紙質に触れたりまではできなかったのだけは残念だったけれど、とにかく楽しい時間だった。


僕が挙げた本を、備忘録がてらいくつか載せてみる。


かわいい見た目に反して、1100ページという破格の厚さ。けれど、ゴツくはない。厚さの割に軽く(769グラムだった)、持ったときの心地よさがいい。

これだけ厚いと、背幅も広いからいろいろなコピーを入れられるだろうなか、余白を活かしておとなしくタイトルを置いている品の良さが素晴らしい。

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「食べるように読んでいる」......あぁぁ、わかる......好き。


この本は見た瞬間ひとめぼれだった。古本屋で手に入れた旧装版をもともと持っていたけれど、新装版があまりにもかっこよく、こちらも買ってしまったほど。ピンクの帯がかかっているけれど、ないほうがずっとかっこいい。ハドリアヌス帝の時代にスッと戻れそうな静けさがとてもいい。諦感と哀愁漂う中の文章ともすごく合っている。

この本も背中がいいのです。上のほうに詰めてタイトルを入れる本が多いなか、帯幅のちょっと上の部分(全体でいうと真ん中よりやや下)に静かに置かれている。フォントも完璧だと思う。

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やはり、静かで品がいい。紙質も、和紙のような、ちょっと毛羽立っているような感じが立体的で美しい。好き。


ボスニア出身の、ノーベル文学賞受賞者であるイヴォ・アンドリッチの作品。去年ボスニア・ヘルツェゴヴィナを訪問するにあたって購入。

同好会参加に向けて棚を眺めているときに目が留まり、今日になって新発見が。カバーにある不思議な図形は、よく見ると、

「I・V・O・A・N・D......」

......作者名じゃないか!

一見して気づきにくいことというのは、読者が自分で発見できたときに大きな喜びになり、本への愛着はますます強くなる。わかりやすさばかりを追求せず、読者の感性を信じた仕掛け。好き。


ここからはユーモア部門。

名だたる作家たちが綴った、「〆切」にまつわるエッセイや出版社への謝罪の手紙集。カバーを外した表1~表4(表表紙、表紙の裏、裏表紙の裏、裏表紙)まで、〆切に追われた作家たちの面白すぎる言葉の抜粋が縦横無尽に散りばめられている。

「今夜、やる。今夜こそやる。」
「用もないのに、ふと気が付くと便所の中へ這入っている。」
「むろん断るべきであった」
「原稿性発熱」
「殺してください。」

本の中身を見ずしてニヤけながら迷わずレジに持って行った(紀伊國屋書店新宿本店さんだった)。発行が遅れた『〆切本2』では、遅延の罰らしく、奥付にある出版社名を逆さまに掲載するというユーモアまで。好き。左右社さん好き。


「人は何に目を引かれるか。それは違和感である」

という名言を大学時代に誰かから聞いたことがある。書店のフェア棚で面陳されているのを見て、とととととととととととてつもない違和感を放っていたこの本を、ままままままままんまと手に取ってしまった。

横光利一の短篇『機械』を11年かけて読んだ記録というクレイジーな企画で、ますます「なんなんだこの本は」と思い、レジに持っていかざるを得なかった。

中身もクレイジー。著者は一行一行立ち止まり、いちいち妄想を広げていくのだけど、その内容があまりに破天荒で、夜中に爆笑しながら読んでしまった。かと思えば、劇作家・演出家である著者の本領発揮のような鋭い考察も出てきて、遊んでいるのか本気なのかまったくわからない。本気で遊んでいるのかもしれない。

もはや、装丁じゃなくて内容まで語り始めてしまった。好き。


SFといえば、現実世界から離れて想像を飛躍させてくれるジャンルではないか。それを、たった100字でやってのけることなどできるのか。企画の面白さに好奇心がやまず、中を見るまでもなくレジへ。

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お気づきでしょうか。書籍説明も、帯に書かれた推薦コメントも、すべてが100字で書かれている!あっぱれ!

さっき買ったばかりでまだ読んでいないけれど、もうすでに好き。


最後に、我が社からも一冊。二コラ・ブーヴィエによる旅のバイブル。カバーの絵の雰囲気がすごく好きで、本の中の随所で出てくるモノクロでデフォルメされた壁画のようなタッチの挿絵も味があっていい。

けれど、それよりも何よりもこの本で好きなのは、持ち心地。500ページ超えの厚さでありながら、通常の四六判よりも少し小さいサイズで、紙の軽さも相まって、あまりにも手にフィットする持ち心地なのです。「僕の手のサイズに合わせて作ってくれたのではないか」と勘違いするほど。ずっと持っていたい。

あと、ここの丸みが、個人的にすごくいいと思っている。

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カバーに折り目がつかない、絶妙な曲線なのです。

好きか、嫌いかで言ったら、はい、すごく好き。



もっとたくさんあるけれど、この辺で。夜も遅く、そろそろ読むモードに入りたいのです。

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