見出し画像

ラブホテル清掃員がシャニマスで得た人間性

僕はラブホテルの清掃員をしている。

ラブホテルの清掃員は客が使用したバスタオルを当たり前のように素手で片付ける。つまり、不本意ではあるが間接的に人間の裸に触れていることになる。

「それって、かわいい女の子が使用したバスタオルも触り放題ってこと!?」

と思う人もいるかもしれない。

しかし、清掃員はいつも心を無にしてバスタオルを片付けている。決して必要以上に触ろうとすることはない。

それは主に2つの理由があるからである。

①男性と女性のどちらが使用したものなのか特定できない
②使用した客の見た目も年齢もわからない


まず①
言い方は悪いが、どちらかは確実に男性が使用した「ハズレ」ということになる。2分の1の確率で「ハズレ」を必要以上に触ってしまうというハイリスクな賭けをしようとは思えない。

そして②
仮に①の2択に勝利し、女性が使用したものを引き当てることができても、女性の見た目や年齢がわからない以上、それが「アタリ」とは限らないため、触りたいとは思えない。

以上の理由から、必要以上にバスタオルに触れようとすることはバカらしいことであるとわかるだろう。

僕は、この先もずっとバスタオルなんかに心を動かされることはないと思っていた。

ー あの日が来るまでは ー

ある日、僕はホテルの5階から使用済みのシーツなどを下の階に降ろそうとし、エレベーターのボタンを押した。

そして、5階でエレベーターの扉が開くと、そこには6階から乗ってきたお客さんがいたのである。

ラブホテルでは基本的に人と会わないようになっているため、客は他人に見られたことを恥ずかしく感じ、僕は見てしまったことを後ろめたく感じ、お互いに気まずい状態になる。

ここまではラブホテルで働いていれば、わりとよくあることである。僕も何度か経験しているため、それほど動揺はしない。

しかし、今回は決定的に違った。

客が2人とも大学生くらいの綺麗な女性だったのだ。

僕は、男女カップルと対面してしまったときの気まずさとはまったく違う、体感したことのない新しい感覚に動揺した。

「スッ...スミマセン...」

それ以外の言葉が出てこなかった。

扉が閉まると、僕は壁に頭を押し付け、ため息をついた。緊張感から解放されるのと同時に2人だけの空間の入り口を自分の行動によって開いてしまったことに罪悪感を覚えた。

さっきの2人はカップルだったのだろうか。それともただの友達同士だったのだろうか。そんなことに頭を支配された僕は、その日の朝に自動販売機に10000円を詰まらせて取れなくなったことなんてどうでもよくなっていた。

その直後、フロントから僕に「6階の部屋が空いたから掃除してきて」という指示があった。

あの2人の部屋だ。

他の清掃員もいるというのに運命の悪戯なのか、この僕がついさっきまで女性2人がいた部屋を任されることになった。

心を決め部屋の扉を開けた瞬間、とてつもなくいい香りが僕に襲いかかり、僕の脳内一面に一瞬にして百合の花が咲き乱れる。

え!?なにこれ!?めっちゃいい香りなんだけど!!!!男という不純物が存在しないだけでこんなにいい香りになるものなの!?!?もう男の子いらないじゃん!!!!!みんな女の子同士で幸せになればそれが最高じゃない!?!?



脳内に百合の花が咲き乱れた僕の思考は過激派百合厨そのものになってしまっていた。

彼女たちは宿泊客で、ホテルに15時間も滞在していた。仲の良い女性2人が女子会としてラブホテルを利用したという可能性もあるが、僕と同じくらいの歳の女性2人が1つのベッドで寝ていたという事実があるだけでも充分に特別な出来事だと感じた。

実際は百合好きというわけでもないし、心が純粋な僕にとって、ガチガチの百合は受け止めきれないため、むしろ女子会のようにライトな方が良いくらいだが、やはり宿泊はガチ説が濃厚なのではないかと思えてしまう。

しかし、彼女たちがガチなのかどうかを判断する術は僕にはない。男性であればゴミ箱を見れば1発でわかるが、女性同士となるとそうはいかない。

結論を得ることを諦めながらいつものようにバスタオルを片付けていたとき、僕はふと思い出した。

僕が必要以上にバスタオルを触ろうとしない理由を

読んでくれているみんなにも思い出してほしいため、復習として再度2つの理由について話す。

①男性と女性のどちらが使用したものなのか特定できない
②使用した客の見た目も年齢もわからない

これらの理由が存在するため僕はいつもバスタオルを必要以上に触ろうとしなかった。

しかし今回はどうだろうか。

まず
「①男性と女性のどちらが使用したものなのか特定できない」
に関してはどちらも女性であるため最初からクリアしている。「ハズレ」が存在しないため、リスキーな2択は発生しない。

そして
「②使用した客の見た目も年齢もわからない」
に関してはエレベーターで1度見ているため、見た目とだいたいの年齢がわかっている。


「アタリ」しかないやんけ!?!?!?!?


そう

必要以上に触らない理由がなくなってしまったのだ。











いや、まさかね、そんな...











触るわけないじゃないですか、僕が!やだなーもう!僕のこともうちょっと信用してくださいよー!

必要以上に触らない理由がなくなってしまったと言ったが、あれはだ。

そもそも①と②の2つの理由自体が茶番のようなものだ。

客の性別や見た目や年齢がわからないなんて、そんなことはどうだっていい。そんな上辺だけの理由はいらない。

僕は、誇れる人間でありたい。
ひとりの人間として恥ずかしいことはしたくない。

この気持ちさえあれば過ちは犯さない。

そして、僕はひとりの人間であるとともに、アイドルのプロデューサーでもある。自分だけの人生ではなく、アイドルたちの人生をともに背負っている。

そんな僕が自分勝手な行動でアイドルたちを失望させるなんて許されるはずがない。

僕が担当しているアイドルの小宮果穂は小学6年生であり、子どもらしい純粋さを持ちながらも、下手な大人よりもずっと礼儀正しく、周りの人々への感謝の気持ちを忘れない素晴らしいアイドルだ。

僕は大人として、彼女のお手本になるような行動を心がけなければならないと思っている。下手な大人よりもしっかりしている彼女のお手本になるのは、平均的な子どものお手本になるのよりもハードルが高い。

実際、彼女のお手本になることができる大人はかなり限られているだろう。だから僕は、自分がその限られた大人になるために正しい行動だけをしていきたいと思っている。

たとえ飲み会でエッチなお姉さんがお持ち帰りしてくれるって言ってきても僕はついて行かない。それくらいの覚悟で生きている。

僕がラブホテルで女性客のバスタオルを喜んで触っていることを知ってしまったら、彼女は悲しむだろう。想像するだけで胸が痛くなる。

僕は、彼女の純粋な瞳を曇らせたくない。ずっと笑顔でいてほしい。ずっと笑顔でいられるように導くのが僕の仕事だ。

僕にこのような意識が芽生え、立派な大人であることを心がけるようになったのも、彼女と出会えたおかげだ。

アイドルを正しい方向へと導く側のプロデューサーがアイドルによって正しい方向へ導かれているのだ。

ここまで散々僕の意識の話をしてきたが、僕が罪悪感を抱きたくないだとか、恥ずかしい行動をしたくないだとか、僕の自己満足で終わるような理由よりもずっとずっと大切なことがある。


それは、相手の気持ちだ。


この世にいるすべての人間の一人ひとりが心を持っているということをいつだって忘れてはならない。

知らない男に自分の使用したものをベタベタと触られて不快にならない女性なんていないだろう。

アイドルを失望させたくないというのも結構なことだが、何よりも大切なのは当事者である相手を傷つけないことだ。

客は自分たちが帰った後に誰かが自分たちのバスタオルを触っているなんて知る由もないため、傷つくこともないと思うかもしれないが、「知られたら傷つけてしまう」という事実がある時点で、そのようなことはしてはいけないと僕は思う。

「相手を思いやり、相手を傷つけてしまう可能性のあることはしない」

当たり前のことのようだが、これができない人も多い。僕自身、過去を振り返れば相手を思いやることができずに人を傷つけてしまったこともたくさんある。

だからこそ、これからは過去の過ちを繰り返さないように、たとえ自分が思いやりのない人に傷つけられたとしても、思いやりの心を忘れずに生きていきたいと感じる。

アイドルマスターシャイニーカラーズと出会い、アイドルやプロデューサー(プレイヤーの分身的なポジションだけど僕よりもいい人すぎる)のたくさんの思いやりを見て、強くそう感じるようになった。


長い文章になってしまったが、要約すると
シャニマスは人間性を豊かにしてくれるため

「全人類シャニマスをやろう」

このnoteを投稿すること自体がそもそも小宮果穂のお手本になっていないどころか、知られたら恥ずかしいような不適切な行動であるという指摘はマジでぐうの音も出ないので勘弁してください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。




この記事が参加している募集

全力で推したいゲーム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?