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黒蛇と茶色い犬

最初は、夢の中に黒蛇が出てきたことから始まる。
住宅街を歩いていた私の目の前に、巨大な黒蛇が現れたのだ。
3mくらいの長さで、胴体は太く、丸々としていた。
私は蛇は好きな方だ。触ったり、首に巻いたりもできる。
だから夢の中でも蛇の出現にテンションが上がり、スマホで写真を撮ろうと近づいたのだが、その瞬間、蛇は私を威嚇した。
驚いて蛇を見つめていると、近くの民家の玄関が空いて、茶色い小さなトイプードルがトコトコやってきた。(ちなみにその子は数日前にアニマルカフェで会った子だった)
茶色いトイプードルは何てことない雰囲気で黒蛇を食べ始めた。
巨大な黒蛇は抵抗しながらも結局ほとんどの体を食べられてしまった。
そこで目が覚めた。

夢占いで「黒蛇」は不吉な予兆だ。体調の悪化やトラブルを表すこともある。
「茶色い犬」は穏やかで信頼できる友達を象徴する。つまり、何かネガティブなことが起こるかもしれないけど、信頼できる誰かが助けてくれると読み解くことができる。
そう、最初のヒントはこうして出ていたのに、私はうまく拾うことができなかった。

夢の光景

夢を見た日、遠方に住む心友のひとりから「コロナになった」と連絡を受けた。流行ってるみたいだから気をつけてね、と言われ、ちょうどその日は出かける日だったから久々にちゃんとマスクをして行こうかなと思ったのだ。
けれども、なんやかんや忘れてしまい、二つ目のヒントがあったというのにノーマスクで出かけ、まんまとコロナに感染して帰ってきた。
まぁ仕方ない。すべてのメッセージを完璧に拾って対処できるほど私はできた人間ではないからだ。

それから3日間高熱に苦しみ、4日目からは37.6度くらいが一週間続いたのだが、以前感染した初期の”武漢風邪”に比べたら、それでもよっぽどマシだった。
自分の部屋に篭って家族にうつさないよう細心の注意を払っていたのだが、猫だけはどうしても私と同じ空間にいたがるので二箇所の窓を開けて過ごし、昼間はなるべく庭に出てもらった。
猫はいつも私を気にかけ、守っている自負があるようで、庭に出る時には
「あたしが側にいなくて本当に平気なの」
と何度も私に言いながら、後ろ髪を引かれるようなそぶりで外へ出ていった。
いつもは迷いなく外へ出る彼女は、本当に私を心配してくれていた。

私は少しの食事やトイレ以外は本当に寝ているしかできなかったのだが、たまに庭に出て新鮮な空気を吸った。やっぱりプラーナってあると思う。植物たちから生命力を分けてもらえる感覚があって、少し楽になった。

高熱3日目の午後、身体中の痛みに少し心が折れかけながらもまた庭へ出た。
よく晴れていて、植物がキラキラとしていた。ふと日陰の方を見るとひとつだけヤブミョウガの白い花が咲いていて、私に何かを訴えてきた。
「知恵や力を借りるんじゃよ。信頼できる友が側にいるぞ」


ヤブミョウガの白い花

高熱が出ていたせいかサイキック力がなぜかやたらクリアになっていて、はっきりと聴こえた。そういえば猫の言葉もいつもよりはっきり聞こえていたなと思った。

「信頼できる友から、知恵を分けてもらうんじゃ」
ヤブミョウガはやはりそう言っている。
信頼できる友の知恵。それは一体、誰のどんな知恵なんだろう?

庭を見渡すと、また別の植物に「あの!」と呼び止められた。
イノコヅチの穂先の一部分が私を呼んでいた。


イノコヅチ

この写真の中には、その話しかけてくれた穂先は写っていない。その理由は後述する。

「辛いんですよね?ぼくを食べると少し楽になるので、どうぞ食べてください」

イノコヅチの穂先はそう言った。ヤブミョウガが言ってたのはこの子のことだったのか?と思いつつ、戸惑った。
いろんな意味で、食べてしまっていいのだろうか…?
でも、勇気を持って名乗り出てくれたように感じたので、尊重して感謝と共にまずは摘み取らせてもらった。手のひらにちょうど収まるくらいの葉っぱたちは、持ってるだけでも薬効があるような気がした。
しばらく手のひらに乗せて眺めていたのだが、そもそも食べられる植物なのか、ということも含め、イノコヅチの効能を調べてみた。私はエビデンスも大事にしたい女なのだ。
すると、消炎作用や浄血作用、さらには神経痛や関節痛にも効果があった。
高熱であちこちの神経や関節が痛むのが一番辛かったので、まさにぴったりな植物が名乗り出てくれたことがよくわかった。
食べ方としてはお浸しや天ぷらなども紹介されてたが、柔らかい穂先は生でも食べられることがわかったので、感謝してそのまま食べてみた。
食べたことがある何かの味に似ていて、なかなか美味しかった。
先程の写真にその穂先が写っていないのは、命をいただいた後に撮影したからである。

しばらくすると、確かに体の辛さが楽になった。イノコヅチにも、そもそも話しかけてくれたヤブミョウガにも感謝が溢れた。
その後、さらに治療家の夫に隣の部屋から遠隔治療をしてもらった。家族なのでこれまで遠隔を受けたことがなかったのだが、その治療も驚きに満ちていた。
想像していた10倍くらい、対面で受けている時と同じ感覚に包まれたのだ。
「なんとなく治療されてるのかも?」というニュアンスはなく、いつも治療中に連れて行かれる独特の変性意識の世界にすぐ入ったし、身体中に明かりが灯るようにエナジーが巡り始めた。

そうそう、寝込んですぐの頃に、夫と私の共通のクライアントであるEさんのお母様がパワフルな自家製のお野菜を送ってくださっていた。それを夫がたくさん調理してくれたので、あの野菜たちもものすごいサポートをくれたと思っている。
Eさん、お母様、野菜たち、本当にありがとうございました。
そういうわけで、二度目のコロナに感染してしまったものの、助けてくれる信頼できる「茶色い犬」は、そこかしこにいてくれた。本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。

辛いピークを越えた頃、寝ていることしかできないし、なんとなくハリーポッターを1から全部観てみようと思って観始めて、ちょうど昨日最終章まで完走した。
作中にも邪悪な存在として黒い大蛇が出てくるのだが、1からシリーズをずっと観てきて、その大蛇を倒す瞬間が一番痛快だった。
ネタバレになるので書かないけど、あれは1から観てきた人にとって、むちゃくちゃ胸熱なハイライトだと思うのは私だけではないはずだ。本当に最高だった。
なんとなく観始めたハリーポッターだったが、夢に出てきた黒蛇が最終的に映画の中で討伐されたところで、今回のコロナ騒動は幕引きされた気がする。

寝込んでいた間、庭の雑草がどんどん秋っぽくなっていて、例のイノコヅチたちは「くっつき虫」と呼ばれる種をたくさんつけ始めた。
いつもなら迷わずに引っこ抜いているけど、今年は抜く気にはなれない。
もう友達だからだ。




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