『ザフライ』(1986)

数多くの名作を生み出した、デヴィッド・クローネンバーグ監督作品。
代表作には「ヴィデオドローム」など。

ノーベル賞受賞候補でもあった、天才科学者セスブランドルは物質をテレポートできる「テレポッッド」を開発した。
セスはパーティで会った記者のヴェロニカに一目惚れをして、自宅でもある研究室に招きこの研究結果を話してしまう。
ヴェロニカは早速記事にしようと考え、編集長に話をするがマジックの類いだと言い信じなかった。セスはヴェロニカに対して、記事にしないかわりに密着取材をして本を出せばいいと提案して、この日を境にヴェロニカはセスの研究に密着する。
しかし、この「テレポッッド」は未完成で生物のテレポートには失敗していた。
研究が上手くいかず途方に暮れるセスとヴェロニカは次第に惹かれ合い恋人関係となる。
そんなある日、ついに生物のテレポートに成功する。次は自分の身体で試そうとセス自ら「テレポッッド」に入りテレポートを試みた。結果は成功であったが、テレポートする際1匹のハエが入り込み、なんとセスとハエは遺伝子レベルで結合してしまったのだ。
次第に人間ではなくなっていき、昆虫人間へと姿を変えていく。
果たして彼は人間へと戻ることはできるのか......。

この映画もサブスクには無くて気になっていたのでDVDで購入。
1958年の『ハエ男の恐怖』のリメイク作品だそうだが、人間の体にハエの頭といった化け物になるのとは対照的で、本作は結合された時はあくまでも普通の人間で、時間が経つ度に徐々に人間でなくなっていく様を描いている。

さらに恋愛も絡んでいて、かつて愛した人が化け物へと変わっていく中、それを愛する者と傷つけてしまうのが怖くて遠ざけようとする者のとてもやりきれない展開には度肝を抜かれるし、
なんと言っても、人間でなくなっていく過程を描いたシーンは、おそらく今まで見たホラー、SF映画でも類を見ないグロさと絶望感である。

最後のシーンで全体の皮膚が剥がれ落ち、その正体を表すシーンは思わず目を背けてしまいそうになるぐらいやばかった。

とにかく、セスに感情移入してしまって自分がこうなったら間違いなくショットガンで頭を打◯ぬくだろうと思った。
映画としての出来は最高で、SFXも「グレムリン」などの制作スタッフが携わっているだけすごい出来だ。
ただ、見るにはかなり覚悟のいる作品なので注意を。『ザフライ2』も早く見たいなぁ。