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捕カルト、脱カルト 3話、〜神の奇跡EP1〜

上新庄に引っ越してから最初の1年間くらいは2ヶ月に1回くらい西淡路の時知り合った教会のクリスチャン達が僕の家に訪ねて来てくれていた。食べるのに困ってないかとか金銭的にやれているかとか心配してくれた。

よく訪ねて来てくれたのはイサクさん、ひろしさん、南里さんだったけど、ミュージシャンをやってた事もあり南里さんが1番僕とは心が通いあって仲良くなれた。その時南里さんは25歳か26歳で僕には少し歳の離れた兄ちゃんみたいな存在だった。南里さんは教会の賛美チームのバンドでベースをやっていた。

少し脱線する。
僕は19歳の時出会ったZIGGYというバンドにハマっていて、彼らのCDを片っ端から集めていってた。しかしZIGGYが一度改名して【SNAKE HIP SHAKES】というバンドになった時ベーシストが新しく加入していた。
南里さんがきた時「ZIGGYが改名してベーシストで津谷さんっていう広島県出身の人が入ったんですよ」と話をしてたら、南里さんは少し言葉が出てこなくなり驚いたような顔をした。そして南里さんが
「それ、もしかして僕の知っとる人じゃないかな。」
と言った。というのは、南里さんは広島県に住んでいた子供の頃、近所によく遊んでくれるベーシストの兄ちゃんがいたらしいのだが、その人の影響でベースを始めたというのだ。
「ジャケットとか見せたらその人かどうか分かります?」
というと
「頻繁に遊んでくれてたから分かると思うよ」
というのでCDジャケットを見せた。すると
「こん人じゃ!!」
と南里さんが叫んだ。ライブDVDを見せて確認してもやはりその人が南里さんが子供の頃よく遊んでもらっていた津谷正人さんその人だったのだ。
僕の知り合いにプロミュージシャンの知り合いがいる事にびっくりした。

話を戻そうかな。
上新庄に来てからは結構距離が遠くなった事もあり、西淡路に住んでた頃行っていたその教会にはどんどん行かなくなっていった。

そして上新庄と大阪に少しずつなれていった頃、クリスチャン達はもう来なくなっていた。多分僕が遠ざけるようにしてたんだと思う。
人の心って本当に複雑で、嫌われたくないし嫌いたくもない。傷つきたくないし傷つけたくもないとは思いつつもそれを相手にはやってしまう。それが人間で、当時の僕はなんの躊躇もなく人を傷つけていた。
クリスチャン達が僕の家に訪ねてこなくなったのは誰かを傷つけたとかではなかったのかもしれないけど、多分時間をとってきてくれるのは嬉しいけどいつも何も話すこともなくやや気まずい空気が流れその時間が過ぎるというのが苦痛だったんだと思う。とは言え何ヶ月に一回とか、気まぐれでその教会の日曜礼拝に行くこともあった。

「神様っているのかな?本当にいたらいいな。姿形は見えないけど、本当にいるならいるで何かそのしるしを分かりやすく見たいな」
そう何度も思ってた。

クリスチャン達が僕の家に来ると、必ずやるのが、来た時と帰る時にお祈りをする事。内容は来てくれるクリスチャンによって様々だったけど、いつも僕の為に祈ってくれていた。食べ物や金銭の事、僕も僕の家族もイエス様を受け入れて救われるように。仕事が見つかってその職場でうまくやれるようにとか。

ある時イサクさんが教会の礼拝の後に僕に言ってくれた。
「今度神様に向けて曲作ってみてよ。で曲を作る時も神様に祈って作り始めるといい曲が出来るよ」
と。全くバカバカしいような話ではあるけど、若くて好奇心もあるし金もかからずいい曲が出来るならやってみない方がバカだなとも思った。
この頃からいつも新しい事にチャレンジする時僕は心の中で
「一回やってみて自分にハマらなければ2回目やらなきゃいいだけだし。一回目をやって損する事って何もないし」
この精神で動いている。

イサクさんによれば、
「神様、これから曲を作ります。格好いい曲ができるように祝福してください。イエス様の名前でお祈りします。アーメン」
これを言ってから作り始めてるといい曲が出来るのだとか。
僕はそれを実行した。しかしなんとも恥ずかしい事だった。六畳一間の部屋には僕一人しかいない。そこで目を閉じて何もない空中に向かって独り言を言うわけだ。祈り終わった後に、「こんな事でいい曲が出来るなら苦労するか」という思いと、「これでいい曲できたら神様いるのかもしれないなぁ」という思いが入り乱れてワクワクもしていた。

僕はそれからアコースティックギターを持って、神様に向けての作詞作曲を初めてスタートした。
1時間も経たない内にほぼ出来上がってしまったのだが、それまでに自分が作ってきた曲とは違っていてなんか構成が特殊で驚いた。しかも格好いい。インパクトもあるように思う。
「奇跡だ!奇跡が起きた!!神様って本当にいるのかもしれない!」
これがその時の自分の感想だ。事実この曲はクリスチャン達に聞かせても色んな人に聞かせてもキャッチーで覚えやすいとよく言われた。

今振り返ると、初めて自分の中で神の奇跡をモロに体験したその1発目の出来事だった。
タイトルは、【神様とハレルヤ】に決定した。

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