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Our Story #3 - 知られざる、商品開発の裏側

2013年 日本発の本格スムージーブランド「F&P」 (FICO & POMUM) ができるまでのメイキングストーリーを紐解く第3回。

今回はいよいよ、スムージーの商品開発の裏側をお話しします。


2000年
ホストマザーがくれたレシピ


ことの始まりは、F&Pを創業した西野が、アメリカのカリフォルニア州オレンジカウンティにホームステイで滞在していた時のことです。

現地のホストファミリーのお母さんはお料理が好きな人で、滞在中にはいつも美味しくて体にもいいメニューを用意してくれたのですが・・・

それだけではなく、彼女は食材1つ1つにもとてもこだわりを持っていたようでした。

その中には、日本では聞いたこともないような食材もあって、
その1つ1つがどんなふうに体にいいのだとか、
ビタミンなになにが摂れるのだとか、
ことこまかに日本からやってきたゲストに解説してくれたのです。

アメリカの人はこんなに栄養のことに詳しくて、こんなに食事にも気を遣っているのかあ・・・と驚いた西野。

そのホストマザーが毎朝作ってくれた色とりどりのスムージーは、まさに、美味しくて体にも良くて手軽に食事の代わりにもなるような「ヘルシーファストフード」でした。


そして、西野が帰国する際に、ホストマザーがフェアウェルギフトとして手渡してくれたのが、2冊のスムージーレシピ本。

そこには、単にスムージーを作るための食材の配分量だけではなく、スムージーライフのベネフィットや実践方法、スムージーに適した食材のリストに至るまでが詳しく綴られていました。

もちろん英語だらけの洋書で、それもかなりの分厚さです。


西野はこの本を思い出の品として大切にし、
聞き慣れない英単語と格闘しながらも、文中に赤線を引いたりして、入念に読み込みました。

その後、当時アメリカ西海岸のホストマザーから受け継がれたこのスムージーの書は、活動のバイブルとしてF&Pの思想の拠りどころとなっていきます。


2011年
自宅で繰り返される、プロトタイプ試作の日々


創業に向けた事業開発をスタートした西野は、憧れだった業務用スムージーブレンダー「Blendtec」を海外からの個人輸入で手に入れることに成功し・・・

そこから、自宅での試作研究の日々が始まりました。


「Blendtec」は、本場アメリカのスムージーショップでは当時最もスタンダードなブレンダー機種で、
「西海岸さながらのスムージーを作るには、まずはカタチから!」と、奮発して資金を投入することにしたのです。


バナナ
冷凍のストロベリー
牛乳
豆乳
オレンジジュース
ヨーグルト

まずは家庭でもお馴染み、近所のスーパーでも手に入れやすい食材を買い集めて自宅の冷凍庫でストックし、基礎テストが行われていきます。


その中でいつもお手本になっていたのは、
アメリカの西海岸で体験した「あの」味覚と質感でした。
(味覚は「テイスト」。質感は「テクスチャ」。2つを合わせて「フレーバー」と言っています)

そればかりは日本のどこへ行っても体験することができなかったので、西野は、「あの」味覚と質感をいつも思い出しながら、半年間にわたって再現テストを繰り返していきました。

当時の試作内容と評価が記録されたファイルには、400を超えるノートが残されています。


2012年
大失敗の初期開発プロジェクト


さて、プロトタイプの基礎試作を終えると今度は、いよいよ開業に向けた業態開発のプロジェクトに移っていくことになります。

このプロジェクトに最初に参画していただいたのは、栄養学コンサルタントの先生でした。

当時、西野が読んで感銘を受けた栄養学の本の著者の先生に直接アプローチをしたところ、その方が海外事情にも詳しかったため、プロジェクトに大変共感していただくことができ、顧問として快くご参画いただくことになります。


そして次に、飲食業のメニュー開発のコンサルチームがプロジェクトに招集され、より具体的な開発が始まっていきます。

それまでの基礎試作や、栄養学の先生の指導・監修をもととして、
飲食業態のプロが、実際の仕入や現場オペレーションをレシピやマニュアルに落としていき、「お店で実現できる状態」を作り上げていく作業です。


さて、メンバーによるキックオフ会議を経て、いよいよ
「今の日本にはない、本格的なスムージーのお店を作るぞ!」
と開発プロジェクトがスタートするのですが・・・



なんと、この体制はうまく噛み合わず、チームは空中分解に。


創業者の思い描く「日本にはないスムージー」が、開発の手を動かすメンバーには想像ができず、言葉ではうまく伝わらないことや、

飲食店の現場を知らない顧問の先生からの理想論は、開発チームにとって足かせの干渉となってしまい、

大きなコストがかかる上に、満足のいく成果にもたどり着くことができません。
結局、このチームはまもなく解散されることになってしまいました。。


2013年
創業メンバーによる立て直し


その後、新しいメンバーも正社員としてジョインして創業準備は進んでいくのですが、肝心のスムージーは完成度の低いままの状態でした。

2013年になると、西野の周りには「スムージー好きな栄養士」「カフェ経験豊富な元バリスタ」などのプロフィールを持ったメンバーが集まってきていて、
そこからはインハウス(社内)でのリバイス開発が行われていきます。



日本にない「本格スムージー」とは、どんなもの?
日本人にも親しんでもらえるスムージーには、何が必要?
フィコポム (F&P) らしいスムージーって、いったい何?

今度は事務所がラボとなって、F&P創業メンバーによる商品コンセプトの再確認と、仕上げ作業の日々が続いていきました。


こうした経緯を経て完成したスターティングラインナップはこちら!


これまでの日本にない「本格スムージー」!
本場・西海岸さながらの「あの」スムージーが日本で蘇り、日本の店舗の現場でも具現化できる「商品とオペレーション」がこうして築かれました。


もちろん、このほかにもお蔵入りとなって日の目を見ていない名作たちもたくさんいますので、いずれどこか別の機会にでも、こぼれ話としてまたお話しさせてください。



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