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ep.4 思い出の匂い

やっほー、思い出の匂い、ありますか?どんな匂いですか?

小さい頃夏場に使っていたブランケットの匂いとか、一緒に寝ていた母のパジャマの匂いとか、いくつかあるんですが、私がその中でも特に好きなのが「叔父さんと庭で花火をして、部屋に戻った時の匂い」です。

まああの、外での喫煙後、部屋に戻って一発目に吸い込む匂いです。

小さい頃の思い出なのに喫煙絡み!?と思うでしょうから、順を追って説明します。

まず私の母方の家は、兄、母、弟という兄弟構成です。そしてもれなく全員大酒飲みの喫煙者でした。というのも、母は私が生まれる前に煙草を止めているので今はただの大酒飲みです。


実家にはミュシャのポスターのレプリカがあって、そこには煙草を吸う女性が描かれています。一生喫煙者でいるという決意のもと、母が大学生時代に買ったらしいです。友達に「誕生日プレゼント何がいい?」と聞かれたら必ず「煙草」と答えるくらい好きで、バカスカ吸っていた様ですが、子供ができると分かった時点で自然に止めたと言っていました。それからは1本も吸っていません。

一方で叔父は私が小さい頃も煙草を吸っていました。今はどうか分かりません。伯父の方も吸っていたと思います。

ここで、叔父と私の関わりについて話そうと思います。

私は生まれてから高校2年生くらいまで、春休み、お盆休み、夏休み、冬休み等、休みと名の付く期間は母方の祖父母の家に帰省していました。
叔父とはその帰省の時に会っていました。夏休みが多かったと思います。

叔父は頭が良く、細いのによく食べよく飲み、たくさん遊んでくれました。祖父母の家はすぐそこに海があるので、海によく連れて行ってもらっていました。本が好きな人なので本を読んでいることも多かったです。

細長くて眼鏡をかけていて本が好きな人を見ると叔父を思い出して嬉しくなるくらいには、叔父のことが好きです。

そんな叔父は喫煙者だったのですが、室内で吸えないのでいつも外で吸っていました。どこで吸ってたんですかね。1回くらい追いかけて行ってみれば良かったな~。

まあしかし、花火の時は別でした。大抵、中庭か家の前の庭でやるので、その時は煙草を吸うのが許されていました。

ひとりで遊ぶのはつまらない私が、一緒にやってとせがめば一旦煙草は消して遊んでくれました。そしてその間、祖父はずっと写真を撮っていたし、祖母と母はスイカの準備などをしてくれていました。めちゃくちゃ最高の夏休みですね。

ひとりで花火セットを全て遊びつくすなんて、とんでもない贅沢だったと今では思います。帰省していない時に幼馴染たちと花火をすることもあったのですが、あの時の花火への執着のなさはここから来ているのかもしれません。まじで何でも良かった。花火の種類より、大勢で、いやたった4人なんですけどね、友達と分け合って花火をする楽しさがあって良かったんでしょうね。

ひとりっ子ってさみし~!!!

やや話がそれましたが、そんなこんなで遊びつくして「さあ、スイカを食べよう」と部屋に戻る時、その匂いが好きなんです。さっきまでは煙たい匂いに包まれていたからか、部屋に入って一発目に吸い込む空気は甘くて優しい匂いがします。この匂いは1回きりなので、思いっきり吸い込んだ方がいいです。

これが私の思い出の匂いです。

次に、この匂いを思い出した話をしようと思います。

最初に私は「外での喫煙後、部屋に戻って一発目に吸い込む匂い」と言いました。つまり、時を経て私は喫煙者になったというわけです。
銘柄は金のマルボロです。
なんでかというと、叔父が吸っていたのがマルボロだったからです。

やばすぎるかも。お願いだから気持ち悪がらないでください、本当に。

叔父の銘柄は母に聞いて知りました。今までに、匂いが平気な煙草と嫌だと感じる煙草があるのは分かっていたので、さりげなく母に聞いてみました。

いや、さりげなくなのもガチすぎてやばい。

マルボロのどの銘柄かは分からなかったものの、調べたところ金が女性に人気?吸いやすい?とサイトに書かれていました。それでとりあえず買って吸ってみたら好きだった、という感じです。

吸い始めたのは大学3年生の時です。煙草を吸わずに人生終えていいのか、後悔するに違いないと元々思ってはいました。だってほら、チバユウスケとか、めちゃくちゃかっこいいじゃないですか…。

普通に憧れだけで始められていたらかっこよかったんですが、実際はダサい理由です。精神を病んで始めました。良くないね。

私は大学3年生の春時点で大学院に進学することを決めていました。9月後半に行われる秋の前期入試を受けるために、5月頃から勉強を始めました。そして8・9・10月は卒論のためのデータ集めも同時並行で行っていました。

ここで激烈に病みます。

シンプルにやることが多かったのと、友達が就活をしていたのが大きかったです。みんなは働くために進んでいるのに、私はこのまま大学に残っていいのかとか、受験者が多いと聞いていたのでそもそも受かるのかとか、考え出したらキリがなかったです。この時期は常に涙垂れ流しの限界状態で勉強していました。

普段は趣味のFPSゲームをしたり、歌ったりしてストレスを解消しているのですが、この時ばかりはダメでした。FPSゲームはやっている時に「なんでこんなことしてるんだろう、この時間に勉強しなければ」とか考えて、楽しめないのでダメでした。歌うのも、「歌えるほど陽気な気分じゃないだろ」とか考えてしまって、そんな気にはなれませんでした。

そして今までの解消法じゃダメだ!と思い、やったことないことを探してみたところ、喫煙に辿り着きました。まあ元々興味はあったのでね...。

初めて吸って部屋に戻った時、すごく感動したのを覚えています。すごく懐かしくて落ち着いたし、あの匂いってこういう条件下の匂いだったんだ!?と衝撃でした。

それからは、夕食後にベランダで数本吸い、お風呂に入って寝るというルーティーンができました。このルーティーンを作ったことで、さっさとお風呂に入って夜更かしせずに寝られるようになりました。健康なんだか不健康なんだか。

今はこのルーティーンはないので、吸いたいなと思った日に吸いたい分だけ吸っています。そのせいでまた夜更かししています。ルーティーンって大事。

いつやめるか、という問題なのですが、今の恋人と同棲することになったらですかね...。
あの、喫煙者だって、言ってないんですよね…。

相手は電子タバコを吸ってるんですが、どうやら自分の恋人には煙草を吸ってほしくないらしいです。なんでだよ。

以前、恋人が煙草を吸っていたらという話題になった時、「自分もやめるのでやめてくれって言うかなぁ」と言っていました。なんだその喧嘩両成敗みたいなの、そういうことじゃない。

多分バレてないのはなんでかというと、私は夕食後、お風呂前にしか吸わない上に、相手が家に来ていたり相手の家に行っていたりする時には吸わないからです。でもスマホカバーとか嗅いだらやや匂いがするので、もしかしたら普通にバレてるのかな。

隠していて申し訳ない気持ちもありますが、墓場まで持っていく覚悟はできているので、同棲までは喫煙ライフを楽しもうと思います。

終わり


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