離婚のこと#02 カサンドラ
私は鬱病を発症して、元彼に暴力を振るわれPTSDを患った。
目覚めると彼との関係が戻らない現実に絶望し、毎朝ベッドで号泣した。考えがまとまらないまま、一番好きな人と結婚できないなら「一番私を好きと言ってくれる人」と居ようと、結婚生活を開始した。
しかし結婚生活は噛み合わなかった。
夫と摩擦が起こり互いに譲らない。
糸口を探して図書館によく行った。
そして、発達障害の棚にたまたま足が止まった。
もしかして、私は発達障害が原因で、二次障害として鬱が現れているのでは?
と夢中で読み漁った。
月一の臨床心理士のカウンセリングで、「私は発達障害では?」と相談したが、
「その兆候は見られませんよ」とのこと。
そうなのか。
でも、発達障害が気になって気になって、書籍や当事者ブログを読みまくった。
そして、ある時に気がついた。
多分、発達障害の傾向があるのは夫なのだ。
携帯も家の鍵もなくす。家族写真のたっぷり入ったビデオもなくす。忘れ物が異常に多い。→警察に届け出るのはなぜか私。
台風の日。近隣の川が氾濫するか瀬戸際で、警報出たらどこに避難するか…と考えて息子と室内で避難バッグを握ってるなか、爆睡。根拠のない「大丈夫、そのとき考えよう」との言葉を残して。翌朝テレビ見たら武蔵小杉のタワマンが水没してたよ。
入籍後専業主婦を数ヶ月してた時期に、家事の分担など文句を言ったら「じゃあ同じ時間働いて同じ金額稼いでよ!僕は明日会社をやめてくる!」と激怒。
たくさんあるけど、思い出すと悲しいからやめておく…
じゃあ、話し合いや理解が上手くいくコツや接し方は?発達障害の夫がいる妻のエッセイマンガや本をかなりたくさん読んだと思う。
・指示は簡潔に。
・忙しい時を避ける。
・感情的に怒らない。怒ってしまいそうな時は時間を置いてから。
・相手にこだわりがあることを認める。
・行動を細かく褒める。
発達障害の人への接し方スキルはかなり上がっただろうけど、共同生活で喧嘩や言い争いは絶えなかった。
なぜ私はこんなに物分かりの良い大人の役をしなくてはいけないのか。
孤独感がつのった。
発達障害だろうと思われる配偶者が、なぜこんなに優先されるべきとの書籍しかないのだろう。
子どもは2歳になっていた。
子守りを母にお願いして、私はひとりカサンドラの会というものに参加してみた。
参加者は、発達障害の夫を持ち孤立感を感じる女性たち。
グループミーティングでは、驚くほど他の女性の話すことに共感できた。
でも、こうやってガス抜きしながら自分を曲げて相手に沿わせていくしかないのかしらー…むなしい。
私は隣の70代の女性に思い切って聞いた。
「旦那さんは何十年かして変わりましたか。」
彼女は少し遠い目で、
「彼は何も変わらなかったわよ。」
と。
発達障害の傾向がある夫だから切り離す妻。
そんな薄情なラベリングをされたくなくて、気持ちが揺らいでいたが、その言葉で腹が決まったと思う。
お互い変わるようには努力した。
これ以上はお互いが壊れてしまう。
だからもう歩み寄りはここで終わりにしましょうと。
ここから離婚への準備が始まった。