風の吹くまま、気の向くままに 3 (伊藤左千夫『野菊の墓』から)
歌人でもあり小説家でもある伊藤左千夫の処女作『野菊の墓』を読んだことがあります。この小説は、十五歳の少年、斎藤政夫と十七歳の従姉、戸村民子の幼い二人の淡く悲しい、そして美しい恋物語ですが、大人たちの無理解により悲恋に終わります。
作者の伊藤左千夫は、1864年(元治元)の生まれで、1913年(大正2)49歳
で亡くなりました。私たちが生まれてもいない、はるかな昔の物語です。それでも時代を超えて胸に迫ってくるものがあります。それはなぜでしょうか。
その時代の価値観があります