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映画の記録#04「月」

「月」https://www.tsuki-cinema.com 観た人を重たく沈み込ませるような作品。 実際にあった障害者殺人事件(相模原障害者施設殺傷事件)を基にしている。映画全編通して、「あなたも当事者だよ」と訴えかけられている感覚を持った。「今、あなたもこう思ったよね?」「善意を押し出して見ないふりしてるよね?」「自分には関係ないと思っているよね?」と、自分はどうすれば良いのか、と途方に暮れた。 「人とは何か」 心を持っていなければ、人ではないのだろうか。心を持って

    • 映画の記録#03「ミステリと言う勿れ」

      最新の映画の興行ランキングで首位に耀く「ミステリと言う勿れ」。原作・ドラマの人気から、この映画の「成功」は当然のことだったのかもしれない。 原作でも人気が高いと言われている「広島編」。本エピソードも、伏線を至る所に忍ばせ、鮮やかに回収するミステリとしての面白さや登場人物たちの関わりによって生まれるユーモアの楽しさが素晴らしい。そして、何より菅田将暉演じる主人公、久能整の細やかな視点と思考の面白さが際立っている。 柴咲コウ演じる赤峰ゆらが「女」という価値観を押し付けられる場

      • 映画の記録#02「リリイ・シュシュのすべて」

        「リリイ・シュシュのすべて」 監督・脚本:岩井俊ニ 近日公開される「キリエのうた」の監督、岩井俊二さんの2001年に公開された映画。息苦しさを覚える高校生の姿が描かれる。 YouTubeでは10月6日から12日まで、「キリエのうた」の公開を記念して、「リリイ・シュシュのすべて」が無料公開されているようなので、興味のある方はぜひ。 この作品のテーマは「絶対性の崩壊」ではないか、と思った。 人間関係も、豊かな緑も、もちろん人の命も、「絶対」はない。続いて欲しいと思っても、ある

        • 映画の記録#01「アリスとテレスのまぼろし工場」

          「アリスとテレスのまぼろし工場」 監督・脚本:岡田麿里 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」や「心が叫びたかってるんだ。」の脚本で知られる岡田麿里さんが監督・脚本を担当した本作。 物語の展開はもちろん、映像、音楽も素晴らしい作品だった。 きのうと今日、今日と明日で変わらない人間はいない。何かしらの変化をしてしまう。それは成長かもしれないし、後退かもしれない。少なくとも、変わらないことは選べない。 この作品は、そんな「変わらない」という不可能なことを、人間たちに押

        映画の記録#04「月」