見出し画像

パラレルワールド「恵A」

パラレルワールドの話を書いてみる。
2023年の最初のnoteには、ちょうどいいかもしれない。

ネット上には、パラレルワールドを体験した人の話がちらほら存在する。その中のどれくらいが本当で、どれくらいが創作なのかはわからない。
個人的には読み物として面白ければどちらでもいいと思っている。
今日は、たまたまそんなパラレルワールドを扱った動画をYouTubeで観た。
その動画は、朝起きたらパラレルワールドへ移行してしまっていた人のお話だったのだが、元いた世界とは漢字が少しずつ違うというエピソードが出てきて、あることを思い出した。

私は、胎内記憶や初めて目が見えた時の記憶を持っている。
赤ちゃん時代や保育園児だった頃のことも鮮明に覚えているものが多い。
なぜそんなことを書くかというと「そのくらい記憶力がいい」と前置きしたかったからである。
動画を観ていて思い出したのは、小学生の頃に見ていたある漢字のことだった。

漢字を覚えるのは比較的得意な方だったと思う。後に習う英単語もそうなんだけど、共感覚と文字をエナジーとして捉える方法で覚えていたから、暗記に苦労した経験はない。
なぜそんなことも書くのかというと「そのくらい本質的に捉えていた」と前置きしたかったからである。

思い出したのは「恵」という漢字だ。誰でも小学校で習うと思う。
だけど、当時習った「恵」には、右上に「`」がついていたのだ。
「恵ちゃん」は「恵`ちゃん」だったし、先生が黒板に書いた文字も同じように「恵`」だった。
誰かが代わりに書いた「恵`ちゃん」の名前は「`」が勢いよく右下へ流れていて「随分`が長いなぁ」と思ったことさえあった。
これだけなら記憶違いの可能性もあるかもしれないが、証拠はもう一つあって、女子トイレの手洗い場付近にいつも貼ってあった小さめのポスターだ。

「水は地球の」までが小さく書かれ、ポスターの大半を占めるサイズで青で描かれた「恵`」の文字。水は地球の恵、そう書かれていた。
その右上の「`」が水の滴の形になっていたから、よく覚えているのだ。
友達がトイレを済ますのを待っている間、何となくいつもそのポスターを眺め、滴の形を目線でなぞった。
まるでピチョン、という水音が聴こえてきそうなデザインだった。
「恵」自体はベタ塗りになっているのに対し、滴の中には白い線が描かれていたので、幼かった私は「青に白い線をぷっくり描くと滴っぽくなるんだなぁ」なんて観察していた。だからよく覚えているのだ。

それなのに、10代後半だったか、20代に入っていたか…
ある日私の世界から「恵」の「`」が消え去った。

私は「恵`」と書き、指摘されたのだった。間違っているよ、と。
本当に相手こそが間違っていると思った私は「いやいや合ってるよ」と返した。
そんなやりとりが3回くらい繰り返され、結局「そんな漢字は存在しないってば」となぜか大爆笑されたことを覚えている。(それが男性だったか女性だったかも覚えていないのに、その人がツボに入ってしまいヒーヒー笑っていたことだけは覚えている。高校時代の男友達だったかも?記憶力自慢のくだりはどこへ)

簡単に受け入れられない私は当然調べた。でも「恵`」はどこにもない。
その後も思い出しては時々誰かに聞いてみた。
「恵って昔は`がついてたよね?」と。
今のところ共感してくれた人には出会えていない。

この話は、ずっと腑に落ちない出来事のひとつとして私の記憶に残っていた。
だけどパラレルワールドの動画を観て、ふと腑に落ちたのである。
そうか、私は途中で違う世界へ移行してたのか、と。

マンデラ効果(マンデラエフェクト)という言葉がある。
実際にはそうじゃないのに、南アフリカのマンデラ大統領が獄中死したという記憶を持つ人が多数いることから生まれた言葉だ。
そんなふうに、この次元の事実とは異なる記憶を不特定多数が共有している現象はマンデラ大統領の件以外にも度々存在する。
「恵」について検索したら、この知恵袋がヒットした。これは私と同じ現象なのか、はたまたただの思い違いや間違いなのか…

画像検索で「`」のついた「恵」の文字でヒットしたのはもう一つある。
以下のリンクの下の方にそれは出てくるのだが、2008年の記事だった。
情報化時代に、パソコン上で非漢字圏の国々に厄介者扱いされている漢字を変形させ「互換漢字」として通用しないかを模索しているような内容で(多分)、
日本が提案した互換漢字の例として「恵`」は登場し、「恵A」と名付けられている。

https://internet.watch.impress.co.jp/cda/jouyou/2008/07/29/20386.html

「恵A」がその後どうなったかは、ITの世界について何もわからない私には知る由もないのだが、今日までそれは一般化まではされていない。
だけどもしかしたら、未来の日本では”グローバルな情報化時代”により、いっそのこと「恵」は「恵`」に統一しましょう、なんて文科省が言っているかもしれない。ないかな。
だけど他にも調べてみると、戦前の人名には「恵`」が使われていた。
ただし、当時は全ての人が正確に漢字を書いていたわけじゃなかったので、同じ漢字でも「へん」や「部首」が変わっていることは珍しくなかったようだ。
それはそれでおおらかでいいと思う。

そういうわけで、私が習った「恵`」は、戦前には存在したし、未来にだって存在するかもしれない。
あるいはまた突然復活する可能性だってある。
「恵」と書いた時に「`が抜けてますよ」なんて指摘されて。
その時はまた、違うパラレルワールドへ移行したということになる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?