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宇和島市教育大綱 「はじめに」と「策定の趣旨」


「はじめに」

 私は、宇和島市の子どもたちをはじめ、ここに暮らすすべての方々に対して、
 ・「自分自身と生まれ育った地域のよさや可能性を認識して、自分と地域に“自信、誇り、愛着”を持てるようになってほしい。」
 ・「あらゆる他者を認め、尊重し、また対話や協働を通じた課題の解決や新しい価値の創造など、あらゆる可能性を探求してほしい。」
 ・「どのような変化が起こったとしても、ピンチをチャンスに変えるような発想により、自分の人生を切り拓いていけるようになってほしい。」
 これらを通じて、「一人一人のウェルビーイングと包摂的で持続可能な社会の創り手となってほしい。」と考えております。

 全国的に見て、少子高齢化に伴う問題が顕著となる「2040年問題」への取り組みが喫緊の課題とされているとおり、本市においても少子化や若者人口の流出による人口減少は進んでおり、その結果として地域コミュニティの希薄化や地域の衰退が危惧されています。
 一方、令和2年から続いたコロナ禍では、新たな生活様式の1つの形としてオンラインによるコミュニケーションやリモートワークなどの活用が加速化され、加えて令和4年末頃からのChatGPTに代表される生成AIの社会実装に向けた動向など、超スマート社会(Society5.0)の到来が身近に感じられる状況となってきました。この他、人生100年時代など、いずれも人類が経験したことのない
社会変化が進む中で、これまでの価値観・生き方・働き方の多様化などのパラダイムシフトによって、新しい「可能性」や「機会」も訪れようとしています。

 このような中、本市が目指している教育は、学校・家庭・地域のあらゆる世代と様々な分野の人々が協働して、自然、歴史・文化、伝統・風土、産業、レジャーなど宇和島ならではの地域の魅力と強みを維持・継承しつつ、未来の担い手の育成に関わることを通じて、大人たち自身も時代の変化に呼応して成長し、変容していくことのできる「共育」をALL宇和島で進めていくことです。

 また、このような「人づくり」を通じた「つながりづくり」が、災害をはじめとしたあらゆる地域の困りごとに対して、「自助」の意識を持って、「共助」の力を発揮できる、それを行政が「公助」として支援する、そのような地域共生社会として、誰一人取り残さない、持続可能で魅力的な「地域づくり」としても機能することを期待しています。

 今後も、市長部局と教育委員会との連携をより緊密にし、更には、NPOをはじめとする各種団体、民間事業者及び市民の皆様のご理解とご協力、ご意見をいただきながら、本市の教育行政の推進に努めていきます。

               令和6年4月1日
                       宇和島市長 岡原 文彰

「策定の趣旨」

私たちは現在、様々な観点で大きな変化に直面しています。

 グローバル化や気候変動などの地球環境問題、多発する自然災害、少子高齢化・人口減少、都市と地方の格差などの社会問題、超スマート社会(Society5.0)や人生100年時代の到来など、いずれも人類がかつて経験をしたことのない変化であり、こうした変化は地域社会にも大きな影響(ピンチとチャンス)をもたらすことが予測されます。
 特に令和5年に入ってChatGPTをはじめとした生成AIの急速な社会実装にともなって、人の役割は「問われて解く」ことから「自ら問う」ことに変わりつつあります。無関心から「問い」が生まれることはありません。現実の社会(ヒト・モノ・コト)と直接関わることから生まれる好奇心や主体性(当事者意識)の重要性が増すことになります。
 また、AIが本格的に実装された社会においては、デジタルで扱えるものの価値は相対的に下がり、デジタルで扱うことが比較的難しい「身体性を伴う五感(知覚)と喜怒哀楽の感情が統合された体験」の豊かさの意味と価値が高まると考えられます。

 そうした視座に立てば、実は、豊かな自然の恵みと地域社会や人との密接なつながり(ソーシャル・キャピタル(社会関係資本))がある地方においては、これからの私たちの教育への取り組み方次第でチャンスを創出できる可能性があります。
 また、地域との関わりや関心が薄い若者が地域を出ていくことは「流出」である一方、地域をよくしていこうとする当事者意識に基づく地域に対する自負心を持った若者が地域から飛び立っていくことは「輩出」と捉えることができます。
 若者に限らずこうした志ある人のネットワークが広がることは、共創型の関係人口の増加にもつながります。そのことによって、今後減少することが避けられない「定住人口」に「関係人口」も加えた、新しい時代のコミュニティ(ココロまじわうトコロ・宇和島)を共創することにもつながります。

 将来の予測が困難といわれる時代にあって、新しい時代の教育と地方創生の実現に向けて、一人一人の人生を豊かなものにするとともに、自分とは異なる世代や立場、異なる意見(経験、知識、技術、価値観)を持つ他者と、対話を通じて合意を形成し、協働して取り組んでいくためには、共有できる上位の理念と方針が必要となります。

 こうしたことから、令和2年4月、「一人一人のウェルビーイングと包摂的で持続可能な地域社会の共創を目指す、人づくり・つながりづくり・地域づくり」を基本理念(目指す教育の姿)とする宇和島市の教育大綱を策定しています。
 令和5年6月に閣議決定された国の第4期教育振興基本計画では、コンセプトとして「持続可能な社会の創り手の育成」及び「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が掲げられました。

 これらのことを踏まえて、宇和島市における教育政策の進むべき方向性を示す「羅針盤」となるべき宇和島市教育大綱をあらためて策定しました。

宇和島市教育大綱 - 宇和島市ホームページ


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