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映画の記録#01「アリスとテレスのまぼろし工場」


アリスとテレスのまぼろし工場
監督・脚本:岡田麿里

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」や「心が叫びたかってるんだ。」の脚本で知られる岡田麿里さんが監督・脚本を担当した本作。
物語の展開はもちろん、映像、音楽も素晴らしい作品だった。


きのうと今日、今日と明日で変わらない人間はいない。何かしらの変化をしてしまう。それは成長かもしれないし、後退かもしれない。少なくとも、変わらないことは選べない。

この作品は、そんな「変わらない」という不可能なことを、人間たちに押し付ける物語だった。この街に住む彼らは、「変わるな」という抑圧に耐え忍んでいる。しかし、「変われない」ことに諦観しているようで、どこかで「生きる」ことにしがみついていた。

「生きる」ことは「変わる」ことであり、「死ぬ」ことは「変わらない」ことではないか。
「変わること」=「死」、「変わらないこと」=「生」という、生と死が逆転してしまった街で、「変わること」=「生」を選ぼうとする姿に感動した。

また、現実世界の政宗と睦実の、生きているのにも関わらず、子どもを失ったことから時間が止まってしまったように変われない(或いは進めない)姿と、まぼろしの街との相似がとても素晴らしかった。

現実世界の彼らも、まぼろしの街の彼らも、「変わること」=「生」に進んでいく希望ある結末に心を打たれた。

中島みゆきさんが手がけた主題歌「心音」の「未来へ 未来へ 未来へ」の力強さには本当に圧倒された。作品に寄り添い、また背中を押してくれる楽曲であるように思う。

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