視力と虫
自分自身のことで唯一誇れるのは「視力がいい」ということだ。学生時代の視力検査は、いつも「2.0」をマークしていた。ラスボスである一番小さい「c」(みたいなマーク)と向き合うとき、自分の集中力は一年でもっとも高まっていると思う。職場経由で行く健康診断では、なぜか検査の最大計測値が「1.5」なので、「自分はもっとやれるのに」と歯がゆい気持ちでいる。
夜道を歩くとき、眼前に這う虫をすぐに見つけられる。一定の間隔で街灯が道を照らしているので、真っ暗なわけではないけれど、それでも影になって暗くなっている場所もたくさんある。そんなときでも、自分の足元付近にいる小さな虫を見つけ次第、すぐさま距離をとることができる。
虫がとにかく苦手だ。だから、自分と虫、双方に悲劇が起きないように細心の注意を払いながら歩く。外敵から身を守るため、生き物がさまざまな特性を持っているとするなら、この視力は苦手な虫から自分自身を守るためにあるのかもしれない。
うそ、多分関係ない。
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