つながる ~臓器移植~

「生老病死」という言葉を掲げて活動しています。より一層、社会全体の死生観が醸成するよう…

つながる ~臓器移植~

「生老病死」という言葉を掲げて活動しています。より一層、社会全体の死生観が醸成するように、みなで一緒にいのちについて考え、発信していきませんか?

最近の記事

祈りの涙

       こんな経験をしました。 骨髄移植のドナーになりました。 涙とはどんな時に流れるものでしょう? 今までは、悲しいとき、嬉しいときでした。 しかし、この骨髄移植を体験して、初めての涙に出会いました。           「祈りの涙」    です。 手術室から病室に戻る間のことです。 全身麻酔から完全に醒めきらずに意識が朦朧とする中、   「患者さんに 届け・届け・届けっ!!」と心の中で祈っていたら、 自然と涙が出てくるのです。 病室に戻るとそこには妻がいて、

    • 無題 ~臓器移植~

       メディアアーティストの落合陽一氏が、「質量のある自然」と「質量のない自然」と表現していたことをふと思い出しました。  現代は情報化社会といわれています。それらの多くの情報は、どれだけ意味のあるものなのでしょうか。それらの情報には質量のないものが多く存在していると(=あくまでも他人事)思います。如何に、多くの情報を取捨選択し、質量のある情報(=我が事・社会事)にするかどうかは一般市民の見方・考え方・思考力・表現力にかかっていると思われます。  過去24回投稿してきましたが、臓

      • 見えてきたこと ~臓器移植~

         2000年から『生老病死』~臓器移植~をテーマに掲げ、死生観について12歳~78歳の方々(約13,000名)と一緒に考えています。     そこで、見えてきたことがあります。こんな「いのちの数式」です。               20+40+20            日本の平均寿命から考えると、多くの方が約80歳まで生きます。 どういうことかと申し上げますと、まず20年は社会に支えられて生きていきます。次の40年は社会を支えて生きていきます。さいごの20年はまた社会に支

        • 死を見つめる~臓器移植~

           日本では、以前から家庭でも教育現場でも「死」の話題に蓋をする傾向がありました。ヒトは100%死にます。オギャーと生まれてから、1秒1秒死に向かっています。単なるその長さが異なるだけです。なぜ100%のことについてしっかり話し合わないのでしょうか?  厚生労働省はやっとこのことについて発信し始めてきています。主に、 ACP=「人生会議」です。それは、蓋をせずにもしものときのために、家族や自分が望む医療やケア、終末期等について前もって考えるということです。家族や医療従事者と繰

          臓器移植を知るって・・・②

           前回に引き続き、臓器移植から学べる機能・役割をお伝えします。   『拒絶反応』・・前回お伝えしたあのありがたい『免疫』が、移植され           た臓器も異物とみなし、攻撃・排除してしまいます。            あの免疫の役割は全身の40兆の細胞がすべて自分のも           のかどうかを確認しているからです。ドナーから引き           継いだ臓器を細菌やウイルスと同じように応対してし             まいます。            そ

          臓器移植を知るって・・・②

          臓器移植を知るって・・・①

           臓器移植を知ることで、自らの身体について改めて多くことを学ぶことができます。身体の機能や役割を再認識することで、自分を大切に、そして他人も大切にできる気がします。 今回はこの2つの機能・役割をお伝えします。   『免疫』・・・ありがたい仕組みです。365日24時間フル稼働してくれ          ています。簡単に申し上げると、主に白血球は身体は外          から侵入してきた異物(ウィルスや細菌)に対し、攻          撃・排除しようとしてくれます。これが『

          臓器移植を知るって・・・①

          法的脳死判定~臓器移植~

           脳死を判定するにあたり、日本は世界各国と比べて(歴史的に見て、いくつかの要因があります)非常に厳しい基準の法律といわれています。計2回行います。内容は以下の通りです。         [1]深昏睡         [2]両側瞳孔径4㎜以上、瞳孔固定         [3]脳幹反射の消失         [4]平坦脳波         [5]自発呼吸の消失 *第1回目の脳死判定が終了した時点から6時間以上を経過した時点で、  第2回目の脳死判定を開始します。  (12週~6歳

          法的脳死判定~臓器移植~

          植物状態と脳死の違い~臓器移植~

          色々と質問が寄せられます。その中で、一番多い質問だと思います。       「植物状態と脳死は何が違うのですか?」  植物状態の方と脳死かもしれない方が二人横たわっているとしましょう。この二人は外見ただけでは見分けはつきません。しかし医学的には大きく異なります。  もし、植物状態の方から臓器を提供したら、その医師は殺人罪です。しかし、提供の意思があり、法的に脳死と判断された方から臓器を提供したら、問題はありません。  簡単に申し上げると、「脳幹」がポイントです。  「脳幹

          植物状態と脳死の違い~臓器移植~

          頼もしい小学生~臓器移植~

           先日、小学6年生の児童たちと一緒に、臓器移植について考える機会がありました。歴史を紹介し、システムや問題点を提示し、いのちの大切さ、事前に家族と意思を確認する大切さについて深めていました。  後日、感想や質問が届きました。その中に、           「臓器を運ぶ際、慌てずに済むように、将来、           私は臓器保存用の特別な液体を開発する!」  という意見がありました。  講義中の、「心臓は2時間で運び、2時間で手術しなければいけません。もし、日本の端と端で

          頼もしい小学生~臓器移植~

          スゴイ!! ある表現 ~臓器移植~

            先日、こんな感想をいただきました。 「本日の『臓器移植~生老病死~』の話を聴いて、命とはなんだろう?と改めて考えました。そして、勝手に漢字でこんな言葉を作ってみました。    命を使うから「使命」、    命を運ぶから「運命」、    命を救うから「救命」、    臓器提供→    命を渡すから「渡命」、   ドナーからレシピエントに    命は続くから「続命」、・・・・・」 とのことです。ありがとうございます!!

          スゴイ!! ある表現 ~臓器移植~

          時代の移り変わり~臓器移植~

           2000年、初めて『「臓器移植」~生老病死~』と題して臓器移植をテーマにして、約3ヵ月間、約200名の高校生たちに”生きること・死ぬ”ことについて考えてもらう機会がありました。その際、周囲から否定的な厳しいご意見があり、これが4年も続きました。  めげずに毎年そのような機会を設けていると、2007年前後からある変化を感じるようになってきました。それは否定的な意見がなくなり、肯定的な意見のみになったのです。  生徒たちや保護者から、 「移植医療についてもっと広めるべき」 「ド

          時代の移り変わり~臓器移植~

          生老病死~臓器移植~

           私は、この言葉をテーマに掲げて活動しています。  「生老病死」・・・避けることのできないこの世での人間の4種の苦悩。      生まれること、老いること、病気をすること、死ぬこと。四苦。                           (デジタル大辞泉 より)  どれか1つではなくて、4つを考えるのです。バランスよく全てを考えると、見えてくるものがあります。  オギャーと生まれ、生きていきます。一秒一秒老いています。少なくとも一度は病気を経験します。そして、誰もが1

          生老病死~臓器移植~

          臓器移植についての活動から~「いのち」という表現~

                   「命の教育」 < 「いのちの教育」  なぜ「いのち」なのですか?と何度も何度も尋ねられます。    漢字の「命」には、”神から与えられた” とか ”生まれて死ぬまでの流れ(一つのサイクル)” という由来・意味があるそうです。  神から与えられた訳でもなく、一つのサイクルという訳ではなく、                 ”つながる”    という気持ちを込めていますので、漢字ではなく、あえて               「いのち」としています。  こんなこだ

          臓器移植についての活動から~「いのち」という表現~

          数え方・いのち~臓器移植の話題を通じて~

           長さの単位は?重さの単位は? 数字で表現をするときに、それぞれ適した単位を使用します。  では、人間は?・・・・ 「人」ですね。1人、・・・10人、・・・・・・・1,000人と数えます。  臓器移植の話題を通じ、死生観について考えていると、こんな考えにたどり着きました。  それは・・・・・「いのち」です。 1 いのち、・・・10 いのち、・・・・・・・1,000 いのち、です。  一般的には「人」です。「人」を「いのち」と表現して数えると、見方・考え方が変わってきません

          数え方・いのち~臓器移植の話題を通じて~

          計算上では・・・~臓器移植~

           厚生労働省によると、2022年に亡くなった方は約158万人とのことです。ということは、1日に亡くなる方は約4,328人です。  そのうち、一般的に1%は脳死と言われています。つまり、・・・・・・1日の脳死者数は 約43人 ということになります。  しかし、日本は意思表示をしている方が他国に比べて少ない現状です。なかなか提供→移植につながりません・・・。もし、多くの方が意思表示していたら、臓器提供・移植の件数はどのようになっているのでしょうか?  移植を希望している方の数と1

          計算上では・・・~臓器移植~

          1人のドナーから最大何人に?~臓器移植~

           臓器移植法が1997年10月16日に施行され、1例目は1999年2月(高知県)に実施されました。その後、2010年に改正され、2023年10月26日で1000例目となりました。  その臓器移植ですが、1人のドナー(臓器提供者)が救えるレシピエント(移植希望者)は最大何人だと思いますか?  答えは・・・・・                  11人です。   その内訳は、 ①心臓 ②肝臓 ③肝臓(分割が可能) ④腎臓  ⑤腎臓  ⑥膵臓 ⑦小腸 ⑧肺 ⑨肺 ⑩眼球 ⑪眼球 

          1人のドナーから最大何人に?~臓器移植~