研究者の就活のコツ 国立大 テニュア・トラック助教・准教授

研究者の就活に関してまとめてみました。(国立大)
JREC-IN経由のガチ公募経験をまとめます。私は現在、国立大のテニュア・トラック助教やっています。


書類選考突破のコツ

書類の準備

JREC-INを使って、自分の研究分野と近い公募を検索します。一般的には研究業績、これまでの研究、これからの研究、教育の抱負などをwordで記載してpdfで電子メールや郵便で送ることが多いです。


書類選考結果の通知

締切後、約2~3週間後にメールで来ました。私も「結果はいつ来るんだ!」と、もやもやして気になって調べましたが、ネットでは約2~3週間後と書いていることが多いです。1ヶ月を超えたら書類選考は落ちたと思って、次の公募に応募したほうが無難です。どうやら「公募が流れる」・「適任者が決定する」まで、不採択の連絡はしないようです。私の経験では、締切から4ヶ月後に不採択の郵便が来たことがあります。金曜日に連絡が来ることが多い気がします。

公募と自身の研究テーマの合致度

自身の研究テーマが公募をかけている専攻・研究室と異なる場合、業績がいくらあっても書類選考を通らない可能性が高いです。公募要領をみると研究テーマが書いてあると思いますが、公募「センサの研究できる人」に対して研究分野「AIを使ったデータ処理」だと、少し離れていると感じます。「この研究テーマは公募と離れているな」と自分で感じたら、ほぼ間違いなく書類選考で落ちます。


書類選考突破に必要な業績

私の分野は電気電子・機械工学に近いですが、以下の業績で地方国立大の准教授、助教として面接に呼ばれました。総論文数15報くらいで地方国立大の准教授している知り合いがいるので、このくらいあれば問題ないと思います。旧帝大など小講座制は教授の裁量が大きいため、論文数が少なくてもコネや空きポストの関係で准教授になる場合があるようです。注意事項としてはすべての項目に、なにかしらの業績があることが大事らしいです。学会活動が空欄だと学会活動に熱心な先生のポイントが下がりますし、大学運営管理も同様です。隙を見せない業績(CV)づくりを念頭に入れ、研究教育活動に取り組みましょう。

  • 総論文数:20報(ファースト15報、コレスポ15報、最高IF 15、IF>10 5報)

  • 受賞:8件(財団・学会の奨励賞など)

  • 特許:1件

  • 助成金:科研費(若手2回、研スタ)、民間  総額2000万円

  • 授業経験:実験授業、大学院の非常勤2回

  • 大学運営管理:共用設備の維持管理、オープンキャンパスの手伝い

  • 学会活動:運営委員、副幹事、会計
    (博士取得後5年目)


面接対応のコツ

教育研究の抱負の伝え方のコツ

一般的(?)には、書類選考と同様に

  1. これまでの研究

  2. これからの研究

  3. 教育・研究の抱負

  4. 業績:論文、学会、授業経験、大学・学会運営経験

の流れで説明することになると思います。そのさい、自分の能力をアピールするため経験ベースで説明すると良いと思います。具体的には、

研究
「私はIF: 15の論文を、ファースト、コレスポで数本書いた→これから▲▲▲に関する研究に取り組むことでhigh IF論文を量産できる」

研究費
「私は科研費 若手研究 2回取得し、基盤Bに応募している→これから▲▲▲に関する研究に取り組むことで、JST さきがけ、NEDO、基盤Bを取得できる」

教育
「大学院の授業で学生に▲▲▲に関する最先端の研究を紹介し、アンケートでA評価をとれた→学生に研究に興味をもたせることができる、面白い授業を実現できる」

のような説明になると思います。


大学・学会の運営に好意的アピール

この記事を見ている方はポスドク・(特任)助教の方が多く、「大学・学会の運営はやったことないよ」と思うかもしれません。しかしながら、テニュア・トラック助教、准教授クラスの公募は「大学・学会の運営に好意的・積極的です」をアピールする必要があります。ご存知のとおり、運営交付金の減額・少子化にともなう学生数の減少により国立大も生き残りに必死です。そのような状況下では、大学運営の仕事をしない教員は好ましくなく、ネガティブな印象を面接官に与えてしまいます。大学の管理運営の仕事をきちんとします感を出すために、最低でも「オープンキャンパスの手伝い・研究室説明をして、小中高校生に研究の面白さを伝えた」などとアピールしましょう。
学会の運営に関してはなぜ公募で求められるかよくわかりません。学会運営に熱心な面接官に隙をみせないように、日頃からアクティブに参加していきましょう。アブストの査読、運営委員、座長を頼まれたら、「はい、やります!」と答えましょう。


面接の質問内容・雰囲気

複数の大学の面接を受けましたが、以下の質問が頻繁に聞かれました。実験系の研究です。

  • 装置は持っているか?またはどこから持ってくるか?

  • 装置は自分でも揃えているか?

  • 着任大学に装置がない場合、どう実験するか?

  • 着任大学の設備で研究を完遂できるか?

  • 微分積分・線形代数が教えられるか?

  • メンタルが弱い学生との向き合い方は?

  • 海外に研究に行く場合、行く先生とのコネクションはあるか?

  • 志望順位はどのくらいか?

面接の雰囲気は和やかな場合、ピリピリとした圧迫感がある場合がありました。圧迫感がある場合は、想定通りすべて落ちました。


面接結果

大学により連絡までの期間が異なります。採択の連絡が面接の次の日にメールで来る場合もあれば、3ヶ月後に来た場合もあります。3月に不採択の連絡が来る場合もあります。おとなしく吉報を待ちましょう。


終わり

いかがでしょうか?ひごろからCVに書く項目を1行でも増やすことが重要です。そのためにも、計画的・戦略的に結果を出していきましょう!

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