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◆ 話のネタ ◆No.4『彼女へのプレゼント 視覚/嗅覚/味覚へアプローチ』

 40年以上前の話。 当時私は、大学生でやっと彼女ができ、付き合い始め初の彼女の誕生日、気合を入れて何をプレゼントすべきか一生懸命考えました。
 
 私は、毎朝、親友の1歳年上の彼女と列車が一緒で50分、いろいろ話ながら、大学に通っていました。当時、親友の彼女S子さんは、社会人でした。
 
 S子さん曰く、「私の友達に、ある男性から何度も付き合って欲しいと言われている娘がいるんだけど、1度だけあるプレゼントをもらった時に、一瞬、この人と付き合ってもいいかな?と思ったことがあったと言ってた!」 「えっ、それは、何、何、何?」 「結局、付き合わなかったけど、23歳の誕生日に、23本の真紅のバラの花束を貰った時、一瞬、迷ったって・・・」
 
 私は、彼女に、『視覚、嗅覚、味覚』を満足させる最高のプレゼントをしようと考えました。
視覚は、23歳になるので、23本の真っ赤なバラの花束、嗅覚は、シャネルの5番(今、考えるとなんとババ臭いプレゼントか・・・)、味覚は、地元で一番人気のバースディケーキ。
 
 しかし、バラの花束を渡すのは、恥ずかしすぎて渡せない、そこで、当時、愛読してた雑誌、HOT DOGに、『バラの花束は、箱詰めにして、さり気なくプレゼント!』と出ていたので、「これじゃ!!」と思い、花屋さんに、「23本の真っ赤なバラを箱詰めにして欲しい」とお願いすると、「バラをプレゼントするのに使うような箱はありません!!」と断られました。

 また、彼女の誕生日が、2月下旬であった為に、地元(人口20万人)の花屋さんでは、「2月に真っ赤なバラは、23本もそろいません、ピンクならそろいますが・・・・」 「え~っ、 それじゃ、ピンクで結構ですので、23本の花束を作って下さい」 
 
バラは季節と色により値段が大きく変わり、5月が一番安く、2月が一番高いとのことだった。 当時、2月の真紅のバラは、1本500円だったが、ピンクは、300円でした。
 
 誕生日は、マイカーの中古のセリカで、彼女をデートに誘い、都会(人口100万人)に出て、2人で遊んで、途中、香水、夕方、ケーキをプレゼントし晩、暗くなって地元に戻り、ガソリンスタンドで給油しました。 
 
そのスタンドで、私の弟がバイトしており、給油が完了しおつりを持って来てもらうのを、セリカに乗って、2人で待っていました。 弟が、おつりを持ってきた時、後ろ手に持っていた“23本のピンクのバラの花束+カスミ草”を「ハピーバースディー、K子」と言って差し出した。 助手席の彼女は、飛び上がって喜びました。
 
 バラの花束を、後部座席に放り込み、彼女の家まで、送っていきました。 23本のバラの花束とカスミ草は、直径30cmもの大きさになり、セリカと2人は、バラの香りに包まれました。
 
 そして、3年後、私は、K子さんと結婚しました。
 
 毎年、3回ほど妻の実家に行くのですが、結婚して20年経った頃、妻の実家の応接で、ふと天井を見ると、角っ子に色あせた植物が逆さまにつるしてあるのに、気づきました。 『あれ何?』 と思って近寄ってみると、古くなったドライフラワーのバラでした。

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