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文楽開演前に謎の儀式!?

ご無沙汰しています。
初春文楽も半ばを過ぎた頃ですが、みなさま文楽お好きですか?

江戸時代からつづく人形浄瑠璃•文楽。昔からつづく、ある儀式がいまも行われているんです。

それは、知る人ぞ知る「幕開き三番叟」です。

行われるのは、鑑賞教室をのぞいた本興行の第一部の公演時。開演の15分前ぐらいから始まります。

突如、デンデン!デンデンデンデン…と太鼓が鳴り、幕が開きます。

ワタクシ、初めて文楽に行ったとき、知らずに驚きました。トイレに行こうかなーと思ったら、幕が開いて「えー!時間まちがえた?はじまる!?」て思いました。

そして、お客さんも、幕開き三番叟に構わず、ウロウロしてたり、、、まあ、プログラム外のサービスみたいなものですしね。

さて、鳴物とともに幕が開くと、

浅葱幕という、空をイメージした青色の幕が一枚吊られていて、その前に、三番叟が立っています。


「幕開き三番叟」は舞台を清め、一日の公演の無事を祈るためのもので、東京の国立劇場(現在は建替中のため、別会場)、大阪の国立文楽劇場の文楽公演では、一日の興行のはじめに、若手の人形遣いによって上演されています。
儀式的要素の強い「幕開き三番叟」で使われる人形は、楽屋の神棚に祀られ、かしらも、特別なかしらで、恵比寿様の顔立ちで、耳も福耳といった、非常におめでたいものとなっています。
また、人形の扱いも二人遣いというのが特徴です。
ふつう、文楽人形は三人で遣いますが、この幕開き三番叟の人形は、かしらを操る主遣いと、人形の足を操る足遣いの二人で遣います。
主遣いが「おおさえ、おさえ。よろこびありやー」と寿ぎの言葉を発しながら、人形を遣います。
活躍するのが、足遣いで、後半の揉みの段、三味線が入ってにぎやかな部分では、人形の動きに合わせ、足遣いが激しい足拍子を踏むところが見どころでございます。この足拍子は、もともと田畑の地面を踏み固め、五穀豊穣を祈る動き。公演の無事、お客様のご多幸を願いながら、この「揉みの段」を踏みます。

ぜひ15分ほどお早く劇場にいらして、この幕開き三番叟をご覧ください!

ちなみに、第一部に三番叟物の演目がある場合、幕開き三番叟はありませんので、注意が必要です。

※この記事は別媒体のために作成した原稿を一部改めています。

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