#3 「思いつく」って意味知ってる??(I先輩の教え)前編
おはようございます。こんにちは。こんばんは。FantaRegista尾田です。
連載記事『コピーライターって何ですか?』 早や第三回目となります。
前回は、深海とか難解なエピソードを書いてしまったにも関わらず、意外にも沢山の方から好評のリアクションを頂き、誠にありがとうございました!(´;ω;`)ウッ…
さて今回は、これもI先輩に教えてもらった金言、「思いつくの本当の意味」について、と、その教えに導かれて僕が「思いつい」たコピーのお話です。もう大昔のハナシなので今更誇らしげに語ることでもないのですが、、、(;'∀') 宜しければお付き合いくださいませ。
思いつく、って ネガワードじゃないの??
「ねーねぇー、おだァ~。さいきんどう~?」
当時のサムライクリエイティブ局の中では異質と言ってもいい程面倒見がよかったI先輩は、僕みたいな1年坊主の席までわざわざ来てくれてよく話しかけてくれた(後に分かることだが実は単にさびしんぼうだったのだが、、)。
最初は「おだくん」とややよそよそしかったのだが、深海トークの後辺りから、「おだァ~」という独特の呼び方に変わった。書くとなんか上からというか、汚い呼び方のようだが、この「ァ~」に絶妙な愛情がこもっていることを僕はちゃんと知っていた。
で、
「おだァ~、さいきんどう~??」
どう、、、ですかね、、、?
ん―― 、、、
いいコピーが、なかなか、、、思いつかないです、、、
と、特に考えなしに普段のホンネを吐いたのだが、それを聞いたI先輩の目の色が、やおら変わった。今思えば、キタキタ、と思ったのだろう。
「ねーねぇ~、『思いつく』の意味って、知ってた~?」
え?
「思いつくって言葉の、意味ぃ~?」
皆さんなら、なんと答えるだろうか?
普通、「思いつきですけど、、、」と切り出せば、あんま考えて無い案で恐縮ですが、、って意味だし、「思いつきでモノを言うな!」と叱られれば、それは考えが浅いヤツの意見に聞く耳はもたん!といった意味で、つまり思いつきとは、いわゆるネガワードだと思われる。
僕もその時、きっとそのような返答をしたはずだ。
だけど、、、、I先輩は、「違う」と言う。
「広辞苑とか調べたら、もしかしたら正式には違うかもしれないけどネ~」と前置きしつつ、キラキラした目でこんなことを言った。
「思いつくってのはぁ、、、
『想いがそこに辿り着く』って意味なんだヨぉ~~」
それは、深海トークの時と違い、一発で僕の頭を殴った。電撃が走った瞬間だった。その後、広辞苑は調べていない。正式にはどうかなんてどうでもよかった。
「想いが、そこに、辿り着く。」
なんとイメージの湧く言葉なのか、、、
そんなことも意識せず「コピーが思いつかないでスー」とか言ってた自分が恥ずかしくなった。そう。想いを尽くしていなかっただけだったのだ、、、
マウンドに上がるまでが、しんどい
実はI先輩の「深海」も「思いつく」も、全く同じ教訓だ。
真摯に想いをつぎ込んで、初めて「そこ」に辿り着く。
深海も自分の内面との対話を通じて想いを馳せる行為であって、
その深さが到達点への道になるのだ。
コピーは、書くという作業をすれば書けるものではなく、結局はその前に正しい準備を真摯に、地道にやらないといけないということ。そして想いがそこに至るまでやり続けなければならないということだ。
I先輩が限界まで考え込んで、更にそれを一晩寝かして(恐らく夢の中でも追われていたことだろう)ようやく思いついた、という前回のエピソードが思い出される。
いわゆる産みの苦しみ。それが不可欠だ。
だが、それが、なかなか、、、しんどい。正直時間もかかる。
その分「思いつい」た時の電撃、感動もひとしおなのであるが。
僕もそうだったが、若い頃はとにかく時間に追われており、
どうしてもそれを飛ばして結果だけに飛びつこうとする傾向がある。
けど、、、やっぱり、それでは「思いつかない」のだ、、、、
さて、ここで余談になるが、プロ野球選手でも同じようなことを言った人がいた。子どもの頃僕の憧れだったサブマリンの大エース、山田久志投手。そしてヤンキース等で活躍した黒田博樹投手である。
通常は「球速が落ちた」「ボールに切れが無くなった」等の体力的な理由で引退をする。ところが、引退時期が全然違う彼らだがほぼ同じことを言って引退した(僕の記憶違いだったらゴメンナサイ!)。
「マウンドに上がったらなんぼでも投げれる。
けど、、、マウンドに上がるまでが、、しんどいんや。」と。
カラダをつくるだけではなく、ああでもない、こうでもないとシミュレーションをし、打ち込まれる悪夢に苛まれ、疑心暗鬼になり、それでもそれに打ち勝って、エースとしてのプライドと重責を背負って、はじめてプロのマウンドに上がれる。
試合結果しか見ていない僕の様な者には想像も出来ない、途方もない闘いがあるのだろう。どこまで、自分を追い込めるか。それの限界が来た時、大エース達も引退を決意した、、、。
勝ち星というのはそこまでやって初めて、神様がくれるご褒美なんだな。
どんな天才でもやはり一足飛びでは至れないってことなんだ、、、と思ったことを覚えている。
話を戻そう。
I先輩の話を聞いた時、僕はまだ1年生。想いがそこに辿り着く、という言葉のイメージは鮮明に響いたものの、正直に言えばその時は「なるほど~I先輩物知りだな~」位にしか思っていなかった。
が、それから2年後、僕は身をもってそれを体験することになった。
お恥ずかしながら3年目にしてようやく、想いがそこに辿り着いたコピーを書くことになるのだが、、、
思いの外、長くなってしまったので、、、(;'∀')
スミマセン、後編に続きます!
(つづく)
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