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多事業経営者が語る、経営を軌道にのせる「歴史」と「自然」からの学び|深掘りニスト

このnoteは、中小企業の社長さんに仕事への想いや仕事を始めたルーツを深掘りインタビューするnoteです。

|概要

海上輸送会社、不動産、飲食店、コンサルティング会社など多様な事業を展開する深野鎌造さん。自身の事業だけではなく、今年9月からは経営者コミュニティの会長も務めています。次々に新しい取り組みを実行してコミュニティも活気に溢れているとか。これだけ幅広く活動しながらもお客様のため、コミュニティメンバーのため、と活力に満ち行動できるその原動力は何なのか?本日はその哲学を深掘りしました。

|固定概念に囚われずに行動する

歴史から学ぶ大切さ

ーーー事業経営だけではなく、最近は経営者コミュニティの会長も務め、ますますご活躍の様子が伺えます。単刀直入ですが、その原動力になっていることをお聞かせください。

深野氏:哲学や日本の歴史から本質を学び続けていることです。日本の成り立ちや日本の価値観について歴史を通して紐解いてみると、現代を生きる私たちが無意識に持っている固定概念に気づくことができます。例えば、今の日本では失敗は悪いこととして避ける傾向がありますよね。テストもそうです。間違ったらいけない、とか。でも、昔からある陰陽で考えると、光と影とか表裏とか温冷とか、自然界は全て2つの面でセットになっていてどちらもあるから良いわけです。だから、成功と失敗、どちらがあってもいい。失敗は挑戦したということですから、それだけ成長がある。だから、失敗は悪いことではなくて失敗だってOKなんです。こうやって、歴史や哲学、日本にずっとあるような考え方を振り返ると、現代の固定概念に気づき、そこに囚われずに行動できるようになってきます。
 
ーーー今の日本だと、失敗してはいけないという考え方は確かに根付いていると思います。だから、挑戦する時にも“失敗したらどうしよう”が足枷になる。
 
深野氏:そうですよね。寺子屋があった時代は、良いも悪いもあって良いという教えでした。人にも長所と短所がありますよね。短所を克服しないといけない、と考える方がいるかもしれませんが、短所は短所で良いのです。自分の短所は誰かの長所。自分の長所は誰かの短所なわけで。そのデコボコが合わさるから調和が取れて物事がうまくいく。仮に、スーパーマンみたいななんでも一人でできる人がいるとしましょう。すると、その人ばかりがなんでもできて他の人の活躍の場が無くなります。つまり、調和が取れなくなるのです。だから、良いも悪いもあって良い。他の人と合わさって調和が取れていることが大切なのですから。

|偉大な経営者は「氣」が充実している

神話の世界の神様も1人だけでは不完全

ーーー調和ですか。とても日本的な考え方ですね。
 
深野氏:そうですね。日本の神話の世界の話もそうです。古事記とか日本書紀とかに出てくる日本の神様ってたくさんいるけれど、どの神様もだいぶ極端な性格でしょ?神様だって一人だと不完全だけれど、みんなが集まるから完全になるのですよ。だから調和が大切。この調和の考え方で、日本は競争ではなく助け合いを重んじる国になっています。日本ほど歴史が長く、争いをしてこなかった国はありませんからね。屍がほとんどなく平和の氣で包まれています。偉業を成し遂げた方や大企業の経営者はたいへん長寿の方が多いですよね。夢を実現しようとする根元としての「氣」が充実しているからだそうです。聖路加国際病院の日野原院長は105歳まで現場に立ち続けましたし、病弱で生まれた松下幸之助先生も93歳まで生きられましたし、氣力のなせる業でしょうね。
 
ーーー“氣”ですか。“気”ではなく?
 
深野氏:今は簡略化されて“気”になっていますが、本来は中に米が入って“氣”です。これはエネルギーを八方に放っていることを表しています。例えば、イライラしている人が近くにいると、なんだか落ち着かなくなりませんか?反対に、機嫌の良い人が近くにいると、こちらまで嬉しくなることはありませんか?日常生活の中で、氣なんて全く意識していなくても、身体は氣を感じ取っています。元氣、活氣、弱氣、病氣、殺氣、狂氣とか、氣の付く言葉はたくさんあるでしょう?
身体の範囲は個人の責任ですが、空氣はみんなの共有しているものなので、他の人のために機嫌よく居たほうが良いのです。良くない氣を吸っても自分を通して良い氣にする、みたいなイメージです。

|経営を軌道にのせる「天地人」

成功の秘訣は「天の時・地の利・人の和」

ーーー確かに、イライラした人の近くよりも朗らかで機嫌の良い人の近くに居たいと思います。氣分が伝染するというか。そう考えると日常的に、“氣”に影響を受けていますね。
 
深野氏: 天地人という言葉を聞いたことはありますか?天の時、地の利、人の和を表しています。簡単に言うと「いつ、どこで、誰と何をするのか」ということです。時とは太陽の周りをまわる地球の公転と自転からきています。季節に四季があるように、生命にも春夏秋冬のサイクル、個々に九性、十干十二支から紐解いたバイオリズムがあり、他の動植物同様に天の時に順うことが成功の秘訣と考えます。
ちょっと脱線して個人的に思っていることをお話しすると、地球がすごいスピードで太陽の周りを回転していたら地球にあるものは振り落とされているはずなのに、引力があるお陰で私たちは地球上で生活ができる。その引力も私たちが生きていける丁度良い力であると考えると、これって大宇宙の愛だなぁと思うのですよね。
話を戻して、地の利は風水として知っている方も多いと思います。地理学、天文学が使われ方位や場所決めをします。最後に人の和です。この天地人を活用して戦わずして勝つことが孫氏の兵法でも言われていて、日本では帝王学として奈良時代には確立されていたようです。「和を以て貴しとなす」という聖徳太子が掲げた理念ですよね。和氣あいあいと争いのない調和と平和による永続的な繁栄につながります。現代でいうところの仕事にも通じてきそうですね。それだけ、氣って実は生活にも仕事にも結びついているということです。
 
ーーー今までのお話し、長所短所はみんなで補い合うから完全になる、氣のエネルギーを意識するといった内容はどのようにお仕事に生かされているのでしょうか?
 
深野氏:得意で好きなことをベースに、周りの人に貢献できないだろうかと考えて事業に取り組んでいます。得意で好きなことなら、やっていても苦にならない。だからどんどん経験を積んで上達できます。すると、もっと貢献ができるようになる。儲けようという気持ちから入ると、うまくいかないわけです。ベースは、人のために何ができるか、地球のために何かできるか、です。地球に生かされているわけですからね。ちなみに、“儲ける”を分解すると“信+者”ですね。他者を信じて、自分も信用してもらえれば儲かるわけです。
天地人の話でいうと、最近始めた飲食店の例を挙げてみましょう。私の妻はタイ人で、妻が日本でタイの方達とコミュニケーションができる場を作りたいなと思って始めたタイカラオケバーです。だいぶ以前から出店したいと言われてきましたが、子供が小さかったことや様々な条件が整うまで待っていました。そうしたら2023年の夏に急にリトルバンコクと呼ばれていた錦糸町でバーをやっている方から「やらないか」と声がかかり始めることになりました。
料金はすべて予めお客様に提示し、明朗会計で安心して飲食していただくようにしています。決して金額設定は安くないのですが、喜んで来てくれる人に使って貰えばいいと思っています。
また、私たちのBarは金土は朝まで営業しているのですが、近隣にタイカラオケのできるお店はなく朝まで営業している同業店がありません。そこで、近隣のお店で飲食した後、電車の始発までの時間に居られるお店として利用していただき、他店と争うことなく営業をスタートすることができました。

|自然の流れに身を任せる

川上から川下に身を任せた方がスイスイ進む

ーーー戦わずして勝つ、さらには近隣のお店と深野さんのBarが長所と短所を補い合うような形で地域と調和していますね。今まで伺ってきたように、目に見えないものに対する考え方は元々お持ちだったのでしょうか?それとも経営者になって学ぶうちに身につけたものなのでしょうか?
 
深野氏:幼少の頃からありました。子供の頃、家庭環境から1人で山の中で遊ぶことが多く、その経験が影響しています。山の中で遊んでいると、自然に囲まれているからか、全然寂しさがないのです。自然と一体化していると言うか、自然の一部になったような感覚になるんですね。それが、目に見えないものを身近に捉えるようになった要因に思います。経営者になって哲学の学びを深めるうちに、天の決まりに従って生きること、つまり自然の流れに身を任せることが良いのだということに気づきました。川だって、川上に向かって進むよりも流れに身を任せた方が楽ですよね。そして、目に見えないものが大切だということは自然が体現しています。植物だって見えていない“根”が大切ですよね。根から水や栄養を吸収して、目にみえる部分に花や実をつけるわけですから。

|頼まれごとは試されごと

心を決めると行動がついてくる

ーーー確かに、自然界をよく観察してみると目に見えていない部分やそのサイクルが実は私たち人間にも影響しているように感じます。深野さんが経営者のコミュニティで会長にご就任されてから、何か変化はありましたか?
 
深野氏:ありましたね。まず、会長を打診された時「ちゃんとしないと」という意識が出てきました。と言うのも、コミュニティにはベテラン経営者もいらっしゃるため「しっかりしないと」という思いと時間配分、例えば仕事の時間や妻との時間の確保なんかも考えないと、と思ったからです。ですが、「頼まれごとは試されごと」だと思い、まずは決断する覚悟を決めました。心を決めると行動は後からついてきます。それからは、仕事にも良い影響が出ています。例えば、先ほどお話ししたBarの話は会長になると決断した後に物件等の話がやって来ましたし、海上輸送業の会社で今後の方向性が見えてきたのも同じタイミングです。このタイミングで(天の時)で、この地域で(地の利)、頼れる人たちに囲まれていた(人の和)から、物事が進んだのでしょう。
 
ーーー経営者コミュニティで会長に就任されてから会員と接するときに心がけていることはありますか?
 
深野氏:心で繋がることです。うまくできた表面的な言葉ではなくて本心で語ることを心がけています。会での私の役割は、集まってくれた経営者の夢、悩みに対して伴走すること。そして、それを乗り越えるための実践の機会をつくっていくことです。こちらも本心で話しをして、そして聴くに徹することで、心で繋がると思っています。

|感動をつくるサービスを展開

ーーー今後の事業の展開についてお聞かせください。
 
深野氏:今後は、志を高めより多くの人に貢献できるように事業を展開していきます。まずは組織改革で整理しどこかのFCに加盟も考えています。時間を味方にしながらしっかり稼いで、稼いだお金を更なる事業に回していくことで、より多くの人々の喜び幸せにつながる感動をつくるサービスの仕事を展開していきます。そしてもう一つ。妻がタイ人なので、タイと日本を繋ぐような事業を展開していくことも目標です。

プロフィール

○深野鎌造(ふかの れんぞう)
株式会社オーシャンカレントシッピング代表取締役

○インタビュアー
深掘りニスト 飯野真里子(いいの まりこ)
社長の想いを深掘りし、社長の人柄から企業のブランディングを応援!

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