本のノドに魚

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バンクペーパー

バンクペーパーという紙がある。銀行の帳簿用として作られた三菱製紙の紙だ。オリジナルノートを作った際、選べる用紙すべてに試し書きをして、一番好みだったのがバンクペーパーだった。ペン先と紙が接する感触がしっかりしていて、温かみを感じられる。決して安くはない代物。紙が使い手を選べないのをいいことに、どうでもいいことをつらつらと書いている。それでも書き手に「書く」楽しみを教えてくれる、懐の深い紙なのである。

    • なんとなく考えなしに生活する、ということができなくなってきた。「やってみたい」という思いだけで無鉄砲にやってきた、若さ故になんとか乗り越えてきた約10年。これを続けるわけにはいかなくなってきた。色々と考えたり、悩まないと、この先やっていけないという段階にきてしまった。

      • 暗記の話

        身の回りの番号を積極的に暗記する意欲が減った。「身の回りの番号」とは、例えば電話番号だったり、クレジットカードや口座の番号のことだ。以前はどちらかというと、備忘録をわざわざ見返すのが面倒だから、それなら“そら”で覚えた方が楽だということで、語呂合わせを使って記憶していた。例を紹介したいけれど、いくら読者がゼロのブログとはいえ、個人情報の公開となるので控えておく。 語呂合わせといえば、学生の頃の勉強でもよく使った。有名なのは「いい国(1192)つくろう鎌倉幕府」か。おもしろい

        • 雨と傘とレインコート

          傘というものがあまり好きではない。誤解のないように言うと、傘自体は嫌いではない。言うなればおしゃれアイテムの一つだし、デザイン性の高いものは目にするだけでテンションがあがる。傘そのもの、というよりも「傘を差す」という行為が苦手なのである。差すことで、片手が塞がってしまうのがどうも気に入らない。 一昨年頃、傘を差す生活に休止符を打つためにレインコートを購入した。袖のないポンチョ式のものを選んだ。しっかりした生地で撥水性も優れている。夏場は多少ムレるけれど、リュックを背負ったま

        バンクペーパー

        • なんとなく考えなしに生活する、ということができなくなってきた。「やってみたい」という思いだけで無鉄砲にやってきた、若さ故になんとか乗り越えてきた約10年。これを続けるわけにはいかなくなってきた。色々と考えたり、悩まないと、この先やっていけないという段階にきてしまった。

        • 雨と傘とレインコート

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          世紀のリユースワード

          ある日の朝、テレビを見て、ふと笑っている自分がいた。 「しわのばし〜」 衣類用洗剤のCMでIKKO氏が放つセリフだ。 まぼろし〜 せおいなげ〜 てっぺき〜 IKKO氏といえば「どんだけ〜」のフレーズが有名だけれども、それがアレンジされるかたちで、CMのキャッチフレーズとして使われている。冒頭のとおり、最近では洋服のしわなんかも伸ばしちゃっている。 元祖である「どんだけ〜」は、2007年の流行語大賞にノミネートされたとのこと。取り上げられる多くのワードが、その次の年に

          世紀のリユースワード

          欲張りは身を滅ぼす

          会社の先輩とチャットでやりとりする際、ついやってしまうことがある。それは、1ターン余計に返信してしまうことだ。必要なやりとりで終えていればいいものを、何か気の利いたことを言おうとして、付け加えてしまう。歳の近い同僚なら、どうでもいい話題でもキャッキャと付き合ってくれるが、ひと回り上の人だと反応は違ってくる。返事が来ないのだ。 困らせたか、鬱陶しいと思われたか。考え出したら最後、返事がないことにクヨクヨと悩みつづける。あの余計な一言さえなければ、こんなに悩むこともなかったのに

          欲張りは身を滅ぼす

          タクシーの話

          アニメ『オッドタクシー』がおもしろい。主人公のタクシー運転手が、客である豪華ゲストを迎えて、小気味よいトークを繰り広げる日常ストーリー…ってだけでも十分楽しめそうだけれど、そこに不穏な影というかミステリアスな要素も加わっている。可愛らしい絵柄とはウラハラに、ハラハラもさせてくれる、ズルいアニメなのだ。 登場人物はみんな動物だけれど、たまたま容姿が動物なだけで、中身はめちゃくちゃ人間くさい。公式ホームページのキャラクター紹介も、それぞれがなんの動物かというのは、特に明記されて

          タクシーの話

          視力と虫

          自分自身のことで唯一誇れるのは「視力がいい」ということだ。学生時代の視力検査は、いつも「2.0」をマークしていた。ラスボスである一番小さい「c」(みたいなマーク)と向き合うとき、自分の集中力は一年でもっとも高まっていると思う。職場経由で行く健康診断では、なぜか検査の最大計測値が「1.5」なので、「自分はもっとやれるのに」と歯がゆい気持ちでいる。 夜道を歩くとき、眼前に這う虫をすぐに見つけられる。一定の間隔で街灯が道を照らしているので、真っ暗なわけではないけれど、それでも影に

          鳥の話

          最近家の近くでよく見かける(鳴き声を耳にする)ようになった鳥がいる。お腹は茶色く、背中は青い、すずめより少しだけ大きいくらいの鳥。イソヒヨドリというらしい。人気のない森の中でしか目にできなさそうな見た目の鳥を、電線に囲まれた住宅街のなかで見つけたときは得した気分になった。が、調べてみると、もうすでに以前から人間の住む場所に進出してきているらしい。 存在は知っていたけれど、名前は最近まで知らなかったハクセキレイ。こいつも以前からよく見かけるようになった。尻尾をピョンピョン跳ね